【概要】
30日午前10時15分ごろ、北アルプス・西穂高岳(2909メートル)千石尾根で、千葉市若葉区の会社員男性(42)が、積雪で道に迷い自力で下山できなくなり、携帯電話で西穂山荘を通じて高山署に救助を要請。岐阜県警山岳警備隊飛騨方面隊が、同日午後2時ごろ、無事救助した。調べでは、男性は29日に西穂山荘に宿泊。30日朝から一人で下山途中だった。
【考察】
西穂山荘からロープウェーの駅まで、千石尾根をたどります。
直線距離にして、役1.5キロ。
30分もあれば十分たどり着ける距離です。
30日は全国的に、天候が荒れました。
下は30日正午の天気図です。

見てのとおりの冬型の気圧配置で、再びの戻り寒波到来でした。
距離的には、たいしたことのないものです。
恐らく、ガスと降雪で視界を失い、道に迷ったものと推測できます。
あまりに簡単に下りられる、と思ってもしょうがないコースではあります。
が、そういうところだからこそ、慎重な行動が要求されるのかもしれません。
ですが、救助要請が10時過ぎ。
もう少し自力での解決を探る道はあったのかもしれません。
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- 2006/03/31(金) 12:48:51|
- 遭難カルテ
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【遭難カルテ21】で書いた、新潟・仙ノ倉山の2人死亡相南事故。
みろく山の会のHP上に
遭難事故についてのお詫びとご報告が掲載されました。
トップページの一番下という、やや見つけにくい場所です。
「これまでの情報を取り急ぎ」まとめたもので、中間報告と呼べるものです。
内容は山行中の経過がメーンです。
ある程度、当時の生々しさが伝わってきます。
原因究明など、まだ少々時間がかかるのはやむをえない所でしょうか。
発生から10日そこそこでの中間発表。
出せるものから出していく危機管理の姿勢は、評価に値します。
「詳細は後日」とあります。
近いうちに、しっかりとした報告書が出ることを期待しています。
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- 2006/03/31(金) 11:47:10|
- 事故報告書
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【遭難カルテ1】で書いた、妙高・前山の雪崩遭難事故。
東京南部山スキークラブ「ラ・ランドネ」のHP上に、2月25日付で
事故経過報告書が掲載されています。
事故発生が1月28日なので、ほぼ1ヶ月での報告書となりました。
内容もまずまず。
組織の力量が伺えます。
「固いクラスト面に新雪が積もっていたことを確認していた」にもかかわらず
「急斜面でのターンの際には、滑落の心配のみに気を配り」、
「ジグザグ幅を大きくすることで、上り易さを優先し」、
結論として「雪崩の危険を軽視・忘れていた」
とあります。
そのほかにも具体的な反省点が並び、十分参考になるものです。
ただ、一点だけ惜しむらくは…。
「班単独でのけが人の搬出能力がなかった。(技術面、道具面両方とも)」という反省がありました。
具体的に、どういう道具をどう使う技術のことなのかが、今ひとつはっきりしません。
今後どうするかも含めて、何らかの形で発表して欲しいものです。
いずれにしても、最低限必要な要件は満たした報告書といえそうです。
今後の参考になるかと思います。
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- 2006/03/30(木) 11:11:09|
- 事故報告書
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【概要】
岐阜県瑞穂市、会社員、男性(58)が24日から滋賀・岐阜県境の土蔵岳(1008メートル)へ日帰り登山に行くと家族に言って出かけたが、夕方になっても帰宅しないため家人が同日夜に揖斐署に届けた。同署などが捜索していたところ、26日午後1時ごろ、県警ヘリが土蔵岳の南西約3キロの滋賀県木之本町の土倉谷の林で男性の遺体を発見した。死因は凍死で、道に迷って力尽きたとみられる。遺体の発見現場は、県境付近の山頂から南西約3キロの谷あいで、1-2メートルの積雪があった、という。
【考察】
土蔵岳はヤブ山で、残雪季に登る人が多い山です。
滋賀県北部や奥美濃と呼ばれる地域にあり、豪雪地帯です。
各種記録を調べると、3月の入山が最も多いようです。
なかにはハイキング気分のまま山に入っているケースもあり、恐ろしい気もします。
標高が低く春とはいえ、雪山です。
当然、装備などは雪山装備になります。
また、ガスったらホワイトアウトするのは当然です。
が、亡くなった男性はビバークを想定していなかったようです。
荷物が増えることにはなりますが、ツエルトや予備食糧が必要でした。
今回の件は、手軽に登れそうな山にも、危険が潜んでいることを示しています。
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- 2006/03/29(水) 11:21:04|
- 遭難カルテ
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==========追記(2006.09.19)==========
訂正とおわび(遭難カルテ27、日々是好日61、事故報告書5共通)
異例ではありますが、冒頭への追記掲載です。
このような事態に至った経緯は次のとおりです。
先日、この事故の関係者であり山の会「岳樺クラブ」の方から「内容に誤りがある」とのご指摘を頂きました。
当ブログでは、亡くなった方を「岳樺クラブ」所属と表記していました。
そして「岳樺クラブ」の会山行であるかのような表記もしていました。
頂いたご指摘、要約すると以下のとおりです。
ご本人は3年前に岳樺クラブを退会。
事故当時は別の同人組織に入っており、岳樺クラブ会員ではない。
そして、今回の山行は2つの組織の4人が行った個人山行である。
個人山行ではあったが、事故後の対応に2つの組織は全力で取り組んだ。
会山行でないため、HP上への報告書掲載は行わないことにした。
ただ、事故の特異性を考え、メディア上での発表を選んだ。 事実をあらためて知り、愕然としました。
えらく見当違いなことも書いてしまったな・・・と、顔から火が出る思いです。
この後、同会などに心無いメールが送られることなどがあったそうです。
結果として、いろいろな方にご迷惑をおかけすることになってしまい申し訳ありませんでした。
ご指摘の点、訂正するとともに、こちらの思慮の足りなさと事実認識の甘さをお詫びするのみです。
なお、もとの文章においては先方のご了解を得て、会の名称を修正したのみで、そのまま残すこととします。
これは、「こんな失敗があった」と、自らへの戒めもかねてのことです。
今後は情報の取り扱いなど十分に注意してきたいと思います。
====================
【概要】
25日午前11時半ごろ、長野県茅野市の八ケ岳連峰阿弥陀岳(2805メートル)の摩利支天沢で、凍った滝を登っていた千葉県習志野市、会社員女性(50)が約1メートル滑落。肩にたすき掛けしていたテープシュリンゲが首に絡み、宙づりになった。同行の仲間が携帯電話で110番通報するとともに川口さんを下ろしたが、意識がなく、長野県警ヘリで収容された後、窒息死と確認された。女性は仲間3人と朝から高さ約15メートルの滝でアイスクライミングをしていた。先頭で登っていた女性がバランスを崩し、高さ10メートルの場所で滑落したらしい。
【考察】
最近は「スリング」と呼ぶほうが多いようですが、自分自身のなれた「シュリンゲ」でいきます。
たすきがけ、便利なのでついついやってしまいます。
岩を始めた頃、自分自身もたすきがけでした。
が、今回のような危険が話題に上り、その後、極力たすきがけは避けています。
ハーネスやザックの肩バンドなどのギアラックを利用する方法をとっているのです。
まさか、と思っていたことが起きてしまい、少々驚きました。
道具の使い方、常に研究が必要です。
また、この週末、茅野にいましたが、かなり暖かい気候でした。
陽気のため、氷が緩んでいたのかもしれません。
そのあたりを読み間違えた可能性はあります。
亡くなった女性。
山の会「岳樺クラブ」の所属で、かなり登り(攀じ登り)こんでいたようです。
フリーのローカルコンペでは、上位に顔を出すような腕前でした。
今回もリードしている途中での滑落です。
この岳樺クラブ自体、中高年専門の会ですが、ややハード志向でした。
個人のポテンシャルを上げる作業は必須です。
が、それだけでは遭難は防ぎ得ないことを示していると思います。
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- 2006/03/28(火) 21:16:53|
- 遭難カルテ
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【概要】
25日午前4時ごろ、群馬県みなかみ町湯檜曽、谷川岳(1977メートル)の一ノ倉沢で、登山中の横浜市、会社員男性(26)が約150メートル下の湯桧曽川に滑落、途中で立木に衝突して頭などを強く全身を強く打ち、搬送先の病院で死亡した。沼田署の調べによると、松尾さんは同日午前3時ごろ、都内の山岳会仲間の男女2人と入山。「ノコ沢大氷柱」を登りに来ていた。松尾さんは当時、ヘルメットやアイゼンなどは持っていたが装着していなかったという。他の登山者が転落を目撃して携帯電話で119番通報した。
【考察】
移動性高気圧に覆われ、穏やかな週末でしたが、またもや死者が出てしまいました。
現場には数メートルの積雪があったようです。
金曜の夜、車で出発し、寝不足のまま入山。
よくあるパターンですが、その状態が類推できます。
その状態で、本番の氷に向かうアプローチでの滑落ではないかと思われます。
ノーヘル・ノーアイゼン。
大丈夫と思っていたのでしょうが、そうはなりませんでした。
せっかく持っていっているのに、使わなければ道具の意味もありません。
たとえトレースがあったとしても、やはり慎重を期すべきだったと思います。
所属していたのが横浜山岳会。
2002年の正月、同会の8人パーティーが、槍岳山荘冬季小屋から岐阜県警に救助要請しました。
悪天候で下山できない、との理由です。
全員無事救助されましたが、食料がまだ残っていたことと、けが人が1人もいなかったことなどから、
「救助ヘリを下山のタクシー代わりに使った」
などと、非難されたことがありました。
その後
横浜山岳会のHPにはアクセスできなくなっています。
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- 2006/03/28(火) 20:17:09|
- 遭難カルテ
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【概要】
19日午前9時ごろ、東京都文京区西片1、弁理士の男性(54)が行方不明になっていると、家族から捜索願が出された。男性は17日午後10時ごろ、新潟県湯沢町の平標山(1984メートル)でスキーをするため自宅を出発、帰宅予定の18日夜になっても帰らず連絡が取れなくなった。同日、同山周辺では風が強く、吹雪が激しかったという。
【考察】
なかなか進展がないので、とりあえずまとめることにしました。
この週末は、八ヶ岳などで中高年の死者が相次ぎました。
今日現在で進展がないということは、生存の可能性はほぼないと言ってもいいでしょう。
【遭難カルテ19~21】で書いたとおり、天候悪化は予想できたはずです。
それでも単独で突っ込んだのはなぜでしょう。
情報が少ないため、何とも言いにくいのですが、天候の判断に甘さがあったと考えざるを得ません。
==========追記(06.06.05)==========
6月3日、男性の遺体を新潟県警ヘリが発見、収容した。
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- 2006/03/28(火) 19:33:26|
- 遭難カルテ
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久々にお天気のよい週末です。
今夜からまたまた1泊2日で、八ヶ岳のふもとへ。
山ではなく、だらだらと過ごして来ようと思います。
春らしい陽気のなか、ぼんやりと山をながめてきます。
今週は仕事がメタメタにきつかったので、ゆるりとリフレッシュです。
温泉なんかもいいですね。
お天気が良かったにもかかわらず、今週末も遭難が起きていました。
場所は谷川・一ノ倉。
情報がまだ少ないので、「遭難カルテ」にまとめるには、少しかかりそうです。
そういえば、平標山で行方不明の男性、その後どうなったんでしょうか。
こちらも情報不足で、まとめるには至っていません。
何週連続で遭難が起きているのか、数えるのはやめときます。
山に行かれる方は、気をつけて行って下さい。
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- 2006/03/25(土) 20:46:58|
- 日々是好日
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コンロの最後になりました。
最近、最も使い込んでいるガスです。

スノーピークの軽量タイプです。
タンクの形状がEPIやプリムスと同じため、だいたい一番安いのを使っています。
お手軽・軽量では、これに勝るものはありません。
火力は、データ的にはいまひとつです。
が、大人数で山に行くわけではないので、十分です。
点火装置を外そうかと思っています。
冬季に機能しないことがあるのと、ライターは毎度持って行っているため、必要をあまり感じないからです。
会って困るものではありませんが、外した分だけ軽くなるというわけです。
機能的には問題なく、十分なポテンシャルを毎度見せてくれます。
今のところ、故障もなく、十分な道具です。
ただ、使うための道具というだけで、正直、あまり思い入れが持てそうにありません。
恐ろしく機能的であるがゆえに、使い込んだシブさとは無縁の存在でしょう。
かつてEPIのBPスーパーなども使っていました。
ですが、ガソリンや灯油コンロほどの愛着はわきませんでした。
機能とともにシブい味をかもし出す一品。
ガスコンロにも現れてほしいものです。
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- 2006/03/25(土) 00:03:25|
- 道具を語る
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ガソリンコンロといえばホワイトガソリン(通称、白ガス)。
かつてはでかくて重くて強力なコールマンや、火力イマイチなホエーブスなどが目白押しでした。
ガスコンロ全盛の前には、主力コンロでした。

写真は以前使っていた、オプチマス123R。
不朽のロングセラー機で、現在でも販売されています。
ガスコンロが3000Kcal/hオーバーの昨今に、1300Kcal/h。
非力さは否めませんが、名機であることには変わりありません。
単独行や2~3人の山行なら、問題なく使えました。
長年の乱暴な扱いに耐えかねて、ついに故障、手放してしまいました。
最後はボコボコになってしまいましたが、今一度、手に入れたい一台です。
ガソリンは揮発性で、引火の危険があるため、扱いに注意が必要です。
そのへんか敬遠される理由かもしれません。
しかし、使い込むほどに味が出る、という意味では、灯油コンロと双璧をなします。
この魅力、分かる人は、結構な“通”かもしれません。
ガソリンコンロもタンク別体式が主流になりました。
最近では多用な液体燃料が使えるタイプも登場しました。
しかし、渋好みの私にとっては、この123Rが、最高の一台です。
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- 2006/03/23(木) 11:32:53|
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ここのところ、毎週のように荒れる週末。
特に先週末は遭難が相次ぎました。
昨日だけで遭難カルテ5本。
しかも平標の山スキー男性不明はその後の進展がなく、未着手。
しかし、中高年の遭難、多いこと多いこと。
遭難するのが中高年なのか、山に行っているのが中高年ばかりなのか。
オソマツなもの、基本的な部分でダメなもの。
もう少し何とかなりませんかね…。
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- 2006/03/23(木) 00:09:21|
- 日々是好日
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【概要】
NHK札幌放送局などのカメラマン2人と北海道大の学生2人の計4人が18日から知床半島の知床岳(1254メートル)に取材のため登山したまま、下山予定の20日を過ぎても戻らず行方不明となっていることが22日、分かった。北海道警は遭難した恐れがあるとみて、ヘリコプターで捜索。4人は函館放送局の男性(41)と札幌放送局の男性(30)、北大山岳部の2人。4人は18日に2日分の非常食、衛星電話などを装備し、羅臼町相泊から知床岳に入山した。20日の下山予定日を過ぎても連絡が取れていなかった。取材班の家族が21日夜に「下山予定日を過ぎても連絡がなく、携帯電話も通じない」と届け出た。4人は22日午後、自力で無事下山した。けがはないという。
【考察】
遭難騒ぎ。
今回のケースはこの言葉がぴったりはまりそうです。
予備日の間に、自力で無事下山。
当然の範囲内で、これを見ると遭難とは言いがたい部分です。
しかし、予備日が残っているにもかかわらず、なぜ家族が通報したのか?
事前に予備日の説明を十分にしていなかったのかもしれません。
分かっていれば、通報もなく、捜索活動もなかったでしょう。
予定の期間中でも、連絡が取れない⇒通報、となると、困ったものです。
山も場所によっては、携帯電話や無線機が通じなくなります。
そんな当然のことも、家族は知らなかったのかもしれません。
衛星電話も緊急用と考えれば、バッテリー保護のため、電源を切っていたと思われます。
いずれにしても、山に入る前に、家族などには計画書を渡し、十分に説明しておく必要があります。
人騒がせな一件でした。
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- 2006/03/22(水) 19:00:06|
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【概要】
北アルプス・蓮華温泉周辺で山スキー中、21日に行方不明になっていた京都府長岡京市、医師の男性(53)は22日、新潟県警のヘリコプターが発見し、救助した。男性は手に軽い凍傷を負った程度という。男性は温泉から約5キロ下った山中で発見された。「21日朝から山スキーをしていて、スキー板の片方を流してしまった。テントは持っておらず、雪の中でうずくまって一夜を明かした」と話している。
【考察】
山スキーで板を流してしまうとは…オソマツ。。。
ツェルトやシャベルは山スキーの必携品。
無事だったから良かったようなものの、ビバーク装備なしの行動、考えられません。
多少荷物は増えても、必要な装備は、キチンと持っていくべきです。
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- 2006/03/22(水) 17:40:42|
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【概要】
21日、滋賀県高島市今津町の三重嶽(974メートル)を友人3人と登山中に、足の調子が悪く1人で先に下山して行方が分からなくなった同市、滋賀県職員男性(58)が22日朝、捜索隊に無事発見された。男性は足などにけがをしているが、命に別条はなく、防災ヘリで病院に運ばれた。前川さんは発見時、沢の斜面にうずくまっていた。男性は「道に迷った」と話しているといい、下山中に足を滑らせて、動けなくなったようだ。
【考察】
不調の人を残して登山活動を続ける意味。
まったくないと言わざるを得ません。
けがや病気などで不調の人が出た場合、全員で安全地帯まで運ぶのがスジです。
たとえ本人が「自力で下りてるから」と言っても、です。
不調であること自体が、遭難の前兆です。
下山するにも一苦労であることは、火を見るよりも明らかです。
それを助けないとは、どういう心境でしょうか。
標高の低い山だということで、メンバーに気楽さがあったのかもしれません。
いずれにしても、意識の低さ、目を覆うばかりです。
パーティーを組んで山に行くことの意義。
この件には全く生かされていません。
一緒に山に行く人を選ぶ必要を、強く感じる一件でした。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/03/22(水) 16:58:27|
- 遭難カルテ
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【概要】
20日午前8時半ごろ、新潟県湯沢町の仙ノ倉山(2026メートル)を登山中の男性から、新潟県警に「山頂付近で遭難した。1人が行方不明で1人が重体」と携帯電話で110番通報があった。パーティーは横浜市の「みろく山の会」の9人で、残る7人は無事とみられるが、その後は連絡が途絶えた。18日から20日にかけ登山予定だったという。21日午前、県警と県は9人のうち、リーダーで神奈川県秦野市の男性(58)ら7人(男性5人、女性2人)をヘリで無事救助し、同町の病院に収容した。7人とも衰弱はしているものの、けがや凍傷はなかった。しかし、横浜市磯子区、女性(54)と同市神奈川区、女性(62)の2人は遺体で収容した。救助されたのは男性のほか6人。亡くなった2人、ザックカバーが外れたのを直そうとし、隊列から約200~300メートル後れたことが命取りになった。
【考察】
平均年齢59歳超の9人パーティー。
中高年を通り越して、高齢者のパーティーとも言えそうです。
余談ですが
、みろく山の会とは「美しく老いて久しく」の美老久からくる命名だそうです。
入会資格は40歳以上ということなので、中高年オンリーの会です。
まず9人とは人数が多すぎはしないでしょうか。
雪山において、とても身動きのとりやすい人数ではありません。
中高年のパーティーにおいて、多人数による安心感などによる弊害、多々指摘されています。
「これだけ人数がいるのだから、誰かが何とかしてくれるだろう」
そういった気の緩みがあったのかもしれません。
2人が遅れていることに、気づいたメンバーがいたが、それを誰にも伝えなかったこと。この報道もありました。
これは気の緩みに他なりません。
「付いて行くだけ」「連れて行ってもらうだけ」…そういった意識がこの行動に表れています。
リーダーが遭難語の記者会見で「登山前のミーティングが不十分だった」と話しています。
が、この程度の基本的なことをミーティングで徹底しなければならないこと自体、すでにパーティーの構成が間違っています。
また、報道によるとリーダーは「登山が出来る天候だったと思う」とも発言。
明らかに気象判断のミスがある以上、この発言はいただけません。
少なくとも遭難し、救助を呼び、2人が凍死している状況です。
これをもって、なお「登山が出来る天候だったと思う」というのはどうかと思います。
いくつかの要因があるなかで、このミスは大きなものでしょう。
まずは、ミスを認めるところから検証を進めて欲しいものです。
最後にザックカバーの点。
スパッツ、ストックとともに、今や中高年の「3種の神器」の様相です。
一言で言えば、サックカバーは雨具であって雪山に必要ないものです。
カバーをつけたザックは、雪面との摩擦がなくなり、斜面を滑り落ちやすくなります。
道具は適材適所で使うものであり、考えなしに使うものではありません。
ザックカバーがなければ、あるいは今回の遭難も別の展開があったと思われます。
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- 2006/03/22(水) 16:38:22|
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【概要】
20日午前2時半ごろ、谷川連峰・一ノ倉岳(1、974メートル)の一ノ倉尾根の登山者3人から「天候が悪化して自力下山できない」と所属する山岳会の「東京雲稜会」(東京都中野区)を通じ、県警に救助要請があった。東京都東村山市のアルバイト男性(61)と東京都中野区の会社員の男性(48)、東京都杉並区のカメラマンの男性(34)の3人。3人は18日、2泊3日の行程で入山。19日昼に天候が悪化し、予定を繰り上げて下山を始めたが猛吹雪となり、同日午後11時ごろ、下山を断念し露営。雪洞を作る際にコンロや燃料が入ったバッグを落とし、雪を溶かした飲料水を得られなくなったため、携帯電話で同会を通じ救助を求めたという。3人は21日朝、群馬県防災ヘリに救助された。3人は凍傷や脱水症状で病院に搬送されたが、命に別条はないという。
【考察】
このルートは、2月下旬から3月にかけては人気のルートです。
A0~A1程度の人工、Ⅲ級程度のフリーなど、バラエティに富んでいます。
週末には順番待ちが出るほどのコースです。
天候が悪化し、身動きが取れなくなり、救助要請。
そんな感じだったと推測されます。

19日正午の天気図です。
荒れていることは、一目瞭然です。
3人が所属する
東京雲稜会のマンバー(58)は「天候が悪いのは分かっていたんだろうけど、突っ込んじゃったのかな」と話したと報じられています。
天候の判断ミス、今回の一件はこれに尽きると思われます。
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- 2006/03/22(水) 14:20:29|
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【概要】
19日夕方、八ヶ岳の阿弥陀岳(2805メートル)から下山中の男女3人が「凍傷になって動けなくなった」と、近くの山小屋に携帯電話で連絡があり、山小屋が県警茅野署に救助要請した。3人は
都岳連傘下の「東京アルコウ会」の、東京都江東区、会社員男性(57)▽横浜市神奈川区、会社員男性(47)▽東京都板橋区、パート従業員女性(45)。18日に阿弥陀岳に入山。19日に登頂後、救助を要請。男性(57)が凍傷にかかり動けなくなったらしい。頂上東側直下でビバークしていた。20日に民間ヘリが捜索していたところ、3人とツェルトを発見。すでに3人とも死亡していた。
【考察】
毎週のように荒れる週末。
谷川方面でも遭難が起きていますが、その件については別項で。
事前にあれることが分かっていた天候。
なぜ突っ込んだのか、理解に苦しみます。
「これぐらいなら大丈夫」
「自分たちなら大丈夫」
いずれにしても、慢心があったのかもしれません。
そもそも動けなくなるほどの凍傷とは?
装備の甘さか、凍傷対策の甘さか。
そこまでひどくなる前に気づくべきだったと思います。
そして、気づいたならば、即撤退すべきでした。
動けなくなるまで気づかなかったとしたら…。
何があったんでしょうか?
阿弥陀岳の山頂付近は、風当たりが強い場所です。
ビバークするにしても、もう少し移動すべきだったのではないでしょうか。
ビバークする場所の選定、これは、生命に直結する問題です。
東京アルコウ会は大正10年に田山花袋や菊池寛などが発起人として発足。
伝統ある会の歴史に傷をつける一件でした。
===追記===2006.3.22
その後、入手した情報から。
3人は18日から阿弥陀南稜に入っていたようです。
このルートはやさしいバリエーションで、入門コースとしてよく使われます。
一般的な行程を当てはめると、次のようになります。
18日 P5付近で幕営
19日 P3ガリー(核心)を抜け、阿弥陀山頂
行者小屋or赤岳鉱泉へ下山
一泊目からP3ガリーまではそんなに時間がかかりません。
核心のガリーから先も、短い距離です。
ガリー自体も、雪の状態などによっては、ノーザイルでも抜けられます。
核心に差し掛かる前に撤退はありえなかったのか?
山頂に抜けるまでに時間がかかりすぎたのであれば、早い段階で分かったはずです。
また、天候悪化も十分に予想できたはずです。
判断と、そのタイミングを逸したあたりに、原因の一端があるように思います。
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- 2006/03/20(月) 19:50:15|
- 遭難カルテ
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体力とは何か?
持久力、筋力、瞬発力、柔軟性、敏捷性などをひっくるめたものを体力とします。
この体力というものは、20歳ぐらいでピークを迎えます。
その後は毎年1%ずつ低下していくものです。
加齢による低下、端的に言うと、以下のとおりになります。
30歳⇒18歳相当
40歳⇒16歳相当
50歳⇒14歳相当(中学生程度)
60歳⇒12歳相当(小学生並み!)
中高年の遭難が多い中にあって、このあたりの認識が薄いケース、ままあります。
その山に、小学生程度の体力で行けるかどうか。
冷静に考えれば、分かる話です。
もちろん個人差はありますが、加齢から来る体力低下は、逃れることは出来ません。
トレーニングを継続していても、年々低下するものなのです。
ただし、トレーニングで、ある程度、状況の改善はできます。
基礎体力を鍛えるトレーニングは、絶対に必要な要素です。
自分の体力がどの程度なのか。
まずは、それをしっかりと認識することから始めましょう。
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- 2006/03/20(月) 14:19:53|
- 危険回避の道
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20年ぐらい前、高校生の頃の愛機でした。
いまでこそ、軽量・高火力コンロが目白押しです。
が、当時はガスコンロは火力が弱く、これで十分でした。
1リットルの水を沸かすのに、5分ぐらいでした。
固形燃料などでプレヒート(余熱)してから着火。
余熱が甘いと、黄色い炎と黒煙を盛大に上げてしまいます。
この加減が分かるのに、少々の慣れが必要でした。
今のガスほど簡単ではなかったのですが、そこが楽しいところでした。
調子の悪くなることが往々にしてありました。
が、各種パーツもそろっており、仕組みが分かれば、自分で修理できました。
山行中でも、何度か修理したことがあります。
何度も分解して構造を理解すると、これがなかなか面白かったりします。
そして真ちゅう製のボディ。
使い込むほどにくすんで、いい味が出ます。
また、研磨剤で磨いてやると、輝きを取り戻せたりもします。
ガソリンスタンドさえあれば、燃料が入手できる手軽さ。
このへんもポイントです。
全開で燃焼中、独特のゴウ音がします。
ガスのように静かではありません。
あのうなるような音、なぜか心が温まるような気がしたものです。
ただ、弱火にすると、コッヘルの底がススで真っ黒になってしまいます。
すすけたコッヘルをザックに入れるのは、さすがに気が引けました。
が、今となってはいい思い出です。
製造メーカーも減り、そのうち入手できなくなるかもしれません。
今のうちに手に入れておきたい一品です。
実際に山で使っている人を見ると、「シブい…」と、思わず見とれてしまいます。
効率化・軽量化の時代には反する道具となってしまいました。
でも、使い込んで愛着のわいてくる道具であることは、間違いありません。
今は手元にないので、予算があれば一台欲しいと思う一品です。
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- 2006/03/18(土) 12:58:28|
- 道具を語る
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今日、本屋で岳人4月号を立ち読みしました。
毎月、ほぼ立ち読みなのです。
「おおっ!これは!!」ってなものがあったときは買う!
が、毎月800円は、ちょっと高い…ってのが、正直な感想です。
4月号は買おうかと思っています。
と、いうのも、ウチの山仲間が出ていたからです。
理由としては、きわめて単純ですね。
岳人の連載は、比較的硬派。
出版元が新聞社だけあってのことと思われます。
が、一部、硬さが取れていない部分も感じられます。
これも新聞社ゆえのことか。。。
結構、毎月、買ってしまいそうになります。
しかし、財布の中をのぞいてはため息…。
そんなことが毎月繰り返されているのです。
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- 2006/03/17(金) 20:57:46|
- 日々是好日
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唐松で遭難したガイド登山の一行。
予定の八方尾根(東側)ではなく、反対の富山側(西側)に500メートルも下っていたようです。
どこかの時点で、方角をロストしたのでしょう。
方角をロストすると、リングワンデリングにはまります。
進んでいるつもりが、同じところをぐるぐる回っている状態です。
雪山で視界が悪いときに起きる現象です。
10年ほど前の中央アルプスで、私もやりました。
ガスと吹雪の中、宝剣山荘横から天狗荘を経て中岳へ。
いつまでたっても中岳につかず、どんどん歩いているうちに…。
なんと天狗荘に着いてしまいました。
左から風を受けて歩いていたので、そのまま歩き続けていました。
が、いつの間にか、風向きが逆になっていたわけです。
コンパスを出せば分かるだろうに、と言ってしまえばそれまで。
確かにそのとおりなんですが、漫然と歩いていると、はまってしまいます。
その時も、前線が通過した時でした。
人間の(自分の?)方向感覚って、案外当てにならないもんだと思いました。
その後は気をつけるようになったせいか、はまることはなくなりました。
なんでこんなところで?
リングワンデリングなんて、そんな場所でおきるものです。
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- 2006/03/16(木) 21:32:10|
- 日々是好日
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3月13日、風少々、快晴。
ゆっくりと朝7時まで寝て過ごす。
放射冷却のせいもあってか、テントの外は寒い。
初日のあったかさがウソのようだ。
だらだらと朝の準備をしたにもかかわらず、出発まで2時間弱。
外張りはバリバリに凍り付いていた。
たたんでもたたんでも、倍ぐらいの大きさに膨れ上がる。
まずはアイゼンでスタート。
ガレの上部はいい感じだったが、次第に歩きにくくなる。
入山時は雪のなかったところに10~15センチの積雪。
ガレの上に薄雪…泣きそうな下りだ。
3人で転びまくった。
途中でアイゼンを外す。
歩きやすくはなったが、同時に滑りやすくなる。
転びまくること、変わらず。
樹林帯に入ったところで、再度アイゼン装着。
雪が薄くなったところで、アイゼンを外す。
このあたりでも結構転んだ。
角兵衛出合いまであと少し、というところで雪がなくなる。
このあたりからは、とっても快適。
登りのときは気づかなかったが、単独行で歩いてみたいような道だった。
出合いでプラブーツを運動靴にチェンジ。
なんと靴底の頼りないことか…。
戸台まで約2時間の河原歩き。
最初は左岸のふみ跡をたどり、大堰堤手前で右岸へ。
階段で大堰堤を越え、あとはそのまま。
お天気はいいのだが、風は冷たい。
途中、斜面を走るタヌキの姿を目撃。
昼過ぎに戸台着。
仙流荘でお風呂(¥500)。
高遠の桜の湯もいいのだが、手近なところですますことにした。
平日ということもあって、ほぼ貸し切り。
伊那で飯を食い解散。
来年のリベンジを期することにする。
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- 2006/03/16(木) 08:52:27|
- 山日記
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【概要】
3月15日午前8時ごろ、北アルプス唐松岳(2696メートル)頂上付近で、11日に入山後、悪天候で下山できなくなっていた名古屋市の山岳ガイド桑原禎蔵さん(53)ら4人を県警山岳救助隊員らが発見、ヘリコプターに収容した。県警大町署によると、桑原さんは死亡が確認され、他の3人は手足に凍傷を負い疲労が激しいが、意識ははっきりしているという。救助されたのは、愛知県犬山市・自営業女性(58)、同県豊田市・会社役員男性(69)、名古屋市・自営業男性(67)。4人は唐松岳に登頂後、12日に下山予定。12日昼ごろから天候悪化、行動不能になり、山頂から南西約200メートル下で雪洞を掘ってビバーク。13日になっても悪天候が続いたため、携帯電話で警察に救助要請していた。桑原さんは、今回の登山ツアーを計画し3人のガイド役を務めていた。13、14日は天候不良で空からの捜索ができず、桑原さんのガイド仲間や山岳救助隊員が地上から捜索したが、4人を発見できなかった。
【概要】
危険回避の道で何度か取り上げた、ガイド登山の遭難です。
なくなった桑原禎蔵さんは
日本プロガイド協会所属の登攀ガイドです。
今回が有料のガイド登山だったかどうかは不明です。
が、他の3人の登山経験が1~5年だったとの報道もありました。
有料であった可能性は捨て切れません。
15日午後9時現在、ガイド協会のHPには全く動きがありません。
生存者の話によると、桑原さんはルートを1人で探し回ったり、雪洞を掘ったりしたようです。
15日早朝に呼吸が停止したらしく、恐らく疲労凍死ではないかと思われます。
ガイドとして、最後まで同行者を守ろうとしたことは、当然の行動だったと思います。
八方尾根から唐松岳ピストンは、雪山の初心者ルートです。
中高年の初心者を連れて行けるルートではあります。
今回はガイド込みで平均年齢62、参加した初心者3人の平均は64。
中高年というよりは、高齢者のパーティーといってもいいかと思います。
このパーティーで行くルートかどうか、まず疑問が残ります。
12日に寒冷前線が通過⇒冬型の気圧配置、というのは、10日にでも分かることでした。
このパターンなら、後立山連峰の天候が荒れることなど、当たり前のことです。
なぜ、登頂を強行したのでしょう?
当然、下山するという選択肢もあったはずです。
高齢の初心者を引き連れているなら、当然そうすべきだったと考えます。
ガイド自身に過信があったのか、登頂へのプレッシャーがあったのか。
その辺の事は分かりませんが、いずれにしても、見通しの甘さがあったと思います。
客(?)を遭難に巻き込んだこと、ガイド諸氏はどう考えるのでしょう。
また、プロガイド協会は、今後どう対応するのでしょう。
今後の推移を見守りたいと考えます。
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- 2006/03/15(水) 21:09:55|
- 遭難カルテ
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3月12日、吹雪。
4時起床。
前線接近で、天候は荒れはじめているが、それほど寒くない。
視界は100メートルほどか。
谷底から風が吹き上げてくる。
6時前出発。
ガレ場を稜線めがけて登る。
樹林の島に入ったところでアイゼン装着。
途中、何箇所かデブリあり。
2月には雪崩れたか…。
徐々に雪が増えてくる。
突然、正面に岩壁!
一本右の沢スジに入り込んだらしい。
左へトラバースして、角兵衛沢に復帰。
しばらく雪の谷筋を進む。
相変わらず風強し。
再び、正面に岩壁。
さらに右に一本ずれたらしい。
ここで、2月の凍傷の指が痛み始める。
ヤバイなぁ…。
ほぼ稜線に近い標高にいるが、復帰にはちょっと手間取りそう。
前線もさらに近づいているようで、風雪ともに強まる。
この後も悪化の一途だろう。
「下りようか…」
「そうだなぁ…」
ということで、撤退決定。
晴れていればなんでもないところなんだが…。
2人組パーティーはもう少し進んでみるとのこと。
大岩下まで下降。
9時ごろ大岩下に戻る。
かなりの傾斜で、登りの苦しさと裏腹に、あっという間だった。
河原まで下りたら、雨かも…と、いうことで、初日と同じ場所に再幕営。
事実上の沈殿日とする。
水場が生きているので、水作り用のガスに余裕がある。
それを全て暖房用に回し、ぬくぬくと過ごす。
昨日と比べて、圧倒的に風が強く、しかも寒い。
昼頃、前線が抜けたらしく、風向きが変わる。
が、相変わらず吹雪には変わりない。
稜線に出ていたら…。
行って行けないことは、全くない。
が、あんまり気持ちのよい縦走にはならなかっただろうなぁ。
「しゃあない。来年、もういっぺんやな」
などとだべりつつ、のんびり過ごす。
明日は1日繰り上げて下山。
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- 2006/03/15(水) 08:02:11|
- 山日記
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昨日から戻り寒波で、3月の雪模様。
四国でも雪が降ったようです。
前線を伴った低気圧が発達しながら日本海北部を移動。
寒冷前線通過でぐっと気温が下がりました。
等圧線が縦に並ぶ、典型的冬型の気圧配置。
山はまだまだ冬模様です。
昨日、夕方に通った名神高速。
尾張一宮から雪。
養老SAから先は100メートル先も見えないほど降っていました。
路面も真っ白で、除雪車が出動。
おかげで吹雪の中を八日市あたりまでダラダラ運転でした。
最近暖かだったので、春が来たかな、なんて思っていました。
が、降りしきる雪や天気図を見ると、まだまだ冬なんだなあと、改めて思いました。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/03/14(火) 12:16:05|
- 日々是好日
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【概要】
2月13日午前10時半ごろ、大阪府島本町の無職男性(64)が比良山に登山に行ったまま帰って来ない、と妻(64)から堅田署に通報があった。警察と消防は、男性の乗用車が見つかった大津市から蓬莱山頂までの登山ルートを捜したが、発見できなかった。
3月11日午前9時半ごろ権現山の谷川で釣りをしていた宇治市の男性(51)が、うつぶせで倒れている男性を見つけた。誤って谷川に転落し、凍死したのではないかとみられる。
【考察】
発生は先月ですが、遺体が見つかったので、考えてみました。
2月23日の女性死亡の遭難と同様、比良山系です。(遭難カルテ10参照)
この辺り、通称〝琵琶湖アルプス〟。
冬には結構な雪が積もります。
東面はスキー場があることなどで、西面からの登山が多いようです。
しかし、この雪の多い山に単独で入るとなると、かなりのラッセルを覚悟する必要があります。
人にもよりますが、日曜日に気軽に日帰り、とはいかないかもしれません。
いずれ、きっちりと触れる必要があると思いますが、高齢者・冬季・単独…ひとつのパターンかもしれません。
いずれにしても、遺体が出てきたことだけでもよかったとすべきところでしょうか。
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- 2006/03/14(火) 03:06:20|
- 遭難カルテ
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【概要】
3月8日、山梨県富士河口町のホテルから「宿泊客の外国人が富士山で滑落した」と県警富士吉田署に通報があった。県警が捜索したところ、6~7合目の沢で首の骨が折れた男性の遺体を発見。パスポートからスペイン国籍の会社員と判明。下山中、約700~800メートル滑落した。
【考察】
3月とはいえ、山はいまだ冬山と変わりない季節。
富士山は独立峰で風が強く、突風も多い。
さらに凍結しやすく、突風でバランスを崩し滑落する事故が多い。
独特の山容から、数百メートルは一気に滑落してしまう。
今回の男性、装備や経験などは不明。
だが、多分、突風による滑落と思われる。
十分なアイゼン歩行技術。
突風への対処などが不十分だったか。
他の山でも、十分に起こりうる事故ではある。
が、特に冬富士独特の気象・地形条件に対する備えが不十分だったのかもしれない。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/03/14(火) 02:19:22|
- 遭難カルテ
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3月11日、快晴。
大阪⇒高松⇒大阪⇒長野…。
入山前に、死ぬほど車を運転したので、体中が痛い。
戸台の河原に午前1時半ごろ着き、車中で仮眠。
明け方、関東2人組が到着。そちらも仮眠を始める。
お日様が出てからだらだらと出発準備。
3人で装備・食糧分け。
今回は仕事が忙しく、準備は関東組におんぶにだっこ状態。
ピーカンのポカポカ陽気。
薄着のまま、運動靴でダラダラ河原歩き約2時間。
角兵衛出合いで飛び石を伝い、角兵衛沢へ。
樹林帯の中には全く雪がない。
若い男性の2人組も鋸に入るとか。
ダラダラペースながら、抜きつ抜かれつで進む。
ガレ場に出ても、まだ雪がない。
猛烈に暖かく、汗ダラダラ。
稜線近くまでテントを上げようかと思ったが、雪がなさそう。
と、いうことで、大岩下岩小屋にC.1とする。
関東組は、先に行って設営。
バテバテの私はダラダラ。
2人の早いこと早いこと!
出発から約5時間。
休み休みなんとか岩小屋に着く。
なんと、ここまで運動靴で上がれてしまった…。
プラブーツが重い、ヤッケが重い…。
でも、実は一番重かったのは、ビールだったりして…。
テントは、日が当たって、あったかい。
風もほとんどなく、気持ち悪いほどの暖かさだ。
陽気で緩んだのか、途中で落石があった。
水はポタポタ流れており、十分確保できた。
4時の天気図をつける。
日本海北部、に前線付きの発達中低気圧あり。
明日中に前線が通るようで、荒れそうだ…。
その後は…典型的冬型か?
飯を食い、ビールを飲み、たっぷり熟睡。
あまりにあったかくて、一度も目が覚めなかった。
下界の疲れを山でとっているような感じだな…。
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- 2006/03/13(月) 22:14:09|
- 山日記
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本日、大阪は雨。
四国まで車で往復してきたけれど、ほぼ小雨。
お天気が悪いとユウツですなぁ…。
これからパッキング&買出しの後、信州へ出発。
明日から南ア・鋸岳です。
明日は言いお天気っぽいが、あさってが…。
午前中に前線通過で、少々荒れるかもなぁ。
冷え込みもきつそうだし、なんだかユウウツにユウウツを重ねる感じ。
しかも、うっとおしいパッキングだ…。
毎度ながら、上がらぬテンション。
う~ん、ムリせずに行こうか。
あさっての予報が外れてくれればベストなんですがね…。
しかし、今日はいったい何キロ車を走らせるんだろう?
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/03/10(金) 16:13:43|
- 日々是好日
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南アルプスの某テン場にて。
狭い場所にテント3張り。ウチの2人、単独の高齢男性が1張りずつ。
もう1張りはガイド&中高年女性3人。
狭い場所で譲り合うように設営し、お茶やビールでだらだらと過ごしていました。
ガイド自身はテントではなく、ツエルトで寝るようでした。
日もまだまだ高く、お天気もいいので、全員がテント外でくつろいでいるときのこと。
ガイドが恐るべき一言を口にしました。
「ここで焚き火してもいいですか?」
狭い場所で焚き火をすると、火の粉でテントが穴だらけになります。
しかも、客のテント1&他人のテント2です。
さらに国立公園内です。
当然ながら、拒否しました。
通報まではしなくても、テントの弁償は求める、というようなことをにおわせると
「わかりました」
技術のほどはわかりませんが、ちと、あんまりなガイドでした。
そんなガイドにうれしそうに付いていく女性たちも???です。
最低限のルール・マナーすら守れなくても、ガイドの看板は掲げられるのです。
もう一例。
某フィールドで出会ったガイド。
休憩中の我々と、一緒に休憩することになりました。
場所を譲り合うときに多少の会話が発生します。
が、このガイド、妙になれなれしく、下出に出るわけでもなく、ただ饒舌。
ザックからアルバムを出し、
「ここに行ったときはこうだった」
と、客をほっぽらかして、延々と自慢話。
挙句の果てに、名詞を出して
「もし縁があったらよろしく」
要するに営業活動でした。
しかも、腰が低いわけでもなく、えらく上から見下ろしたような…。
周囲にひんしゅくをまき散らかすような人種、いまだに生息しています。
こんな人に命を託す側の心境も、なかなか理解できません。
すべてのガイドがそうだとは言いませんが、よく考えてみましょう。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/03/07(火) 18:25:17|
- 危険回避の道
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