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山道を行く

カラダとアタマと心。 すべて働かせるのが山の魅力でしょうかね。

【日々是好日149】 和解成立

大日岳訴訟、和解が成立しました。

和解条項の柱は2つ。
①和解金は一審判決の賠償金と同額の1億6700万円
②国が冬山登山の安全対策を講じる検討委員会を設置
また、和解条項には盛り込まれなかったものの、国の責任者が遺族宅に出向いて謝罪することも確認された、とのこと。

一審判決維持を訴えた遺族側の求めが、ほぼ満たされたかっこうです。
裏返すと、国側が事実上一審で敗訴しそれが確定した、と言えます。

今回の一連の裁判、ざっとまとめてみます。
争点になったのは、講師のルートおよび休憩場所の選定についての過失の有無。
民事上の国の責任を問うものでした。
(言い換えると、ガイドの責任を問うものではない、ということ)
刑事裁判は、講師が書類送検→不起訴処分となりました。

一審で、地裁が遺族側の訴えを認める判決。
講師に判断ミスがあり、国はその責めを負うべき、という内容でした。
これを受けて国は控訴しました。

控訴審で、国側の証人申請を高裁支部が却下し、和解を勧告。
そのあたりで、今回の和解内容も見えていたのかもしれません。

ただ、「謝罪」を和解条項に盛り込まなかったあたり、国側の強い抵抗があったのでしょう。
「和解条項」という公式の書類に「謝罪」の文言を載せたくなかった。。。。。。
なんとも、やれやれな感じではありますが・・・。
この国のお役所の体質が垣間見える部分ではないでしょうか。。。


いずれにしても、やっと落ち着くところに落ち着いたか、と思います。
引率型登山の責任をめぐる訴訟の、ひとつの答えが出ました。

事故から7年、裁判は5年。
ご遺族の皆様に、少しでも心の安らぐ日が来ることを願ってやみません。




今回の裁判で不思議なのは、他の文登研講師の方々。
主にプロガイドの皆さんということになろうかと思いますが、その方々の沈黙。
今回の裁判は、そういう人たちにとって、とてつもなく重いものだと思います。
同業の仲間の過失問題だけに、発言を控えているだけかもしれません。
そういった苦衷は察せられますが、はたしてそれでいいのか?と思います。

講師の方の大半がプロガイドだったこと。
ガイドの方々にとっても、重い裁判結果だと思います。
一部のガイドの方は、裁判の経過に沿って意見を述べておられます。
何件か、興味深く拝見しました。
が、沈黙を守る方が大半。。。。。。
しかも、ガイド組織に至っては、まったく何も見解が述べられない有様。
そういった方々の議論なんてものはないのだろうか。。。。。。。
ちょっと危機感が足りないのかな。。。。。なんて、大きなお世話かもしれませんが。。。。




むしろこれから大事なのは、②の検討委員会。
国が公開の安全検討委を設置、事故を教訓に、研修会の安全対策を検討する、というもの。

日々是好日144でふれた、航空・鉄道事故調査委員会の報告書のように、「事故の原因を究明し、事故の防止に寄与することを目的」として「事故の責任を問うために行われたものではない」という形に進んで欲しいと思います。
責任論についてはいろいろな考え方があると思います。
ですが、「より安全に」「教訓を生かす」というところにおいては、誰しもが同じ思いのはずです。
責任の問題は、裁判で決着しました。
ですから、責任論を離れたところで、考え議論し答えを探す方向に進んで欲しいのです。

事故当時に講師をされていた方々の、委員会への参加。
まず、これは欠かせないところではないでしょうか。
その時そこで何があったのか、それを一番よく知っている方々ですから、「事故を教訓に」というのであれば、欠かせません。
責任の所在を問う場ではないし、個人を攻撃する場でもないのですから、その忌憚のない意見を、検討委の議論に反映させて欲しいところです。

検討委に対して、どこまで期待ができるのかは未知数です。
ですが、少しでも前に進めればいいなぁ…と思います。



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  1. 2007/07/28(土) 04:04:24|
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【日々是好日148】 昨年の遭難統計

平成18年中における山岳遭難の概況
警察庁HPにアップされています。
今回はその内容から。
(WEB上からは消えていますが、前年のデータを一部参照した点もあります)

件数1417件(+35件、2.5%増)、遭難者1853人(+169人、10.0%増)、死亡・不明278人(+5人、1.8%増)。
件数が微増なのに対して、人数は大きく増えています。

単独と非単独(パーティー)について。

単独の遭難者が497(件)人(+39(件)人、8.5%増)なので、複数人のパーティーに関して言えば920件(-4件、0.4%減)、1356人(+130人、10.6%増)となります。
意外なことに、パーティー遭難の件数は減り人数は増えている、という数字が浮かんできました。
遭難一件当たりの遭難者数、全体で見れば1.30人(前年は1.22人)。
単独分を差し引くと、1.47人(同1.33人)。
少し増えている状況で、遭難パーティーの大型化を示すものかも知れません。

単独遭難が8.5%増なんですが、単独の死亡・不明者129人は前年比1人増にとどまっています。
単独遭難のうち死亡・不明の占める割合は25.9%で、前年の27.9%よりも低下しています。
パーティーの場合はどうかというと、死亡・不明の割合は16.2%で前年の11.2%よりも大きく増加している傾向がうかがえます。

大型遭難年と言われた中で、死亡・不明者こそ微増でしたが、単独遭難は大きく数を増やしました。
パーティーの遭難件数は減った一方、一件当たりの人数や、死亡・不明人数とその割合は高まり、大型化・深刻化が進んでいるのかもしれません。



続いて年齢別。
15歳未満、15~19歳、20~24歳…………85~89歳、90歳以上という、17の階層に分けて遭難人数がカウントされています。
15歳未満から45~49歳は微増となり、50~54歳へ向かい急増。
60~64歳がその頂点になり、292人。
100人を越えるのは50~54歳→75~79歳。
この6つの階層の人数と割合を並べてみました。
 50~54 166人  8.96%
 55~59 259人 13.98%
 60~64 292人 15.76%
 65~69 243人 13.11%
 70~74 196人 10.58%
 75~79 116人  6.26%
この6階層だけで1272人、68.64%となります。
遭難者の7割近くが50、60、70歳代ということになります。

報道などでよく言われる中高年(40歳以上)で言えば、1507人で81.32%。
これはここ10年で、割合は微増状態です。
高齢者(65歳以上)で言えば、617人で33.30%。
これは言い換えると、遭難者の8割は中高年、3分の1は高齢者、ということです。

遭難者の年齢別分布はデータとしてあるのですが、登山者全体の年齢別分布があれば、どういった年代が遭難確率が高いのかが分かり、それに応じた対策も考えられるのではないかと思います。


様態別。
道迷いがトップの714人(38.53%)。
件数が不明なのですが、5人パーティーが道迷い遭難をした場合、件数は1でも人数は5人とカウントされてしまうため、人数が大きく膨らんでいるのかもしれません。
ぜひ、件数のデータも欲しいところです。
続いて転・滑落系(転倒・転落・滑落)が3つあわせて586人(31.62%)。
体調不良系(病気・疲労)が307人(16.57%)。
よく言われる3大要因ですが、この3つで1607人(86.72%)を占めます。
それぞれの要因に年齢分布や性別分類を重ねることで、もっと具体的な姿が見えてくると思います。

疲労というのが150人(8.09%)。
これって・・・「疲労で動けなくなった。助けて欲しい」というようなケースでしょうか。。。
ちょっとオソマツな気もします。。。。。



ざっと資料を見ての感想は以上です。
昨年との比較が中心なので、全体の「流れ」みたいなものがつかめるかどうかはわかりません。

毎年発表される統計ですが、「中高年が…」「単独が…」というのも毎年のこと。
もっと細かいデータや、複数のデータをクロスさせることで具体的な傾向と対策が見えてくるはずです。
もう少し進んだ資料を出してほしいもんだなぁ。。。。。。



ここから先は余談です。
登山口にある看板に、地元警察名で「単独登山はやめましょう」と、よくあります。
今回のデータからすれば、遭難者に占める単独の割合は26.82%。
単独登山者が仮にゼロになったとして、減少する遭難は4分の1ほど。
単独の遭難者に占める死亡・不明者の割合が高いためでしょうか?

ただ、看板に「中高年登山はやめましょう」としたとしたら・・・・・・
まあ、ありえない話ではありますが、ふと、そんなことを考えてしまいました。


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  1. 2007/07/24(火) 18:45:03|
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【山日記 35日目】 北横岳

久しぶりに北八ツへ。
もともとだらだら過ごすはずだったのが、急に行くことになり、準備からドタバタ。
15日に大阪を出て長野へ。
台風4号の大荒れの明けで、好天ならいいなぁ。。。との目論見。
一泊あけて、ガスってはいるけれど、悪くはないお天気。
さてどこに行こうか…と、ぼんやりテレビを見ていると。。。。

グラグラグラグラ・・・・・・・
地震!!!

間もなくテレビはニュース速報に変わり、新潟で震度6やら何やらとにぎやかに。
被災地の人たちは、大変な目にあったようで。。。。。。

そんなこんなで出発時間が遅れてしまったため、短めのコースに。
ピラタスのロープウェーから北横岳という、我が家にとってはポピュラーなコースへ。

お昼ごろ、ロープウェー山頂駅を出発。
今回は次男が成長振り(?)を見せ付けるほどの絶好調。
毎回、泣き叫び、ダダをこね・・・という展開なのに。。。。
ニコニコはしゃぎながら、ずんずん登る。
長男が呆れるほどの元気振りでした。

北横岳山頂


時折薄日は差すものの、基本的にはガスガスの天候。
暑すぎず寒からずといったところ。

下りは長男が本領発揮。
あっというまにロープウェー山頂駅へ。
昼食・休憩込みで3時間半で戻ってきました。
背負子は最後まで出番なし。

ロープウェーを降りて車に乗ったとたん、2人ともぐっすり。
軽く楽しんだ程度でしたが、まずまずでした。

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  1. 2007/07/19(木) 14:39:30|
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【日々是好日147】 救助隊の手当と保険料

富山新聞より引用
 立山・剱岳方面遭難対策協議会(会長・伊東尚志上市町長)は10日開いた総会で、危険地域に出動する救助隊員(民間協力隊員)の傷害保険料と救助活動手当を、遭難者か遭難者家族の全額負担とすることを決めた。これまでは遭難者・家族に負担を求めてこなかったが、中高年の登山ブームに伴い遭難が増えたことから、長野、岐阜両県の遭対協と応益負担で足並みをそろえた形である。
 立山・剱岳遭対協は上市、立山の両町と立山黒部貫光、立山貫光ターミナル、立山山荘協同組合の五者で構成され、活動費用はそれぞれの負担金や補助金、寄付金などでまかなわれている。山小屋のスタッフや山岳ガイドら50人が救助隊員となり、2006年度は27件の遭難で27日間に延べ61人が出動した。
 救助隊員に適用する傷害保険は保険期間が七日間、死亡・後遺障害、入院、通院を含めた保険料が1人当たり1万5700円、救助活動手当は1回の出動で同じく1万5千円となっている。遭難者・家族の全額負担は8月1日から実施し、遭難・要救助の事態が発生した段階で負担について事前に了解を得る方向である。
 近隣の岐阜北ア、長野北ア南部、長野北ア北部、宇奈月、朝日岳の各遭対協は保険料と救助活動手当のほか、装備品や交通費など救助にかかった費用はすべて遭難者・家族の負担としている。薬師岳遭対協は遭難自体が少ないため、負担を求めていないという。(以下略)


この救助隊員というのは、警察・消防関係ではなくて民間の人達。
別に生業を持っていて、いざ遭難事故が発生したら、召集→出動。
消防団と似たような形態でしょう。

驚いたのは、剣・立山ともあろう場所で、救助隊員の日当・保険料が請求されていなかったこと。
どこでも当然請求されるものと思っていました。
まあ、負担するのが当たり前だと思いますが。。。。。。。

遭難した場合、出動隊員1人あたり1日に3万円強が必要になり、消耗品・交通費も。。。
さらに、民間のヘリが飛んだりすると…。
遭難した場合、やはりお金がかかること、改めて考えさせられました。
全額はまかなえなくても、保険は重要だなぁ…と。

これまでは遭難者・家族に請求していなかったとか。
どこからそのお金が出ていたんだろう?
それぞれの負担金や補助金、寄付金などでまかなわれているとのこと。
救助隊の側が私費負担していたとしたら、遭難なんて迷惑な話だと思われても仕方ありませんね。。。。。
とても「感謝の言葉」だけですむとは思えません。。。。

今後は事前に了解を取るとのこと。
「お金がかかるなら、救助はいりません」なんてことにならないことを願うのみです。

もし、事故を起こしてしまったら。。。。。
始末はなるだけ自分でつけたいものです。
となると、お金がいるのか。。。。



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  1. 2007/07/12(木) 01:59:42|
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【日々是好日146】 0.27%の女人禁制

紀伊山地・大峰山と中国山地・後山。
女人禁制の山、知っている範囲で日本には2つあります。

後山の方は結構緩い?ようで、女性の方の記録もネット上で散見できます。
また、大きなトラブルは、今のところ知りません。
(過去にあったのかもしれませんが・・・)


が、大峰山のほうは、なにかと話題になりました。


2005年に女人禁制に反対する団体のメンバーが、地元の反対を押し切って登山を強行したこと、マスコミでも取り上げられていました。
双方とも話し合いの場を設けるという点では一致したようなのですが、互いに頑なな姿勢のまま。

この団体、やることが何かと???なので、さすがに応援する側には回れません。
登山強行については、交渉相手の感情をいたずらに刺激しただけで、逆効果だと思いましたが。。。。。。
また、強行したメンバーがいたことについて、この団体は「無関係」の立場のようで、ちょっと無責任だなぁ・・・と。
地元や神社に対する質問書のようなもの、内容は・・・やはりケンカを売っているととられても仕方のないものでした。
この団体のメンバーから、マスコミの報じ方についてもいろいろと批判がありましたが、そのマスコミを引き連れていったのは誰???

趣旨に賛同できる部分がないわけではないのですが、やりかたがどうにも・・・。



「伝統」「宗教」「地元の意向」に対して「男女格差の是正」。
どちらも重い問題で、一方的に「こっち」とは言いにくい。。。



「宗教」に関していえば、ヒマラヤのクーンビラが有名なところでしょうか。
十分「登山の対象となる山」だと思います。
シェルパ族にとっての「神の山」として、足を踏み入れることができないとされています。
日本の金毘羅山の語源とも言われているようです。
地元の信仰、ないがしろにすべきではないと思います。

ただ、ここには男女の別はありませんし、すべての人が等しく対象になります。


ギリシャのアトス山。
紀伊山地同様、世界遺産に登録されているのですが、ここも宗教的理由で女人禁制。
大峰山よりも先に、女人禁制の状態のままで世界遺産登録されたことから考えると、「世界遺産」の認定要件と「女人禁制」は無関係といえそうです。

世界遺産でいえば、沖縄の琉球王国のグスク及び関連遺産群。
この中に斎場御嶽も含まれています。
御嶽というのは沖縄の宗教施設で、確かその多くが男子禁制だったように思います。
御嶽の禁制に関するトラブルは、今のところ知りません。
まあ、男性の側から「禁制をなんとかしろ」との声が上がらないことがトラブルにならない理由かもしれません。

アトス山と御嶽。
個人的意見でいえば、男女どちらの「禁制」も守られて良いと思います。
宗教上の理由、宗教施設・・・それを踏みにじる権利はないんじゃないか・・・と。


ただ、アトス山も御嶽も「宗教施設」であって、「登山の対象となる山」ではありません。
そこが「大峰山」と違うところです。



登山の好きな女性がいて、「女」であることを理由にその山に登れない。
なんとか、登れるようにはならないもんだろうか。。。。
一方では、そうも考えます。
性別を理由に、というのは、一面では確かに理不尽ではあります。

その山を欲するのであれば、「禁制」に対しての運動、理解もできるし賛成もできるのです。
ただ、大峰山の例の団体からは、それが感じられないのです。

「大峰山」を欲しているのではなく、「女人禁制撲滅」を欲しているんじゃないか。
ただ単に「女人禁制が存在すること自体がケシカラン」という主張に見えてしまうからです。
ターゲットが大峰山になっただけじゃないかと思うほどです。

このような団体は「戦って勝ち取るんだ!!」みたいな姿勢があるように思います。
だから最初からケンカ腰になるのかもしれません。
そうなると、相手となる地元や寺社の姿勢もより強硬になっていくんじゃないだろうか・・・。

この団体も、地元も、ともに落としどころ(妥協点)を探る、という方向に進めばいいんですが、もつれた感情はなかなか修復できませんね。。。
「100かゼロか」「勝ったか負けたか」となると、どこまで行っても平行線かもしれません。
「認め合い、譲り合う」という部分が、あってもいいんじゃないでしょうかね。。。



女人禁制の問題。
歴史、宗教、差別、地元…。。。。
多くの問題が絡み合っていて、私にはいまだ結論が出せません。

宗教や地元などへ十分な配慮をしたうえで、女性に限らず誰にでも開かれた山に…そんな日が来ればいいと思うのですが。。。。。。





表題にある、0.27%。
1÷365×100=0.27397…
1年のうちの1日という意味です。

四国の石鎚山は毎年7月1日の例大祭の日のみ女人禁制を続けています。
この日以外の、99.73%にあたる364日は、男女の別なく受け入れています。
唯一の正解ではないかもしれませんが、ひとつの方法ではないかなぁ…と思います。



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  1. 2007/07/10(火) 01:15:59|
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【日々是好日145】 昨年の遭難統計

先月下旬警察庁から昨年の遭難統計が発表されました。
詳細は近いうちに警察庁HPにアップされると思います。
各報道機関の報道内容をかいつまんで言うと、下のとおり。
・遭難件数は前年比35増の1417件。
・遭難者は前年比169増の1853人。
・死者・不明者は前年比5増の278人(遭難者中の15%)。
・遭難件数、遭難者数、死者・不明者数は過去最悪(統計は1961年から)。
・目的別では登山(1271人、69%)、山菜・キノコ採り(376人、20%)。
・中高年(40歳以上)が遭難者の8割(3年連続8割超)、死者・不明者の9割を占める。
・高年齢者(50~74歳)の遭難者は1156人で、全体の7割近くを占めた。
・年代別では、60代が535人(29%)、50代が425人(23%)、70代が312人(17%)と続く。
・単独での遭難は497人で、全体の27%。
・単独遭難者に占める死者・不明者の割合は26%。
・原因は道迷い(714人、39%)、滑落(286人、15%)、転倒(204人、11%)の順
・通信手段は「なし」が56%、携帯電話が38%、無線機などが6%。


昨年、遭難は確かに多かった。。。。
史上最悪、統計上からも裏付けられた形になりました。


まずは、数と分布の話。

相変わらず、大半が中高年といったところでしょうか。
8割超となると、さすがに多い。。。
特に60代と50代に集中している感じです。

4人に1人は単独行者。
道迷いは4割。
半数以上が通信手段を持たず入山。
大雑把に言えばそんな感じです。


毎度のように言われる中高年の話。

確率からすると、中高年登山者総数が不明なので、「中高年が遭難しやすい」と、単純には言えない事になります。
中高年、遭難者数は8割だけど、登山者総数の9割超を占めている…となると、遭難確立は低い・・・。
こんなこともありうるわけです(多分、ないと思うけど…)。
どうせなら、そっちの統計もあわせてやってもらえれば、もっと具体的に見えてくるんですけどね。。。
同様に単独登山者の遭難割合などにも同じことが言えると思います。

通信手段の有無について。

死者・不明者に通信手段の有無をクロスさせると・・・。
今回はそのデータがないので推測になりますが、おそらく通信手段「なし」が、全体よりも高い割合を示すと思います。
となると、「通信手段を持っていたほうが助かる確率が高い」となります。
「携帯電話は電波の届かない所も多いので注意してほしい」なんていう当たり前のことを注意するよりも、こちらのほうがよほど説得力があるのでは…。

携帯電話、結構通じるものだと思いがちです。
実際に「こんなところで通じるなんて…」というケースもありました。
ですが、南アの稜線上ですら通じなかったこともあります。
正直なところ、現地に行ってみなけりゃわからない。。。。
せめて主要山域だけでも携帯電話通話可能エリアマップのようなものがあれば、随分参考になると思います。
通話不可のエリアに入るなら無線機を持っていこう…なんて考えられるからです。
無線機に関しても同様のマップがあれば、なおいいと思いますが。。。。


単独行の場合と中高年の場合、遭難者中の死者・不明者の割合が全体よりも高くなっています。
こういうふうに見えてくれば「なるほど、そういう傾向なんだ」と思えるわけです。
これは単独や中高年というデータに、死者・不明者のデータをクロスさせているわけです。

年齢・性別と遭難原因や時期などをクロスするなど、他の方法もいろいろあるでしょう。
複数の統計データを組み合わせることで、より具体的な傾向がわかります。
そうなると、対策を考える際にも、随分参考になるのではないでしょうか。
また、計画書の有無や「はぐれ・置き去り」型の統計も欲しいところです。



現状では事故統計、警察に頼るほかはないと思います。
ガンバレ警察庁!とは思いますが、まあ、あまり期待できないでしょう。。。。

昨年分のまとめ統計が、半年後に出る。。。。
もっと早い時期に出せると思います。
なんでこの時期なんだろう???
「本格的夏山シーズンを前に」という、啓発・注意喚起の意図があるのかもしれませんね。



今日から富山で全国山岳遭難対策協議会が開かれています。
この警察庁の統計も、議論の材料のひとつになることでしょう。
ただ、この会議の内容、WEB上では見つけられませんでした。。。。
(知っている人がいたら教えてください)
その中身、実になることが多いのではないかと思います。
会議自体に出席できなくても、ネット上でその内容がわかる。。。。
そんなふうになればいいのですが。。。



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  1. 2007/07/05(木) 15:05:20|
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【日々是好日144】 事故報告書、ひとつのカタチ


JR西日本・福知山線の事故。
先日、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会から最終報告書が出されました。


「本報告書の調査は、本件鉄道事故に関し、航空・鉄道事故調査委員会設置法に基づき、航空・鉄道事故調査委員会により、鉄道事故の原因を究明し、事故の防止に寄与することを目的として行われたのであり、事故の責任を問うために行われたものではない。」

過去の鉄道事故報告書を見たのですが、毎回、冒頭にはこの言葉が並んでいます。



事故の責任を問うためではなく、原因を究明し、事故の防止に寄与することを目的として・・・。
山の遭難事故においても、同様のものってできないだろうか。。。

そんなことを考えてしまいました。



もちろん、公共輸送と趣味・レジャーの世界ですから、全く同じというわけにはいきません。
JR事故の報告書について専門家からは
「運輸行政の問題点については歯切れが悪い。国土交通省内の一部局の限界」
といった指摘もあり、完全に中立ではないという指摘もあります。

そういった問題をクリアして上で、原因究明と防止への寄与という目的ならば…。


登山の世界に、そんな報告書が作られていくならば、意義は大きいと思いました。


まあ、夢のような話ではありますが・・・・

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  1. 2007/07/01(日) 17:46:48|
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