全く個人的な話です。
先日裏山を歩いていたときに気づいたこと。
下りのスピードが全然上がらない。
かつては「猿」と呼ばれるほどで、自信もあったのですが…。
ここのところ山に行くたびに気になっていました。
なんだかヘンな感じだなぁ…と。
1人だったので誰にも気を遣わずに住むことと、人里も目の前なので、歩き方をいろいろと変えてみたりしました。
で、気がつきました。
歩幅が小さくなっていたんです。。。。
正確に測ったわけではないのですが、確かにそう思えました。
少し大きめの歩幅をとると、割とすいすい足が出るのです。
感覚的にも、以前に近いものが…。
まあ、スピードが上がれば、歩幅は広がることになるんでしょうけど。。。。
なんでそんな歩き方になっていたのか、少し考えてみました。
理由その1。
いろんなことが、コワくなってきていること。
ちょっとした岩場でも、以前より恐怖心が大幅増加のような感じです。
行け行け!!ってころには、あんまり怖いものがなかったのかもしれません。
ちょっと転んだぐらいなら、全然平気だったのですが、今は「ここで足痛めて動けなくなったら…」なんてことを考えてしまいます。
転倒による遭難事故が多い現実、ブログを始める前にはほとんど気づいていませんでした。
なんとも、臆病者になったもんだなぁ…。
理由その2。
最近多い子連れ登山の影響。
子供と歩くと、当然ペースをあわせなければならず、ゆっくりになります。
また、子供がコケたときに支えられるよう、足場を確かめたりします。
このあたりも影響しているのでしょう。
また、キッズキャリアを背負った場合。
子供の体重+キャリア自重+装備=20Kg少々。
ザックなら大して気にならない重さというか、当たり前の重さなのですが。。。。
ザックのような歩き方はできません。
コケることが許されないわけですから。。。。。
また、上下動が大きいと、背後で泣き叫ぶ…なんて状況になります。
そのため、極力上下動を抑える歩き方になります。
これが、結構、筋力を要するのです。。。。
嫁さん抜きで山に行くと、1人を背負い、もう1人の手を引いて…となります。
コレを繰り返していると、自然とそういった歩き方になってしまう。。。。。
筋トレにはいいのかもしれませんが。。。。
理由はおそらくこんなところかと思います。
歩き方を使い分ける。
全く考えていませんでした。。。。
下の子も4歳。
背負うと重くなってきましたが、かなり歩けるようにもなってきました。
自分の歩き方、足元を今一度、見つめてみるかな。。。。。
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- 2007/10/31(水) 18:42:08|
- 日々是好日
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遭難カルテ142で触れた剣の遭難事故。
報告書の概略版ともいえる
資料を見つけました。
大牟田岳稜会関係者から福岡県山岳連盟に提出された報告書の抜粋が掲載されています。
「報告書からの抜粋」部分のみ抜粋します。
遭難事故の内容と原因
1.事故発生月日 平成19年9月25日(火)
2.発生場所 北アルプス 剣岳の北方 小窓付近(標高 2,400m)
3.天候 9月24日(月) 晴れのち曇り
9月25日(火) 小雨、ガスにより視界不良
4.遭難者 8名(57歳、59歳、62歳2名、63歳、65歳、66歳CL、69歳)
5.遭難事故の原因
(1)剣山頂から北方稜線は上級者向きコースにもかかわらず、ルートを熟知していなかった。
(2)池の谷乗越通過以降、ルート上のポイントを確認していなかったため、現在地点がわからなくなり、道迷い状態となる。(2万5000分の1の地形図は持っていたが確実にチェックしていなかった)
(3)小窓のコルまで行ったにもかかわらず、三の窓と誤認したため自力での脱出の方法を見つけることが出来なかった。
(4)メンバーの年齢構成から判断してルート選定に無理があった。原因の(1)(4)からみると、遭難カルテのコメント欄で指摘のあった、計画段階で破綻しているような感じです。
(1)についていえば、計画段階の話。
準備不足としか言いようがありません。
よく整備された一般ルートであれば、そこまでの準備は必要ないかもしれませんが。。。。
(4)についても、(1)同様に計画段階の話です。
今回のような高齢パーティーには無理のあるルート選択だった、と読めました。
確かに無理があるなぁ・・・とは思いますが、「メンバーの年齢構成から判断して」という部分、明確な基準というのは難しいかもしれません。。。
しかし、具体的な対策が欲しいところではあります。
登山者の高齢化が進んでいるのは周知の事実です。
いまや登山者の主流を占める、といっても過言ではないと思います。
そういった状況の中で、他人から指摘されるのではなく、自ら原因に「年齢構成」を挙げたこと、少なからず驚きました。
(そうではない人を何人か見てきたもので。。。。。)
(2)について。
「上級者向きコース」であり「ルートを熟知」していないのなら、より注意すべき点でしたが、そこがおろそかになっていた、ということでしょう。
地形図は持っていたにもかかわらず。。。。悪く言えば、宝の持ち腐れ状態です。
道迷いの典型的原因と言えるかもしれません。
普段から、こまめな位置確認を習慣付けておくこと。。。。
あらためて読図の重要さを思いました。
(3)については、(2)にともなって発生した原因という部分があると思います。
ただ、ちょっと気になることがあります。
「自力での脱出の方法を見つけることが出来なかった」とあります。
これは「戻る」ということも不可能だったということを指すのでしょうか?
この「脱出」という中に「戻る」も含まれているのかどうか、はっきりしません。
抜粋・概略版ということで詳細が不明なのかもしれません。
ただ、道に迷ったとはいえ、なぜ引き返すという選択肢をとらなかったのか、もう少し詳しく知りたいところです。
また、27日までの予定で食糧を持っていたと報じられていました。
救助要請は25日の朝。
積雪期でもなく、2泊3日分の食糧を持っており、「比較的しっかり」した装備を持ち、けが人もいない。
そんな中で救助要請をした事情。
そのへんも詳細が欲しいところです。
報道された情報だけ見れば、「安易な救助要請」のように見えます。
「実際は違う」というのは、詳細な報告書からしか見えてきません。
これも抜粋版のためかもしれませんが。。。。。。
最も重要と思われる、「対策・教訓」が見えてきません。
なぜ、どのようにして事故に至ったか、まずはその分析と検証。
次に、ではどうすればよかったのか、そして今後どうすべきか。
この部分が見えてこないことが残念です。
提出された報告書において、事故原因の分析までは進んでいたのだと思います。
ただ、そこから導き出される反省と教訓、私はそれが一番知りたいところです。
それぞれのポイントにおける判断などの是非や検証。
それを考える上で、詳細な行動記録は欠かせません。
詳細な報告書、公開されるといいんですが。。。。。
ちなみに、大牟田岳稜会も福岡県山岳連盟もHPを持っていません。
(私が見つけられないだけかもしれません。。。)
WEB上で報告書が公開されることは、ありえないかもしれません。。。。。
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- 2007/10/25(木) 01:24:43|
- 事故報告書
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鉄人79歳2000登山達成というという記事が西日本新聞に掲載されていました。
福岡県の男性(79)が、甲斐駒(2967)で2000登山を達成したとか。
60歳でマラソンを始め、65歳の御嶽山(3067)が初登山。
以後、登山に目覚め、全国をピークハントして回っているとのこと。
15年で2000とは、単純に驚きました。
しかも、65歳という、高齢者になってからの登山ですから、なおのことです。
元気な年配の方が多い昨今、ここまできたか。。。。と、思いました。
ちょっと気になった記述が1箇所ありましたので、引用します。
「仲間と遭難した場合、助けるのが難しい」と単独で登山。う~ん。。。。。
パーティーで山に行くことの意味や楽しさをご理解いただいてないようですね。。。
あえて悪く取ると、「遭難しても、自分は常に助ける側である」とも取れます。
マラソンをされているとのことですので、体力的には同行者よりも勝っていたのでしょう。
ただ、自分より遅い人と行くのがイヤになったのでしょうか???
2000もの山に登った人に対して言うのはどうかとも思いますが、やはりある種の危うさが消えません。
もっとも、これは報じた側の問題かもしれません。
単独の理由を聞かれて、数十分にわたって熱弁をふるったとしても、記事になったときには1行。。。なんてこともありえます。
記事を載せる方も、もうちょっと何とかならなかったんだろうか。。。。
こういったスタンプラリー的登山。
100名山なんかもそういったカテゴリーに分類されることになるのでしょう。
個人的には興味がない世界です。。。。
(いくつ登ったとか、いままで数えたことがない。。。。)
ですが、否定はしません。
目標を持って取り組むこと自体はいいと思います。
また、ひとつのスタイルであって、興味があるないも自由ですから。
雪山や岩、沢に興味のない人だっているはずです。
また、それも可だと思います。
ですので、それ自体を否定はしません。
ただ、個人的に、スタンプラリー状態になってしまうと、なんだかノルマに追われているような気がして。。。。
私なんぞはノルマ達成なんて、仕事だけで十分です!(笑)
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- 2007/10/23(火) 11:10:06|
- 日々是好日
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【概要】
6日午後7時20分ごろ、福島県檜枝岐村の尾瀬・燧ヶ岳(2356メートル)で、千葉県柏市、無職女性(65)の行方が分からなくなったと、同行の男性(65)から南会津署に通報があった。女性は登山仲間5人とともに同日午前9時20分ごろ、尾瀬沼にある山小屋を出発し、長英新道から燧ケ岳に登り、午後2時ごろに登頂。その直後、体力に自信がないとして、先に1人で御池に下山を始めたが、仲間が午後7時ごろに宿泊先のロッジに到着しても、女性の姿が見えなかったという。女性は軽装で、昼食の残りのおにぎり一つしか食料を持っていないという。同署や村山岳遭難救助隊が7日午前6時から、約20人態勢で捜索したところ、午前7時20分ごろ、御池登山口から約3キロの熊沢田代付近で手を振っている女性を県警ヘリが発見、救助した。若干衰弱しているがけがはない。
(読売新聞、毎日新聞、KFB福島放送より、データ引用・抜粋)
【考察】
まず、わずかな食糧と軽装であったにもかかわらず、無事であったことは何よりです。
今回のケースは、一種の「置き去り型」+「道迷い」かと思います。
確かに「先に行っているから」と遭難した方が先行していますが、「先に行ってて」というのと、実質的には変わりないと思います。
ルート上、迷いやすいところがあったようには思えませんが、詳細が不明なので、道迷いについては何とも言えません。
時間の経過を見てみることにします。
09:20 出発
14:00 燧ケ岳頂上
19:00 5人が御池に到着
午後7時といえば、もう暗くなっています。
到着時間もさることながら、どう見ても出発時間が遅いように思います。
燧ケ岳山頂から御池まで、休憩も込みで5時間ほどかかっているのからすれば、パーティー全体のペース自体がゆっくりだったと考えられます。
歩くペースがゆっくりな人たちがいても、それは問題ではありません。
ただ、この「ゆっくりさ」からすると、出発時間の設定、首を傾げざるを得ません。
遭難した女性。
頭のどこかに、この「時間の遅さ」があったのかもしれません。
時間が遅いし自分の体力に自身がない⇒先行するほうがよさそうだ。。。。
そうであれば、まずこの出発時間の設定自体が、つまずきの始まりということになります。
もし燧ケ岳山頂に早い時間についていたら、ゆっくりでも一緒に下りようということになったかもしれません。
今回の件は6人パーティーのうちの1人だけが下山していなかったケースです。
「自信のない」人を1人にすることが、遭難の一因だと考えられます。
パーティー意識の希薄さというか、リーダーは何をしていたというのか。。。。
通常、パーティーの行動については、最もペースの遅い人に合わせるのが基本です。
もし、パーティーを分けるとしても、「自信のない」人にリーダーが付き添うなど、別の方法もあったのではないでしょうか。
基本的には全員でともに行動すべきですが、6人いれば3:3なり、2:4に分ける手はあったと思います。
「自信のない」人を単独で先行させる、その判断基準に疑問が残ります。
ただの「仲良しグループ」で、リーダー不在、パーティー意識希薄となれば、何かがあったときには対処しきれないのではないでしょうか。
パーティーとは、リーダーとは。
そんなことを考えさせられる一件でした。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2007/10/11(木) 19:15:27|
- 遭難カルテ
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一昨日の夜、家でケーブルテレビのニュースを見ていると
「環境か観光か、大台ヶ原で入山制限」
ってのをやってました。
(サイトは
こちら。動画もあります)
長いのですが、何日かしたら消えてしまうので、一応全文引用します。
貴重な原生林で知られる奈良県の大台ヶ原が今、観光客の増加などから、木々が枯れる被害が出ています。環境省は先月から入山者の数を制限し始めました。環境か、それとも観光か、太古の森が揺れています。
紀伊半島の真ん中に雄大な自然が残る、奈良県の大台ヶ原。年間20万人が訪れる、関西でも有数の観光スポットです。
しかし、樹木の立ち枯れが目立ち、森はいつしか木の墓場となりつつあります。その原因の1つが排気ガス。週末ともなると、静かな森は人と車であふれ返ります。
大台ヶ原の自然保護に取り組む田村義彦さんは、特にここ数年、森が大きく変化したと言います。
「ツアーの観光客による『歩道の複線化』というのがこれなんです。観光客が作った新しいルートですね」(大台ヶ原の自然を守る会、田村義彦さん)
登山道に平行して、新しい道ができています。雨でぬかるんだ道を嫌う観光客が歩道をそれて、植物を踏み荒らしてしまったのです。
「苔とか落ち葉で守られていた表面が雨のたびにえぐられますしね、周辺の植生にもよくないですし」(大台ヶ原の自然を守る会、田村義彦さん)
貴重な原生林を守るため、環境省は3年前にマイカーの乗り入れ禁止を計画。マイカー客にはふもとの駐車場でバスに乗り換えてもらおうとしました。ところが、観光客が減ると地元業者らが反対して見送り。最終的に地元と合意できたのは、大台ヶ原を東西に分け、西大台と呼ばれる地域の入山者を制限することでした。平日は1日30人、観光シーズンは100人以下としましたが、この数字だと年間1万人が入山可能で、現状の2倍となってしまいます。
地元の観光業界などに押し切られた結果ですが、それでも環境省は・・・
「これまでのピーク時は100人を超える利用者の方を記録しているわけなんですね。それについては確実に減らしているわけですので、今回の方法で十分効果がでるんじゃないかと」(環境省近畿地方環境事務所、田辺仁さん)
地元が一体となって環境保護に動き出した場所があります。長野県の乗鞍高原です。高山植物を保護するため、4年前にマイカーの乗り入れが禁止され、車で来た人はふもとでシャトルバスに乗り換えます。
規制前の2002年、頂上付近は車で大渋滞していましたが、今では車はほとんどありません。人に踏み荒らされて一度は消えてしまった道路わきの植物が、よみがえろうとしています。ただ、規制前に比べ、地元の旅館は宿泊客が6割減りました。
「この環境があっての観光ということで、みなさんこの美しい自然を見にいらっしゃるということで、これを壊してしまっては観光そのものが成り立たなくなってしまう」(長野県松本地方事務所、長谷川浩さん)
環境か、それとも観光か。大自然を守る難しさに、今、大台ヶ原は直面しています。
「観光地化したところをどう保護するかというのは、発想を180度変えないことには。マイカー規制を是非実現しないと大台の自然は救われない」(大台ヶ原の自然を守る会、田村義彦さん)
人間の論争の間にも、貴重な大自然を切り売りするかのように、太古の森はやせ細り始めています。西大台の入山者規制の話は
日々是好日153でも触れました。
改めて映像で視ると。。。。白骨林ですね。。。。
マイカー規制の話で、乗鞍と対比させていました。
乗鞍「環境あっての観光」
大台「まず観光ありき」
この地元の意識の差、どっからくるんだろう。。。。
今回、う~ん。。。と思ったのは「歩道の複線化」。
「ツアーの観光客による」との前置きはありますが、自らのこととして考えると。。。。
「複線化」につながるような歩き方を、実際にはしてしまったことがあります。。。
正規のルートより歩きやすそうだったから、、、、、。
石がゴロゴロしているところよりも、落ち葉の上のほうが歩きやすいし。。。
長い長い下りの最後の方なんかだと、そっちの方が足にも優しいし。。。
おおむね理由はそんなところです。
無神経だったなぁ。。。と、反省するほかはありません。
人が山に入ること自体が、自然環境を破壊していることになっていると思います。
よりダメージを与えないように。。。ということを、もっと考えなければならないのですね。。。。
もう一点。
乗鞍のマイカー規制。
使用前・使用後のような植生の回復する映像がありました。
確実に効果が出ているようですね。。。。
規制前に自家用車で行ったことがあります。
ルールには従う。
ただ、ルール上問題なければ、使えるものは使ってしまう。
積極的に規制を求めることもしない。
一方で、規制へすることへの反対もしない。
意志の弱い私なんぞは、毎度そういうパターンです。
「環境あっての観光」か、「まず観光ありき」か。
「観光」という部分を「登山」と置き換えれば。。。。
答えは明らかですね。。。
以前は「まず登山ありき」的なところが、自分にはありました。
狂ったように山に入っていた学生時代には、その傾向も強かったと思います。
今よりももう少し。
そしてこれから少しずつでも、「環境あっての登山」の方へシフトしていかなければならないように思いました。
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- 2007/10/10(水) 12:07:02|
- 日々是好日
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10月2日の朝日新聞より引用。(死者の氏名はこちらで伏せました)
ガイドを書類送検へ 北ア4人遭難死亡 悪天候で強行 北アルプス白馬岳(標高2932メートル)で昨年10月、九州からの7人のパーティーが遭難し女性4人が死亡した事故で、長野県警大町署は同パーティーを引率した福岡県大牟田市の山岳ガイド、田上和弘さん(49)を業務上過失致死の疑いで近く書類送検する方針を固めた。悪天候の中で登山を強行した点などに過失があったと判断した。同署は1日、田上さんから同容疑で事情聴取をした。
同署の調べによると、同パーティーは昨年10月7日朝、雨の中を富山県側から出発。白馬岳山頂下にある白馬山荘を目指す途中で遭難した。田上さんは救助を求めて山荘に1人で向かい、山荘従業員らが救助に向かったが、9日、福岡市の○○○○さん(当時66)、○○さん(同61)姉妹ら4人の凍死が確認された。
天候は7日午後にみぞれから雪となり、最後は吹雪に変わったという。当時、三陸沖で急速に発達した低気圧に寒気が吹き込む冬型の気圧配置だった。同署はこうした状況に加え、営利目的のガイド登山で一度に4人が死亡した点も重視したという。
○○さん姉妹らは数年の登山歴があり、以前から田上さんのガイドで登山をしていた。
中高年登山ブームを受け登山ツアーやガイド登山が盛んになるなかで、事故の際、ガイドや添乗員が刑事責任を問われるケースも出てきている。99年9月、北海道・羊蹄山に登ったツアー客の女性2人が凍死した事故では、旅行社添乗員が業務上過失致死罪で禁固2年執行猶予3年の有罪判決を受けている。 10月4日の信濃毎日新聞より引用。
白馬岳で4人死亡遭難事故で大町署がガイド男性と実況見分 北アルプス白馬岳(2、932メートル)で昨年10月に九州からの7人パーティーが遭難し女性4人が死亡した事故で、大町署は2、3日、引率した福岡県大牟田市の登山ガイドの男性(49)を伴い、遭難現場を実況見分した。同署は、業務上過失致死容疑での立件も視野に調べを進めている。男性ガイドは3日、取材に対し「自分も、どうしてこうなった(遭難した)のか分からない」と述べた。
2日、署員と男性ガイドの計7人が富山県の祖母谷(ばばだに)温泉から入山。遭難時のルートをたどり、パーティーが吹雪に遭った現場の状況などを確認、3日下山した。男性ガイドによると、「(署員に)聴かれたことを、ここがこうだったと思い出して話した」という。
男性ガイドについて、山岳関係者などからは天候の悪化が予想される中で、登山を決行した判断を疑問視する声もある。大町署はこれまでに、生還したメンバーらから遭難時の様子など聴いており、さらに複数の関係者から話を聴き、ガイドの天候判断が妥当だったかなどを調べる。同署は「立件の判断は年明け以降になる」としている。
男性ガイドが事故後に現場を訪れたのは初めて。3日の下山後、「(遭難のことは)毎日思い出しており、忘れられない。事故の原因は、自分でも分からない部分がたくさんある」と話した。昨年10月の白馬岳の遭難事故。
当ブログでも何度か触れてきました。
(
遭難カルテ119、
日々是好日91、
日々是好日101、
日々是好日103、
日々是好日126など)
もう1年たつのか・・・というのが、最初に浮かんだ言葉でした。
あらためて亡くなった方のご冥福を祈るとともに、生きて還られた方が心身ともに少しでも立ち直れることを願ってやみません。
「業務上過失致死の疑いで近く書類送検」
「業務上過失致死容疑での立件も視野に」「同署は『立件の判断は年明け以降になる』としている。」
両紙のトーンが違いますが、実際はどうなんでしょうか???
まあ、複数のマスコミ記事の内容が食い違うことはままありますが。。。。
手続きから言うと、この後、警察が書類送検するかしないか。
書類送検された場合には、警察から検察の手に移り、起訴か不起訴か、という分かれ道に。
起訴されれば刑事裁判がスタートすることになります。
また、これとは別に、遺族らが提訴すれば、民事裁判もスタートすることになります。
予想通りというか何と言うか、サブガイドの女性の存在が、全く消えています。
実質的に責任能力がないと判断されたのでしょうか。
事故当時にも書いたことではありますが、「サブガイド」という存在、やはりよくわからないものでした。
今回の事故で考えたいことを整理してみました。
ポイントは2つ。
まずは、なぜ?という原因。
そこから得られる教訓というものは、かなり役に立つものだと思います。
現在のところ、田上氏の所属協会の
日本アルパインガイド協会、その上部団体の
日本山岳ガイド協会、勤務先の登山用品店
ラリーグラスとも、事故報告書のようなものは公表していません。
事実経過だけの報告であっても、いろいろと考える材料にはなるのですが。。。。
それに検証や考察が加えられると、すくいとれる教訓が多いのではないかと思います。
まあ、捜査段階ですので、詳細の公表は控えているのかもしれませんが、その辺が一段落したら記録の公開を待ちたいところです。
ご遺族や事故に遭われた方の心の傷をえぐるようなものになりかねないことは、承知しています。
ですが、明日はわが身でもあります。
気の毒に思う気持ちは当然ありますし、死者を貶めるためでもなく、責任を追及するためでもない。
ただただ、我々末端の登山者が得られる教訓というのは重要なもので、類似遭難を減らす一助になるのではないかと考えるわけです。
もうひとつは、事故とプロガイドの責任。
事故が報道された後、天候判断や装備、行程などについてのコメントや論評、ガイド諸氏の間からも出ていました。
が、「プロの責任」についてコメントされたガイド諸氏はあまりいなかったように思います。
この傾向は、大日岳訴訟のときも同じでした。
この国のガイドの方々、責任の話になると、とたんに口が重くなるのでしょうか。。。。
アマチュアである一般のリーダーとどう違うのか、ガイドの方自身の考えを知りたいところなのですが。。。。
日々是好日155でも触れた件にも、沈黙している方のほうがはるかに多いのが現状です。
個人的には「営利目的のガイド登山で一度に4人が死亡した点も重視した」というのは、当然の帰結だと思います。
ガイド登山における死亡事故、その法的責任がどのように扱われるのかがひとつの焦点だと思います。
また、くどいようですが「サブガイド」とは何だったのか。
個人的にはそこがどうしても理解できません。
田上氏の説明を待つほかはありませんが。。。
以下、些細なことですが。。。。4点ほど。
マスコミの報道自体が、すべてをカバーしていないことは承知の上で。
事故からほぼ1年たった田上氏のコメント。
「自分も、どうしてこうなった(遭難した)のか分からない」
「事故の原因は、自分でも分からない部分がたくさんある」
コメントしたすべての言葉が記事にされたわけではないでしょうが、ちょっとねぇ。。。。
これだけ見れば、思考停止状態にも見えます。。。。。。
確か事故直後の記者会見で「気象判断のミスだと思っている」と発言されたはずですが。。。。。
日々是好日155で、厳罰化は事故抑止につながるとは考えにくいが、現状の罰則は緩すぎると思う、と書きました。
また、
日々是好日126で、アルパインガイド協会が田上氏を厳重注意処分にしたと書きました。
捜査や裁判の行方を見たうえで改めて…というのであれば理解もできますが。。。。。。。
さて、処分はこれでおしまいですか?
田上氏の勤務先の代表者・浦一美氏について。
「福岡市山岳協会会長、日本山岳ガイド協会会員、
全九州アルパインガイドクラブ代表、日本山岳会会員」と浦氏の肩書きを記したページは、いつの間にか消えていました。
(というか、ラリーグラスHPからのリンクが切れた状態で
ここに残っていました)
H19年度の日本山岳ガイド協会役員名簿には、理事の中に浦氏の名前が見られます。
昨年11月13日付で浦氏による
白馬岳遭難事故についてが掲載されました。
その中で浦氏は、「報告書は年内には作成されるものと思いますが、恐らくアルパインガイド協会から公開されると思います」と発言。
さらに、アルパインガイド協会の上部団体である日本山岳ガイド協会の倫理委員会で討議されるようなことを述べています。
その倫理委員会、どうなったかは不明ですが。。。。
何が言いたいかといえば、あまりにドライな対応ではないかと言うことです。
登山に直接かかわりのある職場の上司として
募集の案内を置くことを許可したショップの代表者として
同じ地元の、山の世界の重鎮として
職業ガイドの先輩として
上部団体の役員として…
浦氏は田上氏を指導する立場にあったと考えるのは、自然なことと思います。
となると、その対応ぶりには首を傾げざるを得ません。。。。
また、事故直後、ラリーグラスの掲示板には多くの書き込みが殺到しました。
誹謗中傷の類もなかったわけではありませんが、興味深い考察や分析、感想なども多くありました。
が、いつの間にか掲示板は閉鎖されており、その代わりかどうかは分かりませんが
ブログが開設されていました。
残念ながら、少なくとも以前の掲示板のようなものではないような印象を受けました。
また、10日ほど前に見たときには
スタッフ紹介にあった田上氏の部分が、今日見たらすっぽりと削除されていました。
朝日新聞。
同社の100%子会社に
朝日カルチャーセンターがあります。
その
朝日カルチャーセンター福岡の
健康の講座の中に、10月~3月の6ヶ月コースで「中高年の登山入門」というのがあります。
この講座の講師には、浦氏とともに田上氏の名前があります。
記事では「近く書類送検へ」としていながら…。
なんだか、ちぐはぐな印象を受けるのは私だけでしょうか??
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2007/10/08(月) 12:49:40|
- 日々是好日
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岳人10月号。
すでに読まれた方も多いかと思います。
ちょっと気になる記事があったので・・・。
「ガイド山行での事故を防ぐために 予想以上に多い事故の現状と対策の提案」
150ページから3ページにわたって
近藤邦彦氏の文章が掲載されています。
プロガイドとして著名な近藤氏が、同業者や自らの所属協会への批判を、手厳しく書いています。
最初に読んだときは「おー!そーだそーだ!」と単純に思い、文章を起こそうかとしました。
ただ、数日たってみて、「ホントにそうなんだろうか?」と思い始め、ちょっと考えてみようと。。。。
その上で、内容に沿って感想などを。。。。
事故の現状。
ガイドの状況判断の甘さや不注意から起きる事故が多く、それに気づいていないガイドすらいるとのこと。
その原因は、試験ではなく
日本山岳ガイド協会設立前の実績から資格を得た「既得権」資格ガイドが多いことと、協会傘下組織もそれぞれ資格認定しており、レベルにばらつきがあることをあげています。
ガイド協会の
資格認定試験って、まだ5年しかたっていなかったんですね。。。。
「既得権」ガイドが多いそうです。
ただ「多い」と言われても…認定ガイド○人中、○人が「既得権」です、といったようなデータがなければ、なかなか鵜呑みにできません。
ついでに
協会役員22人の、既得権組と試験合格組の割合があってもいいかと思います。
まさか、谷垣会長は有資格者だとは思えませんが。。。。
(余談ですが、
日本アルパインガイド協会。
認定アルパインガイドの名簿に、かつて故橋本龍太郎氏が載っていましたが…ご愛嬌ということかな?)
もう一歩進めてみると、「既得権」ガイドの多いことの、何が問題なのかが分かりにくいのです。
既得権で資格を得た人については
「ガイド試験を受けることなく」「個人ガイドとしての実績から『ガイド』と認められた人」
と説明されています。
試験こそ受けてはいないけれど、それに合格したとみなしてよい実績があったから、「認められた」のではないのでしょうか。。。
そうでないとしたら。。。。。。う~ん。。。。
近藤氏は、そのあたりについては触れていません。
行間からは匂ってくるのですが。。。
2002年にガイド協会の資格試験が始まった。
試験を作り認定制度を始めた人たちが、「既得権」の人たち。
その人たちが「最低限、これができなければプロガイドではない」という基準を話し合って決めた。
はじまりは、おそらくそういうことだと思います。
善意の解釈をすれば、「既得権」の人たちも、当然、その基準はクリアしているわけで、「既得権」ガイドが多いこと自体は問題ではありません。
悪意を持って解釈すれば、「既得権」の人たちは、試験はするけれど、自分では合格できない。。。。となります。
そういう人が多い、ということであれば、問題でしょうね。
ただ、そういうことであれば、はっきりとそう書いてもらわないと、よくわかりません。。。。
一言で言えば、「既得権」ガイドの、どこがどういう問題なのか、もう少し書き込んでもらわないと理解しかねる、という感じです。
近藤氏の文章からは傘下団体の認定資格者も「既得権」ガイドに含んでいるようです。
となると、傘下団体の基準を是正できない上部組織って何?ということになりそうですが、そのあたりには触れられていません。
なぜガイドによる事故が多いか。
近藤氏の考えの底流には、日本山岳ガイド協会の認定試験を合格したガイド以外は、傘下団体の有資格者も含めてダメだ、というものがあるように思います。
でも、はたしてそうでしょうか。。。。。
研修を受けず資格停止になっている人が「150人近くに達する」というのに、ひとつの問題点が隠されているのではないでしょうか。
このことの背景には、全く触れられていません。
また、以前にも書いたことがあるのですが、「接客・サービス業である」という意識の希薄さがあるのも問題ではないでしょうか。
酒に酔った挙句、客に暴言を吐いて処分されたアルパインガイド協会の役員の方のお名前、山岳ガイド協会の
会員名簿にも載っています。(
日々是好日126参照)
登山経験や技術というのは言わずもがなですが、そちらに偏重しすぎたきらいがあるように思います。
経験や技術、優れた登山家の実力をはかることはできても、優れたガイドかどうかは別問題だと思うのです。。。。
ガイドは優れた登山家であるべきですが、登山家としては優れていてもガイドという客商売には不適な人もいるんじゃないでしょうか。
その辺をふるいにかけるような、認定試験になっているとは思えないのですが。。。。
ガイド事故削減への提言。
ゴチックで強調している部分を抜粋します。
「私たち日本山岳ガイド協会にいま一番欠けているのは、ガイド山行中にガイドのミスで起きた事故に対しての罰則の甘さである。人を死に至らせるような事故を起こしても、1回の安全指導講習を受ける程度で免罪されている。心あるガイドたちがことあるごとに罰則のルールを早く決めようと言っているが、いっこうに改まらないのが現実である。」堂々の執行部批判!
そのこと自体には拍手!
些細なことですが「心ある」って。。。。
「心ない」人が大勢いるってことなんですかね。。。。。。。。
驚いたのは、ガイドのミスによる罰則の甘さ。
そんな程度なんだ。。。。。
これは、ガイドのミスによる死亡事故に関して、組織としてどう受け止めているかの現われだと思います。
「甘い」という部分は近藤氏に賛成。
客の命がその程度とは。。。。正直なところ、呆れました。。。。
そもそも傘下組織の資格試験の統括すらできない組織に、罰則の網をかぶせること自体、期待できそうにありません。
ただ、疑問もあります。
一言で言えば、近藤氏の提言は「厳罰化」に他なりません。
少年犯罪や飲酒運転の厳罰化は話題にもなりましたし、一定の抑止効果はあると思います。
ただ、これらは「犯罪」であって「過失」ではありません。
ガイドのミスというのは、故意でない以上、明らかに「過失」に類するものです。
確かに現状では、罰則は甘いと言わざるを得ません。
ですが、厳罰化に事故の抑止効果があるのでしょうか。
そもそも近藤氏は、既得権ガイドの多いことや技術が不足していることなどが、ガイド事故の原因だとしています。
その対策であれば、既得権ガイドをどうするか、技術向上をどうするかが対策であって、厳罰化というのでは。。。。なんだか話が????な気がします。
一言でいえば、原因と対策がかみ合っていないと思うのですが。。。。。
この3ページを読んでの感想まとめ。
既得権ガイドについては、何が問題なのか今ひとつ分からなかった。
現状からの厳罰化自体には賛成だけど、それが事故の抑止力になるとは考えにくい。
原因として挙げた既得権・技量不足に対する具体的対策は書かれていなかった。
そんな感じです。。。。。。
ガイドやそれに引率されたツアー登山の問題。
山と渓谷も1月号(
日々是好日113)と2月号(
日々是好日119)で記事が掲載されたことがあります。
ですが、内容がヌルいというか、切込みがアマいというか。。。。
結局どこに問題があって、改善するにはどうしたらいいのか全く分からない内容でした。
参加する側の問題・責任には触れるのですが、ガイド側の問題・責任はタブー視しているようにも思えました。
まあ、そのへんがいつものヤマケイらしいところではありますが。。。。
それと比較すると、岳人、「ナンボかマシ」といったところでしょうか。
ただ、内容が今ひとつではありますが。。。。。。
(これ、大日岳訴訟のときと同じパターンか?)
いずれにしても近藤氏の文章、ガイド業界内で波紋を呼ぶことになるでしょうし、当然異論もあると思います。
来月号あたりで「異論アリ!」みたいなのがあったら。。。。。。
「そうだよねぇ」「そうそう」「それでね…」といった座談会よりもよっぽど読み応えがあるのですが。。。。
本題から少し脱線しますが
日本山岳ガイド協会定款から。
「本会は、登山の安全と自然保護に関する教育指導者(以下「山岳ガイド」という。)を育成し、わが国における正しい登山の普及・発達への寄与及び自然保護活動の推進を図るとともに、国際山岳ガイド連盟の一員として世界各国の山岳ガイドの団体と連携し、世界各国の自然保護活動に参加することを目的とする。」
日本アルパインガイド協会のモットーから。
「当協会では、自然環境保護活動をはじめ、正しい登山技術の普及、登山知識の指導、山岳遭難防止を目的にこれらの啓発活動を続けています。」
正しい登山の普及・発達への寄与や啓発活動をうたうのであれば、事故のあった場合、報告書の公表を。。。と思います。
責任問題とは別にして、一般の登山者への具体的な注意喚起や教訓を発信すること、重要だと思います。
私の知っている範囲では、傘下組織も含めて事故の検証や報告を公開しているところはありません。
罰則強化も結構ではありますが、それで事故が減るとは、あまり思えません。
事故から得られるもの、それこそプロらしい調査・分析を積み重ね、広く一般に発信すること。
ガイド登山に限らず、類似したケースを減らすためには、必ず何らかの役に立つはずです。
社団法人であり「普及・発達への寄与」「遭難防止を目的に啓発活動」を目的にうたう組織の、なすべきことのように思います。。。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2007/10/03(水) 17:09:57|
- 日々是好日
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