遭難カルテ87の件についてです。
報道によると、二軒小屋に車を置いての入山だったとか。
色々と調べていくうちに、不思議なことに気づきました。
静岡県の資料によると、畑薙第一ダム~二軒小屋の27.3キロは一般車両通行禁止です。
なぜ遭難した3人は二軒小屋に車を?
畑薙第一ダム~二軒小屋間は、小屋を経営している
東海フォレストのバスがあります。
ただ、経営する山小屋の宿泊者限定で無料とのこと。
が、一般車両が通行できるとはここにもありません。
遭難した3人のうち、2人は県職員で1人は会社員。
いったいどうやってマイカーを乗り入れたんでしょう?
延々と歩く人もいるはずですが・・・。
不思議なことがあるもんです。。。。
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- 2006/07/29(土) 19:15:21|
- 日々是好日
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==========追記(2006.09.19)==========
訂正とおわび(遭難カルテ27、日々是好日61、事故報告書5共通)
異例ではありますが、冒頭への追記掲載です。
このような事態に至った経緯は次のとおりです。
先日、この事故の関係者であり山の会「岳樺クラブ」の方から「内容に誤りがある」とのご指摘を頂きました。
当ブログでは、亡くなった方を「岳樺クラブ」所属と表記していました。
そして「岳樺クラブ」の会山行であるかのような表記もしていました。
頂いたご指摘、要約すると以下のとおりです。
ご本人は3年前に岳樺クラブを退会。
事故当時は別の同人組織に入っており、岳樺クラブ会員ではない。
そして、今回の山行は2つの組織の4人が行った個人山行である。
個人山行ではあったが、事故後の対応に2つの組織は全力で取り組んだ。
会山行でないため、HP上への報告書掲載は行わないことにした。
ただ、事故の特異性を考え、メディア上での発表を選んだ。 事実をあらためて知り、愕然としました。
えらく見当違いなことも書いてしまったな・・・と、顔から火が出る思いです。
この後、同会などに心無いメールが送られることなどがあったそうです。
結果として、いろいろな方にご迷惑をおかけすることになってしまい申し訳ありませんでした。
ご指摘の点、訂正するとともに、こちらの思慮の足りなさと事実認識の甘さをお詫びするのみです。
なお、もとの文章においては先方のご了解を得て、会の名称を修正したのみで、そのまま残すこととします。
これは、「こんな失敗があった」と、自らへの戒めもかねてのことです。
今後は情報の取り扱いなど十分に注意してきたいと思います。
====================
3月に八ヶ岳で発生したアイスクライミング中の窒息死事故。
(関連記事:
遭難カルテ27、
日々是好日61)
岳人8月号に分析記事が掲載されました。
図解が分かりやすく、よくこんなことが起きるものだと思いました。
かなり特異な事故で、岳人ですら有効な打開策を見出せていません。
中間報告書に相当する「未定稿」が、所属の山の会「岳樺クラブ」によって作られていたようです。
特異な事故だっただけに、是非、自分たちのHPで公表して欲しいと思いました。
そして、色々な意見を反映し、もちろん雑誌掲載後でもいいので、確定版を掲載していただければと思います。
同様の事故防止、そして防止へのアイデアを募る…そんなHPの利用法もあったはずです。
せっかく立派なHPを持って情報発信しているのに…なんだかもったいない気がしました。
なお、
小屋番nobの雑記帳に取材を受けたときの様子が記されています。
先月、北海道・神威岳で起きた、12人下山せず。
(関連記事:
遭難カルテ74)
ツアーを企画した東京の旅行会社
ウッドウインズツーリストのHPに、事故一週間後ぐらいに
北海道のツアーについてが掲載されました。
内容は簡単なおわびです。
事故の経過、原因の究明、今後の具体的対策。
この3点を明示することが、人命を預かる立場の、責任ある企業のありかたと考えます。
この3点セットが示されないまま、続々とツアーは催行されているようです。
当然、何らかの対策がなされているとは思いますが、多少の不安を感じるのは私だけでしょうか…。
「関係各所のご指示、ご指導を仰ぎ、事態の収拾に努めてまいり、その後改めて、お詫びとを報告を申し上げます。」とあります。
HP上に表記されることを望みます。
遭難カルテ21・
事故報告書2・
日々是好日61でふれた
みろく山の会。
現在のところ、新しい動きはありません。
遭難カルテ45・
日々是好日61でふれた
無名山塾。
こちらは
公式ブログ、
月刊岩崎登山新聞とも、新しい動きはありません。
雪の季節までに…と考えているのかもしれません。
でも、雪山の準備はもっと前から始まるものですが…。
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- 2006/07/28(金) 22:32:58|
- 事故報告書
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【概要】
19日午後4時半ごろ、南アルプスの北岳(3193メートル)に登った千葉県船橋市の男性会社員(51)をリーダーとする5人のパーティーが、下山予定の18日を過ぎても帰らないと家族から山梨県警に通報があった。このパーティーとは別の単独行の東京都足立区の無職女性(48)も下山していないという。北岳付近は同日、激しい雨が一時降った。山梨県警は20日早朝から捜索。午前8時ごろ、早川町奈良田の南アルプス登山口から約1キロの山中で、下山してきた6人を発見、無事を確認した。6人は15日に南アルプス市や長野県伊那市から入山。17日夜に北岳山頂近くの同じ山小屋に宿泊。18日午前8時半ごろに大門沢小屋を通過するのを管理人が目撃していた。リーダーの男性は「16日以降の激しい雨で川の橋が流され渡れなくなった。18日午後1時ごろから、大きな岩の陰で6人で身を寄せていたが、水かさが減ったので今日の早朝、下山を再開した」と話した。
(朝日新聞、毎日新聞、産経新聞、サンケイスポーツ、共同通信よりデータ抜粋・引用。各社ともリーダーの男性と単独女性の実名報道)
【考察】
悪天候などで下山が遅れること自体は、ありえる話です。
それ自体は「遭難」とは言いません。
冬山の予備日などもそうですし、天候回復を待って食糧を食い伸ばすこともあります。
ですが、今回のケースはやはり遭難と考えます。
捜索・救助活動の有無。
遭難と遭難でないケースの分け方は至って単純です。
自力下山ではありますが、捜索活動はすでに始まっていました。
今回は何も報じられていませんが、同様のケースで
「遭難したとは思っていない」「少しは申し訳ないと思う」
などと、とんでもない発言をする場面が過去に何件かありました。
捜索要請⇒捜索・救助活動開始。
この時点で、すでに遭難なのです。
「お騒がせをして申し訳ない。ご迷惑をおかけしました」と言うほかはないのです。
さて、今回のケースも、ここのところ多発した「雨遭難」でした。
6人とも15日に入山。
リーダーの男性は「16日以降の激しい雨で・・・」と発言しており、18日の沢を渡れない状況は予測可能と考えます。
報道から推測すると、17日に宿泊したのは、恐らく北岳山荘でしょう。
(ひょっとすると農鳥小屋の可能性もありますが…)
となると、18日には来た道を戻るという選択肢もあったと思います。
行程消化に縛られ、柔軟な判断が出来なかったとしたら、そこに原因があると思われます。
丸太の橋など、当てにならないものです。
今回も、気象判断がポイントだったと思います。
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- 2006/07/27(木) 21:52:27|
- 遭難カルテ
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「オマエさぁ、せっかく入った会社やろうけど、“わが社”へ来んか?」
15年ほど前の就職2年目、居酒屋で言われた言葉です。
彼は中級山岳を抱える某県の県警山岳警備隊員で、普段は交通課の警察官です。
“わが社”とは、警察のことを言います。
何度か救助訓練に参加させてもらったこともありました。
冬の救助活動の時にはラッセルのローテションに入るなど、少しばかり手伝わせてもらったこともありました。
そのため、顔見知りの隊員が多く、その宴会に呼ばれた席でのことでした。
県警に山の会があり、その会員は半ば自動的に警備隊員にされてしまうようでした。
普段は通常業務、遭難があれば召集がかけられ、救助活動へ。
富山県警のような「専従部隊」は特殊な存在と言えます。
その山の会=警備隊、平均年齢が毎年1歳上がる、と嘆いていました。
当時、彼は40代半ば。
隊の中堅であり、主力の1人でもありました。
当時の警備隊、30代後半から50代前半の人で占められ、20代は皆無でした。
すでに登山者の高齢化が叫ばれていたころです。
今思えば、救助する側にも高齢化が始まっていたのでした。
山の会に若手警官を誘っても入ってくれない、ということのようでした。
若い人は山に行かず、山に行く人は年々老いていく…。
物悲しさが漂う言葉でした。
「“わが社”へ来んか?」
ある意味で、冗談交じりの「スカウト」だったのかもしれません。
今はどうなっているんでしょうね。。。
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- 2006/07/26(水) 20:02:05|
- 日々是好日
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【概要】
23日午前9時ごろ、青森市荒川寒水沢の八甲田山で、沢登りに来ていた青森県弘前市の無職男性(65)が約8メートル下の滝つぼに転落した。約2時間半後に県の防災ヘリが引き上げ病院に運んだが、全身を強く打っており死亡が確認された。青森署によると、男性は登山仲間4人と一緒に同日午前7時50分ごろ、国道103号寒水沢橋から入山。東へ約300メートルの地点で、滝の頂上付近の幅約10メートルの沢を岩伝いに渡ろうとして、足を滑らせたという。同行の女性が近くの宿泊施設から119番した。県防災ヘリ「しらかみ」が同11時半ごろに救出し、青森市内の病院に搬送したが、死亡が確認された。
(毎日新聞、東奥日報、サンケイスポーツよりデータ引用・抜粋。各社とも死亡者のみ実名)
【考察】
九州や長野などで大きな被害を出した豪雨。
東北ではそれほど…のようでした。
このケース、注目したのは2つ。
入山後約1時間、移動距離300メートルでの事故発生です。
まさに入山直後といってもいいようです。
昨年7月に発表された
日本山岳レスキュー協議会の資料によると、発生が多いのは、全行程の4分の3あたり。
日帰り登山の場合には、午後2時がピークになっています。
今回の件、統計と比較すると、特異さが際立ちます。
そこに何があったのか、気になるところです。
もうひとつ。
報道からすると、滝の上部をトラバース中に滑落したようです。
で、ザイルは出していなかったのでしょうか。
あくまでも結果論ですが、ザイル一本で防げた事故のように思います。
「ここ、怖いからザイルを出してくれ」
その一言が言えないパーティーだったとしたら…。
そのパーティーのほうが怖い気がします。
また、彼が初心者で言いにくい場合には、リーダーが気持ちの先回りをして
「ザイル出すか」
と言えば済む話です。
「山ヤはザイルを出したがり、沢ヤは出したがらない」
と言う話を聞いたことがあります。
ウソかホントかはわかりません。
過度にザイルに頼るのはどうかとも思いますが、事故になるぐらいなら出すべきかと思います。
私は山ヤですので、「出したがり」ですが…。
心のどこかに「ザイル神話」みたいなものがあるのかもしれませんね。
話が逆戻りしますが
日本山岳レスキュー協議会の資料。
読んでいるとなかなか興味深いものです。
できればご一読下さい。
現在の登山の一断面が垣間見えると思います。
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- 2006/07/25(火) 19:39:38|
- 遭難カルテ
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【概要】
南アルプス・農鳥岳(3026メートル)から下山中、21日から連絡が取れなくなった4人を捜していた山梨県警は22日午前、頂上付近の尾根でビバークしている、4人を発見、ヘリコプターで救助した。4人は道に迷ったという。4人は長崎市の無職男性(66)をリーダーとする、長崎市の無職女性(61)、大阪府枚方市の無職男性(72)の3人パーティーと、案内役の大門沢小屋管理人の長男(39)。4人は20日午前6時半ごろ、大門沢小屋から奈良田の南アルプス登山口に向け出発したが、一時連絡が取れなくなっていた。4人は衰弱しているが外傷はなく、意識もはっきりしているという。
(毎日新聞、時事通信、山梨日日新聞よりデータ抜粋・引用。山梨日日のみ全員の実名報道)
【考察】
遭難カルテ87でふれた事例の、位置的には近い場所での発生です。
気象判断うんぬんについては、他で多々述べたので、あえて申し上げません。
まず、小屋関係者の同行があった点。
①小屋側が「ヤバイかも…」と判断し、案内役を買って出た
②パーティーの3人が「ヤバイかも…」と判断し、案内役を頼んだ
③小屋側の都合とパーティーの都合が一致して、一緒に下山することに
案内役同伴に至ったのは、おそらくこの3つのどれかでしょう。
いずれにしても3人には心強かったはずです。
ですが、コースを熟知しているはずの小屋関係者ですら、道に迷う…。
どんなに経験のある人でも、道迷いは免れ得ないことを示していると思います。
①ないし②だった場合について。
個々人の技量や能力が不明なので、一般論で。
「ヤバイ」と判断する理由の一つに年齢的なものがあると思います。
66、61、72…3人の平均年齢は66歳超です。
加えて、連日の悪天候です。
不安に思うのは、当然のことだと思います。
①だった場合、他人から見て「ヤバイ」ケースです。
すでに、本人たちの「身の丈」に合った山ではない、ということです。
そして、難しいことですが、その自覚が無かったとしたら、恐ろしい話です。
②だった場合。
本人たちの「身の丈」に合っていない自覚はあったと推測できます。
自分の(自分たちの)身の丈に対する認識、現場で誤りに気づいたといえそうです。
好天ならなんでもない山も、悪天候なら話は別です。
天候変化も含めて、自らの「身の丈」を、あらためて考えさせられました。
しかし、長崎の66歳と61歳&大阪の72歳って、どういうパーティーなんでしょう?
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- 2006/07/24(月) 15:05:32|
- 遭難カルテ
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今年の梅雨は、本格的な豪雨模様です。
災害死者も20人近くなりました。
山でも遭難が相次ぎましたが、災害の被災者と同列には論じられません。
県の防災ヘリや県警ヘリ、このような災害時に活躍することを期待されて、準備されているものだと思うからです。
それを山の遭難救助に…と思うと、水害被災者に申し訳ない気持ちになります。
生活の基盤である家を土砂に押し流された人と、山へ遊びに行って遭難した人。
普通に考えると、どっちが優先か、言うまでもないことです。
冬の大雪、梅雨の豪雨…なんだかヘンな感じですね。
夏はいったいどうなるんだろう?
今年の梅雨は長引きそうです。
日々是好日55にも書きましたが、雨が降るとテンションが下がりまくる私にとっては、一年中で一番ユウウツな季節です。
と、いうわけで、同じ言葉で〆ましょう。
早く梅雨明けになりますように。
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- 2006/07/22(土) 20:25:11|
- 日々是好日
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【概要】
20日午前8時25分ごろ、北アルプスの五竜岳(2814メートル)山頂付近で男性が倒れているのを、長野県警山岳遭難救助隊が発見、救助した。 男性は
大阪市城東区、同市役所職員(56)で、死亡が確認された。頭を強く打っており、滑落したらしい。 男性は15~18日の予定で単独で登山に出かけたが、19日になっても帰宅しないため、家族が同署に届けていた。登山計画書は提出していなかった。
(朝日新聞、中日新聞、SBCよりデータ引用・抜粋。すべて実名報道)
【考察】
中高年、転・滑落、単独、計画書未提出…。
統計モノや啓発モノに出てくるキーワードが一通りそろっています。
悪天候の中、なぜ無理をして山に向かったのでしょうか。
せっかく来たんだから…というには、あまりにむごい結果です。
天気が悪ければ、温泉&ビールでいいと思います。
また、次の機会に来ればいいのですから。
この男性、マラソン大会に出場するなど、普段からトレーニングに励んでいたようです。
それだけに、余計、残念な思いがします。
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- 2006/07/22(土) 17:46:44|
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【概要】
南アルプスの千枚岳から入山し塩見岳に向かった静岡県の男性3人の登山パーティーが、下山予定の17日を過ぎても下山せず連絡が取れなくなっていることが19日、分かった。3人は公務員男性(51)=静岡県島田市、公務員男性(57)=静岡市清水区、会社員男性(59)=同市清水区。下山予定日はだった。南アルプスは荒天で、家族の届け出を受けた静岡県警は3人が遭難した可能性もあるとみて天候が回復を待ち、20日からヘリなどで捜索。3人は22日朝、長野県側から救助に向かった民間航空会社のヘリコプターに発見され、救助された。3人にけがはなく、衰弱した様子はあるが、自力で歩けるという。3人は14日に入山。その後、塩見岳を経て、車を置いた二軒小屋に戻って来る予定だった。15日はテントで泊まり、約8キロ離れた小屋に宿泊予定だったらしいが、小屋の宿泊簿に名前がなかった。16日、塩見岳山頂から下山コースの雪投沢に下りようとしたが、暴風雨のために断念。17日朝、雪投沢から大井川源流の東俣まで下ったが、増水していたため、約300メートル上の山林でテントを張り、1日分の予備食を食べながらアマチュア無線で助けを求めた。
(毎日新聞、共同通信、時事通信よりデータ引用・抜粋。共同は3人の実名、時事は1人だけ実名)
【考察】
大荒れの長野。
山の上でも悪天候に遭遇したようです。
そもそも悪天候が予想できなかったのでしょうか。
そして、沢沿いのルートは増水で通行できなくもなります。
とくに渡渉がある場合などは、要注意です。
トラブル発生後の対処は、妥当なものと考えられます。
通報の大半が携帯電話という時代。
アマチュア無線が効力を発揮したのもひとつのポイントでしょう。
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- 2006/07/22(土) 16:58:19|
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【概要】
17日午後2時半ごろ、北アルプスの槍ケ岳北鎌尾根で、愛知県豊田市の男性2人が遭難したと、2人が所属する山岳会から110番通報があった。遭難したのは57歳と43歳の会社員。15日に同県安曇野市の中房温泉から入山し、17日に下山する予定だった。下山途中に57歳の男性が体力を消耗して動けなくなった。山頂まで行けずに引き返したが、軽装だったため雨にぬれて体力を消耗したという。雨と視界不良のためこの日は救助活動は行えず、18日朝、2人を救出した。
(毎日新聞、中日新聞よりデータ抜粋・引用。遭難者名、山岳会名報道されず)
【考察】
この日、高校野球長野県大会は雨天順延。
前日も一部の試合が順延になっています。
その後も雨の続いた長野県地方、死者が出るなどの被害がでています。
梅雨時なので、当然、雨は多いものです。
特に今年は多いようです。
梅雨時の山。
何より、雨対策が重要なのは当然のこと。
「軽装だったため雨にぬれて体力を消耗した」
なんだかオソマツな印象を受けるのは私だけでしょうか。
「軽装」の内容が不明なので、仮定の話。
雨具を持っていなかった…あってはならないことです。
雨具が貧弱だった…これもあってはならないことです。
天気予報を見て、つい軽量化で置いていきそうになります。
が、天気など、どう変わるか分かりません。
「梅雨時=雨」ずいぶん簡単な公式のはずですが…。
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- 2006/07/22(土) 16:09:58|
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【概要】
17日午前2時ごろ、富士山御殿場口登山道8~9合目付近で、疲れて歩けなくなっていた兵庫県加古川市の会社員(52)と妻(52)を救助。2人は16日早朝、富士宮口登山道新7合目を出発し登頂した後、下山しようとしたが、道に迷い、同日午後7時40分ごろ、携帯電話で110番通報した。
(毎日新聞より引用。住所の一部、実名は当方で削除)
【考察】
初夏の富士山。
あまり迷うようなところはなかったと記憶していますが…。
当日、富士山は濃霧と風に覆われていたようです。
分かるところまで引き返す、というのがセオリーです。
が、今回、どのような行動をとったかが不明なので、これ以上は話を進められません。
風をよける場所もあまりなかったと思います。
そんな中で日も暮れて、深夜まで6時間も救助を待つ。
ずいぶんと心細い想いをしたと思います。
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- 2006/07/22(土) 14:16:05|
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【概要】
17日午後2時ごろ、「埼玉県秩父市の滝川ブドウ沢で沢登り中、仲間が1人滑落した」と山梨県警に110番があった。パーティーは男性4人で、東京学芸大の山岳サークルに所属する学生。滑落したのは東京都小平市に住む同大1年の学生(18)。16日夕から17日の予定で、秩父市大滝から山梨県側の西沢渓谷にかけて約12キロの沢登りを計画した。17日午前9時半ごろ、ブドウ沢出合付近をヘルメットを装着して移動中、ザイルを使った訓練中に3番目を進んでいた1人が誤って約4メートルの下の滝つぼに転落。すぐに引き上げたが、心肺停止状態だったため高台に置き、3人は山小屋に避難したという。3人は18日に救助隊と合流し、午後1時過ぎに無事下山。他の救助隊員が滑落男性の捜索に向かったが、悪天候のため、この日の捜索は打ち切られた。熊谷地方気象台によると、秩父地方の山間部は17日から18日昼までの降水量は約60ミリ。事故現場付近は断続的な大雨で沢からの雨水が集まり、水かさが5~6倍に増えていたという。
(毎日新聞、朝日新聞、産経新聞、中日新聞よりデータ抜粋・引用。朝日、中日のみ滑落者実名報道)
【考察】
梅雨時の沢登り事故、続いています。
まず、なんでこの季節に沢に入るのか…。
増水は分かりきっているはずです。
それに伴い、危険度が格段にアップすることも疑う余地がありません。
私なんぞ、怖くて近寄ろうとは思いませんが…。
さて、滑落したのは大学のサークルの1年生です。
同行者の中には上級生もいたと思われます。
下級生に目を配るのが上級生の役割だと考えます。
滑落を未然に防ぐことが出来なかったこと、悔やんでも悔やみきれないことでしょう。
状況からして、生還は困難かと思われます。
少しでも早く、収容されることを願うばかりです。
==========追記(2006.07.29)==========
心肺停止状態だった男子学生の遺体、28日に収容されました。
目立った外傷はなかったとのこと。
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- 2006/07/21(金) 13:12:47|
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【概要】
16日午後9時15分ごろ、鹿児島県屋久町の荒川登山口で登山客と待ち合わせていたタクシー運転手から「客4人のうち1人が下山してこない」と通報があった。行方不明になったのは鳥取県倉吉市の眼鏡店経営の男性(64)。18日朝、荒川登山口(屋久町)の東約500メートルにあるトロッコ専用道のがけ下約10メートルに男性が倒れているのを、捜索中の登山ガイドが発見。全身を強く打っており、島内の病院に入院、意識ははっきりしているという。男性は16日夜、宮之浦岳(1936メートル)登山の帰りに友人3人と小杉谷で休憩したあと遅れ始め、荒川登山口へ下山する途中で行方がわからなくなっていた。15日に屋久島入りし、16日早朝から宮之浦岳に初めて登山した帰りだった。
(毎日新聞、西日本新聞からデータ抜粋・引用。両紙とも男性のみ実名報道)
【考察】
パーティーの意味。
先に下山した3人はどう考えていたんでしょうか。
入山から下山まで、特別な事情がない限り行動を共にするのが基本だと思うのですが…。
「相互依存」「互助」といった意味合いが、パーティーには含まれています。
遅れたからといって、置いていってしまうとなれば、すでにパーティーとは言えない状態です。
同様のケース、年配の方のパーティーに多いように思うのですが、気のせいでしょうか。
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- 2006/07/20(木) 17:26:45|
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【概要】
16日午前8時ごろ、兵庫県養父市・氷ノ山の通称「小豆転がし」(標高約800メートル)付近で、神戸市西区の会社員男性(55)が約30メートル下の岩場に転落。同行の仲間の110番通報で、約2時間後に救出され、県消防防災ヘリで神戸市内の病院に運ばれたが、ろっ骨や骨盤を折り、重傷。男性は仲間2人と前日夜に氷ノ山に入り、テントで1泊後、この日午前6時ごろから沢登りの練習をしていた。男性は登山歴約30年、他の2人も約20年のベテランだったという。
(データは毎日新聞より抜粋・引用。事故者のみ実名報道)
【考察】
この日、近畿で2件目の沢登り事故です。
30メートルの転落で、よく命があったものです。
発生2時間での救助だったことも、その理由のひとつかと思います。
何にせよ、命が助かったのはせめてもの救いでしょう。
転落の状況がよくわからないので、分からないなりに考えたことを。
ベテランと言えど、事故は免れえません。
年数や経験を重ねたことから来る思い込みのようなものが原因になることもあります。
「山=怖いもの」
ずっと忘れずにいたいと思います。
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- 2006/07/20(木) 16:58:02|
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【概要】
16日午後零時50分ごろ、大津市葛川坊村町の比良山系で、沢登りをしていた神戸市東灘区、無職男性(65)が滝つぼに転落した。男性と一緒に入山していた3人のうち、神戸市垂水区の会社員男性(60)が下山して110番通報し、兵庫県西宮市、医師の男性(55)ら2人は、男性を助け上げたが、約2時間後に死亡を確認し、同6時50分ごろ自力で下山した。牧さんは同日午前9時ごろ、所属する山岳会のメンバー3人と入山し、御殿山方面に向かっていたが、口ノ深谷付近で滝つぼに転落。会社員男性は「滝つぼは落差10メートルくらいで、(男性は)ほぼ即死状態だった」と話している、という。
(朝日新聞、毎日新聞、京都新聞よりデータ引用・抜粋。各紙とも死亡した男性のみ実名)
【考察】
どういう状況で転落したのか不明ですので、推測と一般論で。
楽さ10メートルと言えば、相当なものです。
ヘルメットをしていたところで、防御能力の限界を超えているように思います。
転落を防ぐにはザイルが必要なのは明らかになってきます。
今回、滝つぼまで落ちたと言うことは、ザイルが機能していなかったと考えられます。
岩で言うところのグラウンドフォールと言う状態ではなかったでしょうか。
ルートを見た瞬間、ヤバイかも…と思ったら、ザイルを出す。
結果として必要なかったかも知れない場面でも、そうすることが必要に思います。
毎回ながら、もう少し情報が欲しいところです。
また、最近の報道の傾向として感じたことがあります。
山岳会名を表記しない点です。
今回は死亡者の個人名は表記されているにもかかわらず、山岳会名は無表記です。
なぜ表記しないのでしょう?
その是非も含めて、また考えてみることにします。
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- 2006/07/19(水) 20:16:48|
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【概要】
15日午前7時55分ごろ、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂の北アルプス・西穂高岳(2909メートル)山頂付近で、兵庫県芦屋市の男性医師(57)が尾根から滑落したと、一緒に登山をしていた男性会社員(44)から西穂高山荘を通じて、県警高山署に通報があった。医師は男性会社員と2人で14日、西穂高岳に入山。西穂高山荘に泊まり、15日早朝、奥穂高岳に向け出発していた。会社員の話では、医師は100メートル以上滑落したとみられ、呼びかけにも返事がないという。県警のヘリコプターが空から捜索したが、現場は急斜面で近づけず、天候が悪化したため午後6時に捜索を打ち切った。17日も悪天候のため現場に入れず、捜索を見送った。
(読売新聞、毎日新聞、神戸新聞、中日新聞よりデータ引用・抜粋。毎日・中日は実名)
【考察】
西穂~奥穂間。
いまさら説明するまでもありませんが、いやらしい場所が何箇所かあります。
そのどこかで滑落したのでしょうか。
積雪期ほどの難易度ではありませんが、残雪期は初心者向けではありません。
2人のレベルや装備が分からないので、あまり詳細について語れないのが残念です。
西穂のロープウェーのおかげで、容易に入山できるところです。
この2人がどうかは不明ですが、安易な登山者が集まる場所でもあります。
入山の手軽さと山の難しさは関係のないところです。
おりしも梅雨の悪天続き。
捜索活動は難航しそうです。
状況から見て、生還は難しいかもしれません。
ですが、生きて戻ることを願うほかはありません。
==========追記(06.07.21)==========
中日新聞によると、転落した男性(57)は、20日朝5時15分ごろ、西穂山頂近くの稜線から150メートル下の岩場で、遺体で収容されたようです。
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- 2006/07/19(水) 17:23:41|
- 遭難カルテ
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昨日、知人の葬儀に出席しました。
61歳、突然の病、7日間の闘病でした。
涙雨の中、棺を見送りました。
会社の上司でしたが、師と仰ぐ存在でした。
時に父親のように、時に兄のように。
何度助けられ、何度背中を押されたことか。
この会社で働き続けている、大きな理由をひとつ失いました。
彼の願いを、ひとつ残してしまいました。
それは「一緒に剣岳に行って欲しい」と頼まれていたことでした。
彼の故郷は、富山。
地元の山に足跡を残しておきたかったのでしょう。
彼の仕事が一段落する来年の夏あたりを…と、考えていました。
ですが、果たせぬ夢になってしまいました。
去年にでもムリヤリ引っ張って行っておけばよかった…。
悔やんでも悔やみきれないものが残ります。
ずいぶん昔、山で焚き火を囲んでのこと。
ある先輩の話を今でも思い出します。
「人間、何をやっても必ず悔いが残る。
だから、より悔いが少なくなるように生きよう」
そう語ってくれた先輩、厳しく鍛えてくれましたが、暖かい人でした。
その先輩も1年の後、ヒマラヤで命を落としました。
「悔いを少なく」と思っていても、たくさんの悔いを残したと思います。
そう思っていなければ、もっともっと多くの悔いを残したことでしょう。
自分の中に残ってしまった悔い。
どうやって向き合っていこうか…。
しばらく頭を悩ませそうです。
週末前後に、遭難が相次ぎました。
少しずつ考えていこうと思います。
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- 2006/07/18(火) 20:12:34|
- 日々是好日
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【概要】
15日午前11時55分ごろ、福島県郡山市の安達太良山系和尚山に登山に来ていた県立安達高校(二本松市)山岳部を引率していた男性教諭(41)から「川が増水して動けなくなった。女子生徒が体調を崩している」と救助を求める110番があった。午後2時ごろ、1年生の女子生徒(16)が県の防災ヘリで搬送され、残りの生徒ら23人はレスキュー隊の先導で自力で無事下山した。女子生徒は脱水症などがあったが、病院で点滴を受け帰宅した。郡山北署と同校によると、山岳部員21人と引率の教諭3人は同日午前7時15分ごろ、銚子ケ滝登山口(郡山市)を出発したが、10時15分ごろ女子生徒が体調を崩し動けなくなった。雨が激しくなったため登山を打ち切り、女子生徒をおぶって下山。登山口から約700メートルにある川が増水して橋が水没していたため、教諭が携帯電話の通じるところまで行き110番した。一行は安達太良山を経て、福島市の野地温泉に午後4時に到着、バスで学校に帰る計画だった。同校の吉田和衛校長は「大変心配をかけた」と話している。
(データは共同通信・産経新聞・毎日新聞より引用・抜粋。いずれも個人名表記なし)
【考察】
高校山岳部の部員が21人とは…うらやましい限りです。
我が母校の山岳部といえば、悲しいかな、いまや絶滅寸前…。
それはさておき。
この日は梅雨前線が東北南部から能登半島にかけて停滞していました。
当然、現地は前線の真下ということになります。
あくまでも結果論ですが、天候の良くないことは予測できたのではないでしょうか。
また、それに伴い、川の増水も予想の範囲内と言えそうです。
ただ「橋が水没する」ほどの増水は、推測の範囲を超えていたのかもしれません。
未成年の引率、学校登山に準ずる形態かと思います。
この場合、引率者の責任は、きわめて大きいといわざるを得ません。
高校の部活動では、山の経験がない教員が顧問になるケースもあります。
この学校がどうだったのかは分かりませんが、山岳部顧問の質の向上、課題になるかと思います。
今後、廃部や休部などの方向に流れないことを祈ります。
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- 2006/07/18(火) 19:22:41|
- 遭難カルテ
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5日に
警察庁HPに
H17年中における山岳遭難の概況(pdf)がアップされていました。
目を通してみての感想から。
総数(件数・人数)などの総合的な数字は、以前書いた
日々是好日62を参考にして下さい。
統計モノは、どこに視点を置くかで、表現するものが変わってきます。
警察庁が留意している点、3つのキーワードに絞れます。
①中高年
②単独
③携帯電話
いずれも、あまり目新しいものではありません。
警察発表資料にマスコミ報道を加えたものはすでに書いているので、今回は少し違う視点で。
●道迷いの6月
遭難が200件を越えるのが、5、6、8、10月。
各種様態もだいたい5、8、10月に集中しています。
登山者自体も多い月なので、まあ、こんなもんでしょう。
では6月はなぜ?
道迷い594件中の2割強にあたる126件が6月に発生。
この2つを重ねると、6月227件中の55%が道迷いということになります。
また、悪天候45件のうち、3分の1強の16件が6月発生。
で、去年の6月の天気が特に悪かったかと言えば…。
気象人で天気図を見てみました。
梅雨前線はほとんど太平洋上で停滞、空梅雨の様相でした。
そういえば、四国の渇水などが話題になった記憶があります。
ということは…。
雨なら山を中止したのに、降らないから山に入る。
入ってみたらガスってしまって…という感じでしょうか。
●雪の季節は携帯の季節
昨年1年間で携帯電話での通報555件に対し、無線機は11件。
遭難時の通報機器は、ほぼ携帯電話一色です。
月別の通信手段使用率から見てみると…。
12月~3月は5割を越え、4月と11月も5割近くになっています。
特に12月~2月は55%を越すレベルです。
一方、5月~10月は4割前後。
夏にあたる6月~8月は3割台で推移、特に6月は33.0%です。
この積雪期偏重、理由は恐らく2つでしょう。
ひとつは雪山に入る人のほうが、比較的、救助要請手段に敏感なこと。
もうひとつは積雪期のルート取りと電波状況。
尾根筋が多く、谷筋に入らないことから、電波が届きやすい状況にあると言えそうです。
前年の統計でも12月~3月は5割を超えています。
すっかり雪山の装備として定着しつつある、そんな感がします。
余談ですが、携帯電話の話。
15年ほど前のことです。
同僚と2人で会社の携帯電話を(勝手に)持ち出して、剣岳に行きました。
果たしてつながるかどうか…山頂からの遊び半分のテストでした。
今ほど中継アンテナがない時代でしたので、どうなることやら…。
頂上に着き、ザックから携帯電話を出しました。
当時の携帯電話といえば、弁当箱サイズ。
でかくて重い上に、一般にはまだあまり普及していないころでした。
とても山に担いでいけるシロモノではありません。
そのためか、居合わせた人たちの注目を集めてしまいました。
恐る恐る受話器を上げると…「ツーーーーーー」。
固定電話よりもやや甲高い、あの音が聞こえました。
「使えそうやな」というと、周りに人が集まり始めました。
「んじゃあ、かけてみるか…」と、会社にダイヤル。
周りの人も固唾を飲んで見守る状態です。
発信音が何回か鳴り、向こうで受話器を取りました。
途切れることなく、短い時間でしたが、明瞭に会話ができました。
受話器を置くと、周りの人が誰ともなく拍手をはじめ、その輪が広がったものです。
こちらもうれしくなって、「ありがとうございますぅ」。
って……なんで見ず知らずの人たちに頭下げてんだろう(笑)。
もっとも会社の上司からは「そんなことに使うな!」と怒られましたが…。
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- 2006/07/13(木) 19:39:29|
- 日々是好日
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少々ぼやけていますが、手前が右手薬指、奥が中指です。
よく見ればお分かり間と思いますが、薬指の爪の先、若干ゆがんでいます。
2月に中アで凍傷になったものです。
2日目、行動開始直後から凍えていました。
数時間後、気づいたときには2本の指が、第1関節から先が真っ白に…。
3年連続の同じコースに同じ装備で入っていました。
2回とも無傷だったことと、気象条件も似たように感じたため、完全に無警戒。
やられた……という感じでした。
あわてて厚手の予備ミトンに換え、その後の行程を消化しました。
「冬山をやる以上、凍傷はある程度宿命みたいなもの」
そう思っています。
2月、中ア(木曽駒~麦草)⇒凍傷。
3月、南ア(鋸、悪天などで途中撤退)。
5月、北ア(双子尾根~杓子)。。。。
日々是好日2で、「しばらく治療に専念」などと書いてしまいました。
が、山ヤの性か、直らないままに山行きを重ねてしまいました。
そのせいか、直りが遅い気がします。
いまだに指先の赤みがとれず、しびれもあります。
完治にはあと1ヶ月か2ヶ月。。。
こんな指じゃ、岩も沢も藪も、厳しいかなぁ。。。
なんていっているうちに、夏は終わってしまうかもしれません。
自業自得と言われれば、返す言葉もありません。。。
久しぶりの凍傷ですが、直りの遅さ。。。
やっぱり毛細血管もトシをとったんでしょうかね。
来季からはもう少し凍傷予防に力を入れなければ…。
データ追加のため
遭難カルテ75と
遭難カルテ76に追記しました。
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- 2006/07/12(水) 19:09:43|
- 日々是好日
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【概要】
6日午後4時40分ごろ、白馬村のペンション経営者の男性(56)が北アルプス・白馬鑓ケ岳の鑓温泉から戻らないと、勤務先から大町署に届け出があった。男性は6日午前7時半ごろ、1人で鑓温泉から猿倉登山口に向かって下山したという。男性は下山予定時間になっても帰宅せず、連絡も途絶えている。県警山岳救助隊や地元の遭難対策協議会などが空と地上から捜索したが、見付かっていない。男性は長靴姿だったという。
(毎日新聞、中日新聞、信濃毎日新聞、SBCよりデータ抜粋・引用。信毎以外は実名報道)
【考察】
まず、長靴ってどういうことなんでしょう…。
雪山に長靴で行ったことがないだけに、なんとも言えませんが…。
私からすれば、ちょっとありえない装備に思えます。
鑓温泉を出たのが6日午前7時半ごろとすれば、前日かそれ以前から同所に宿泊していたと考えられます。
白馬鑓温泉小屋のHPに、以下の文章が掲載されていました。
「7月10日更新 スタッフが入山しました。急ピッチで小屋建てをしていますが、白馬鑓温泉小屋の営業はまだしておりません。登山される前に必ずお問い合わせ下さい。今現在、鑓温泉方面のルートは全面雪付となっており夏道は出ておりません。また、残雪のため崩落の危険性が高いため通行止になっております。」
以上から類推すると、小屋建てになんらかの関係があったのかもしれませんが、詳細は不明です。
5月に小日向のコルまで行ったときに、今年の残雪の多さを目の当たりにしました。
今回は地元の方ですので、コースに慣れがあったかも知れません。
が、例年以上の残雪の多さも要因のひとつのように思います。
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- 2006/07/12(水) 14:41:45|
- 遭難カルテ
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【概要】
6日午後5時50分ごろ、小谷村栂池自然園の散策中に道に迷った千葉市の男性(65)、白馬連峰中腹を流れる松川の川岸で動けなくなっているのを、別の遭難者を捜索中のヘリコプターが発見した(ヘリでなく地上捜索隊とする報道もあり)。松川が増水したため、身動きが取れなかったと見られる。現場は栂池自然園から直線距離で約4キロ。濃霧で視界が悪く道に迷ったらしい。7日午前6時過ぎから県警がザイルとはしごを使って救助にあたり、50メートルあまり離れた対岸からおよそ1時間かけて男性を救助。けがもなく救助された男性は「いやー助かった。死ぬんじゃないかと思った」と話した。
(毎日新聞、信濃毎日新聞、SBC、TBSよりデータ抜粋・引用。テレビ各社は実名報道)
【考察】
残雪の残る初夏の栂池自然園、今頃は水芭蕉がきれいな季節です。
ゴンドラやロープウェーで、手軽に上がっていける場所です。
当然、観光客も多いところです。
この男性、「登山」というよりも、本当の意味での「散策」だったのかもしれません。
「登山者」でなかった場合、「道迷い」を責めるのは少々酷な話かもしれません。
「登山者」であれば、地図・コンパスのことや、迷ったときの対処などに問題があったと言えそうです。
「いやー助かった。死ぬんじゃないかと思った」とは本人の弁。
少々抜けた感じがしないでもないですが、案外正直なところかもしれません。
当然、話したことはこれがすべてではないと思いますが、助かった安堵感は十分に伝わってきます。
人騒がせではありましたが、無事で何よりでした。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/07/12(水) 13:43:21|
- 遭難カルテ
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【概要】
6日午後6時20分ごろ、大町市の扇沢雪渓上部で下山途中の同市の男性(63)が足を滑らせて転倒し、友人に知らせ、大町署に届け出た。7日朝7時前、県防災ヘリコプターで救助され、大町市内の病院に収容された。男性は左足の骨折。
(データは信濃毎日新聞、毎日新聞、SBCより抜粋・引用。各社とも匿名・職業表記なし)
【考察】
さて、今回分かっているのは地元の63歳男性であること。
そして、転倒⇒骨折⇒1晩のビバーク⇒救助、と言う流れ。
情報量が薄いので、一般論の上に想像力を働かせるほかはなさそうです。
雪渓上での転倒⇒滑落というケースが考えられます。
傾斜にもよりますが、雪渓上の滑落では、あっという間に加速します。
雪渓上にはクレバスやシュルンドといった危険が、ぱっくりと口を開けており、その中に落ちたりすれば、大怪我をする場合もあります。
以前も書いたのですが、転倒防止の歩行技術。
続いて滑落停止技術
この2つが問われます。
今回は、地元の人ということで、コースを熟知していた可能性があります。
そして、年齢から来る衰えがあった可能性も否定できません。
が、いずれにしても本人に関する情報はなく、あくまでも可能性の域を出ません。
何年か前の夏に、剣岳・長次郎雪渓を最上部から下降したときのこと。
初心者を連れていたので、傾斜の落ちる熊ノ岩付近までザイルを出して下降しました。
案の定、何度かザイルのお世話になる状況に遭遇しました。
あの時、ザイルがなければ…と思うと、ぞっとします。
雪渓の下降、侮るべからずといったところでしょうか。
==========追記(06.7.12)==========
長野県警山岳救助隊週報によると、男性はガラ場(ガレ場)での転倒との事でした。
厳密に言えば雪渓上(雪上)の転倒ではなかったようです。
ガレ場、確かに歩きにくく、転倒の多い場所です。
私も例外ではなく、転んだ経験のある方も多いかと思います。
ただ、骨折に至るほどの転倒とは…何と言っていいのやら…。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/07/11(火) 20:29:16|
- 遭難カルテ
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最近、活発とまでは言えませんが、考えるコメントが頂ける様になりました。
こちらの意見に対する賛否両論、いろいろとありますが、反応があることは喜ぶべきこと。
また、そこからこちらも考える、そのプロセスが大切だと思います。
長いコメントに対し、こちらも長い長い返事を書く。
双方向で考えをぶつけること、いいことですね!
感情的な言葉の応酬や、罵倒するようなもの、不毛以外の何モノでもありません。
が、冷静に考えを戦わせ、そこから学び取ることが重要です。
これまで、反対意見もいくつかいただきました。
その中にこそ、自分の気づかなかった視点があったりします。
反対意見やご批判も、賛成意見同様に大歓迎です。
なにより考える材料を提供してもらえるのだから…。
ただ、真意がうまく伝わっていなかったり、うまく汲み取れなかったり…。
伝えたいことを正確に伝えるって、難しいですね…。
改めて言葉の、そして文章の難しさを思い知りました。
登山者の大半を中高年が占める中、まだまだ私も若輩者。
ですが、考えたり学んだりすることに、年齢は関係ありません。
多くの方と、言葉のキャッチボールが続いていければいいと思います。
ただ……「Subject」と「Name」の欄には、何か入れてください。
本名を書け、といっているわけではありません。
愛称でもハンドルネームでも、なんでも結構です。
それらしい表題があれば十分です。
空白のケースが何件かありましたもので…。
こちらが返事を書くときに「●●さまへ」とか「Re:●●」書いた方がいいと思いますので。。。
今後、山のことを考える上で、活発な意見交換・議論の場になれば…と思っています。
これからもよろしくお願いします。
遭難カルテ75の女性、亡くなったようです。
データ、追記しました。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/07/07(金) 19:47:44|
- 日々是好日
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【概要】
5日午前11時ごろ、北アルプス槍ケ岳(3180メートル)槍沢の通称グリーンバンド付近を登山中だった佐賀県嬉野市、無職女性(62)が足を滑らせて雪渓を約500メートル滑落した。同行の山仲間が通り掛かった山小屋の男性従業員を通じて通報した。女性は「嬉野町山登の会」のメンバーで、4日に仲間5人と上高地から入山し、6日に下山する予定だった。現場はガスが立ち込めており、救助隊員がヘリコプターで救出に向かったが、視界が悪く、近づくことが出来なかった。女性は頭から出血しており、意識不明の重体のもよう。6日、天候の回復を待って民間ヘリで救助に向かう。
【考察】
正直なところ、槍沢で滑落すること自体が理解できません。
それほど難しいところではなかったと記憶していますが…。
グリーンバンドの手前は少々傾斜がきつめになります。
どこで滑落したのか詳細は分かりません。
が、雪上歩行の技術のつたなさが原因のひとつと考えられます。
雪上訓練、どの程度こなしたのでしょうか。
九州・佐賀県と言う土地柄とはいえ、山に入るにあたっては理由になりません。
訓練を一度もしたことのない人、中高年に多いようです。
学生の山岳部などは毎年、雪上訓練をやっていますが…。
ただ、滑落した方の技量のほどが不明ですので、あくまで推測です。
続いて、滑落停止について。
ピッケルによる滑落停止を試みたのかどうか。
それも訓練が必要なことは言うまでもありません。
ピッケルの最も基本的な使用法のうちのひとつです。
持っているだけ、杖としてしか使わない…なんてのは論外です。
また、ピッケル自体を持っていたのかどうか不明です。
もし、ストックしか持っていなかったとしたら、認識が甘いとしか言えません。
また、ヘルメットが必要とまでは言いません。
が、もしメット装着なら…とも思います。
ここからは一般論ですが…。
訓練の重要性、頭では誰しも分かっているはずです。
ですが、中高年になってから山をはじめた人には、認識の薄い方が多いようです。
「このトシになって、いまさら訓練なんて…」と言う声を聞いたこともあります。
えてしてそういう方は、有名どころの山に行きたがったりもします。
基礎をキチンと身に付けたうえで、いける山に行くべきだと思います。
訓練がいやなら、そういうところには行く資格はない、ということです。
==========追記(2006.7.7)==========
女性は6日午後3時すぎ、東筑摩郡波田町の病院に運ばれたが死亡が確認された。死因は頭がい底骨折だった。
==========追記(2006.7.12)==========
長野県警山岳救助隊週報より。
この女性、4本爪アイゼンにストックだったようです。。。
はからずも危惧していたとおりでした。
ピッケルを装備していないということは、滑落停止以前の問題でした。
ストックは歩行の際の補助としては有効な道具です。
季節やルートを問わず、いまや中高年登山者のトレードマークと化した感さえあります。
が、滑落時の停止には全く無力です。
コンディションによってピッケルと使い分けること、ごくごく当たり前のことだと思うのですが…。
私自身、積雪期にストックを持っていくことはあります。
ですが、場所によってはピッケルの出番となります。
装備が増えて困るときには、ストックを置いていきます。
また、個人的意見ですが、4本爪アイゼン、あまり信用していません。
確実に歩き、確実に止めること、改めて意識することにします。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/07/06(木) 17:23:15|
- 遭難カルテ
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橋本龍太郎元首相が亡くなりました。
政治家としての功罪を述べるつもりはありません。
橋本氏、あまり知られていませんが、実は山への関係の深い方です。
日本山岳協会名誉会長、
日本アルパインガイド協会会長、
日本山岳ガイド協会会長、
日本山岳会顧問…。
そして数々の遠征隊へ、隊長、総隊長として名前が何度も登場しました。
標高5000メートルを越えるエベレストBCまで足を伸ばしたこともある人でした。
あの
野口健氏も「オヤジ」と公言してはばからない存在です。
いろいろな意味で、日本の登山界における“御大”的な存在と言っても過言ではありません。
一国の首相まで務めた人です。
並々ならぬ人であったことは、想像に難くありません。
同じ山ヤとして、山に行き、一緒に焚き火を囲んで飲めたらいいなぁ…。
きっと興味深い話が次から次へと出てくるんだろうなぁ…。
などと、勝手に思っていたうちの1人です。
かなわぬ希望とは知りつつも、消えてしまった希望。
一抹の寂しさを覚えました。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/07/04(火) 16:18:18|
- 日々是好日
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ここ何年か、山で焚き火をしていません。
なんだか猛烈に焚き火がしたくなることがあります。
煙の臭い、妙に懐かしさをそそられます。
焚き火のやりかたにもいろいろと流儀があるようです。
他の会の人たちと山に行ったとき、いざ焚き火を…となったときにわかりました。
ただ、山ヤの共通認識として「極力道具に頼らない」ってのがあるようです。
使うのはせいぜいナタ、ライター、古新聞。。。道具はたったこれだけ。
それでも数時間放置しても消えない火ができるものです。
オートキャンプ場ではないので、自力で薪集めから。
藪に入り、倒木を引きずり出し…。
杉の枯葉など、猛烈に煙が出ますが、よく燃えます。
オキがある程度たまるように、うまく木をくべる。。。
コツをつかめば、ずいぶんと楽しいものです。
火を囲んで飲み食いしゃべり…雨さえ降らなければ、そのまま寝てしまう…。
ポカポカと暖かく、気持ちよく眠れると、ものすごく幸せな時間です。
肉や魚やソーセージを焼くと、これがまたとんでもないゴチソウに。
焚き火の魅力、語りだすと長くなってしまいますね。。。
焚き火が出来る場所、年々少なくなっているように思います。
オーバーユースや山火事の問題もあるので、仕方ないのかな。。。
高校生の頃は、山に行くと、毎晩のように火をたいていました。
これも時代の流れでしょうか。
今年の夏は焚き火に行こうかな…。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2006/07/01(土) 12:34:27|
- 日々是好日
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