前項、前々項に続いて。
2誌ともに、大きな扱いでした。
事態をいかに深刻に捉えるか、という意味では、双方とも納得の行く扱いでした。
これは共に評価している点です。
また、2誌を比べて読むと、スタンスの違いががくっきりと出てきます。
山渓よりも岳人の方が、ぐっと踏み込んだ感じでした。
山をとりまく世界が、どうなっているのか、これからどうなっていくのか。
そして読者である登山者は、どうすべきなのか。
そういうことを少しでも示してほしいなぁ・・・・・・というのが、個人的な希望です。
そういう意味では、岳人の方が、はるかにしっかりとしていると思います。
また、オピニオン的なものだけでなく、情報量も圧倒的に岳人の方が多かったのではないでしょうか。
一方の山渓は、前々項にも書いたのですが、その辺が薄い。。。。。
もっとはっきりと考えを打ち出してもいいのに・・・・と、思います。
たとえば避難小屋の使い方(場所取り)への問題提起。
山渓はほとんど見解らしきものがないのですが、岳人にははっきりと「否」と打ち出されています。
新たな避難小屋の設置については、岳人は「いらない」。
一方の山渓には、まったく触れられていません。
順にあげていくときりがないのでこれぐらいにしておきますが。。。。
そして、重要なポイントの有無。
ガイド・ツアー登山と一般の差についての扱い。
金銭の授受が発生することは、最大の差のひとつだと思います。
岳人は金額をあげてそこに触れましたが、山渓はほとんど突っ込まぬまま。
お金が動くか動かないかで、客の意識は変わってきます。
というよりも、お金が動かなければ「客」自体が存在しないことになります。
また、ツアー会社の企業活動に直結する話でもあります。
要するにビジネスの面から見ても、登山者(ユーザー)の面から見ても、避けて通れないのではないか、と思います。
この点の記述は、岳人にのみありました。
山渓は、こういったドロドロした話は、あまり好まないのかもしれません。。。
またツアー客が烏合の衆であったかどうかや、装備リストが十分であったかなどについても、見解が分かれたと思います。
山渓は断定するには裏付けが弱かったり示されていなかったり。
岳人は(やや甘い面はあるけれど)、根拠のようなものを示していました。
まとめていうと、検証記事なのに、山渓は情緒的?な方へ流れがちかと。。。。
どちらかといえば、岳人の方がかっちりとしていたと思います。
以下、両誌ともに不満の残った点。
事故にあったガイドやアミューズ社の見解がなかったことが残念です。
取材しなかったのかできなかったのかはわかりませんが、きわめて重要なデータだと思います。
ガイド協会の対応や見解が記されていなかったこと。
JATAのガイドラインについては両誌とも触れられていましたが、やはり欠かせぬもう一方だと思います。
美瑛岳の事故について、ほとんど触れられていなかったこと。
こちらも客対引率者が1:1という状況で起きた、注目すべき事故だと思います。
この事故への言及がほとんどなかったことが、残念です。
登山者に向けて、ツアー登山利用時の注意点があまりなかったこと。
先にも書いたとおり、読者=登山者です。
その登山者がツアー登山を利用するときにはどこに注意すべきか、そういった指針のようなものがほしかった。。。。。
まとめて言えば、山渓よりも岳人のほうが登山者の視点であったと言えそうです。
比べてみると、山渓は対談でもわかるように、ビジネスとして行う側よりに立っているように見えます。
読者にとって無益というわけではありません。
が、登山者寄りの立場というのが、若干希薄だったのかな・・・と思います。
以下は余談です。
山渓133ページの一番下に小さくガイド協会とサーチ・アンド・レスキュー研究機構が調査に乗り出す記事が出ています。
また210ページに、アミューズ社のお詫び広告が出ています。
同社は山渓の固定広告主といってもいいような存在でしょうか。
広告主への遠慮はなかっただろうか?
矛先の鈍さに、そんなことを考えたりもしました。
岳人179ページ岳人時評の中段部分がなかなか興味深いものでした。
196ページには避難小屋占拠に関する読者投稿が掲載されています。
合わせて読んでみるのもいいかもしれません。
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- 2009/09/25(金) 10:30:13|
- 日々是好日
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前項に続いて、今回は岳人10月号。
山渓とダブらなように、ということを念頭に置いてみます。
146ページからという、真ん中よりやや後ろの場所で展開。
1ページ目のみカラーで、後はモノクロページ。
事故までの行動概要が4ページにわたって一覧表になっています。
時系列で概要をたどるとともに、参加者へのアンケート?も添えられており、全体像を把握するにはいいのではないでしょうか。
些細な突っ込みを入れるとすれば、「事故までの」ではなくて、「ツアー開始から捜索終了までの」なんですが、ま、そんなことは置いといて。
続いて4ページにわたる本文があります。
全体を俯瞰しての総論的なものだと理解しました。
「ツアー登山のメリット!? 登山ブームとツアー登山」
参加者の言葉、引用します。
「荷物をそろえるだけで、なんの予備知識も身につけずに行かれる。ツアー登山の良さはそこにあると思っていました。今回も2日前に荷物を揃えていたていたらく・・・・・・。でも、やはり山に行くにはこれではいかん、改めてそう思いました」ツアー登山のメリットをそう考えている人は多いのかもしれません。
事故にあった方が絞りだした「これではいかん」の言葉。
重く受け止めなくてはならないものでしょう。
「原因はどこにあったのか ツアー登山の中身」
場所取りのため避難小屋に残ったガイド補助。
残されたのは人だけでなく、装備類もあり、この装備が原因の一つと指摘。
なんと、その中に10人用テントやコンロなどがあったようだ。
それを持って出発していれば別の展開があったかもしれない、と思います。
後半の部分でお金の問題に触れています。
ツアー・ガイド登山とそうでない登山の最大の違いのうちの一つが、このお金の問題。
従来、事故があった時には、あまり触れられることのない領域でした。
ですので「よくぞ!」と思いました。
1ツアーで200万円を超えるお金が動くこと、正直言うと驚きました。
事故のツアー、後続のツアー、7月下旬に4ツアー・・・・・・。
アミューズトラベルのヒサゴ沼避難小屋使用ツアーで、7月だけで1200万円を超える金銭が動くことになります。
金銭の問題については厳しい指摘が続きます。
「北海道のツアーが「ドル箱」といわれるゆえんだ」
「ツアー会社は、トムラウシ山を、〝振れば金出る打ち出の小槌〟としか見ていなかったのではないだろうか」かなり強烈な言葉が並ぶが、同感。
むしろツアー会社からの反論が見てみたい気がしました。
「会社第一のツアー計画 押し出し型ツアーの実態」
さきほど触れた1組しかない装備について。
必要な装備だからこそ、避難小屋までは運んでいたわけです。
後続のツアーにとっても必要なもののはずで、本来なら2グループで2組の装備が必要ということになります。
だのに、なぜ、1組なのか?
事故にあったツアーは避難小屋まで、後続のツアーは避難小屋から先だけ。
そういうふうに必要性が区分できるもんなのかな。。。。
もう少し、そこに切り込んでもよかったと思います。
「会社側にとって楽な効率重視・経費削減型」ではあるけれど、会社側の見解がほしかったなぁ。。。。
「さまざまなことが、山登りの常識から懸け離れてはいないだろうか。会社側のツアー形態に最悪の結果を招く要因があったことは否定できない」おっしゃる通り。
「バラバラになった19人 人数が多すぎるのではないか」
当サイトでも
触れた点です。
「一行はバラバラになってしまったのではなく、ツアー主催者であるガイドたちが「バラバラにしてしまった」といえる。」厳しい指摘ですね。
「なぜ引き返さなかったのか いくつかの理由」
ガイドと客の年齢差からくる基礎体力の差を、理由の一つに挙げています。
これはちょっと気づきませんでした。
最も先行したガイドのザックに4人用テントがあったこと、初見です。
せっかく持っていたのに役立てられなかったなんて。。。。。。。
「生死を分けたものは何か 生存者の話から見えてくること」
装備について、参加者の証言と写真から「おかしなところは見受けられなかった」としています。
山渓よりは具体的ですが。。。
かなうならば、具体的に全員の装備を調べられれば、なおよかったのかなぁ。。。と。
参加者の言葉。
「ツアー客はみんな烏合の衆。遠慮とお客意識がある。それもみな『ツアー』だから」
「だから、自分を前に出すのではなく、ガイドを信じてついて行くんです。でも、今回は裏切られた感が否めない」ツアー登山の中身を象徴しているような気がしました。
アミューズ社が配った装備表に、地図・コンパス・ライターなどが必携装備ではなかったと指摘。
このことへの評価は割れるかもしれないと思いますが、山渓は「きちんとしていた」。
ここに両誌のスタンスの違いが見て取れる気がします。
個人的には最低限の身を守るための道具は必要不可欠だと思います。
再び参加者の言葉。
「アミューズのガイドは若い人が多いためか歩幅は広く、段差のある個所などの歩き方も後続のツアー客を考えたものではないです。だから、ガイドは『道案内人』であって、命をあずける人ではないのだなと日頃から思っていました」日頃から、というあたりに、常連さんのような気がしました。
全然信用がないですね。。。。。
「命を預ける人ではない」のであれば、なおのこと地図やコンパスは必要になってくるのではないでしょうか。
少なくとも装備リストは顧客の評価と見合っていなかったと言えそうです。
「ガイドの登山センス 経験と実績の先にあるもの」
論旨はおおむね同感です。
ただ、気になったのが一点。
「ツアー会社に聞いてみたいことは山ほどある。」今回の岳人への最大の不満はここです。
それを聞いて記事にしてもらいたかった。。。。。
取材に応じなかったのであれば、そのように書けばいいと思います。
そのことも含めて、事故後の対応に関する記事になったのではないかと思うからです。
取材していないのか、取材に応じてもらえなかったのかは不明ですが、残念。。。
「事故から一カ月以上が経過 それぞれの動き」
事実関係はすでに報道されたもののまとめ。
参加者の心の傷、痛々しい。。。。。
「最後に トムラウシ山は危険な山なのか 神々の遊ぶ庭に新しい避難小屋はいらない」
避難小屋新設については以前
こちらで書きました。
私も「いらない」と思います。
「低体温症とはなにか 夏でも死に至る危険」
山渓と比べると、ずっと具体的。
メカニズムや対処法が記されています。
読んでおいて損はないと思います。
「ツアー登山の安全性を考える」
溝手弁護士による稿で、ツアー登山ならではの危険性や問題点が挙げられています。
「ツアー登山で引率者が対処できる範囲を超えた登山は、ガイドが個々の客の力量を把握したうえで客との間の信頼関係を前提とする少人数のガイド登山の形態をとるべきである。」山渓ではよくわからなかったツアー登山とガイド登山の線引きが、少しわかったような気がします。
ただ、ツアーの引率者もガイドなんですよねぇ。。。。
「日本のツアー登山 山のプロガイドの進むべき道とは」
末尾の段落を引用します。
「山岳ガイドが国家認定資格となることが最善の道なのかどうかは、まだ多くの検討すべき点がある。しかし、現状のまま曖昧に進み続けることは、そろそろやめなければならない時がきているのではないだろうか。」ほとんど無法地帯と言っていいような現在の「ガイド」という肩書については、繰り返し触れてきました。
日本山岳ガイド協会設立への熱い思いが記されています。
それはその通りだと思います。
ですが、その一方でアルパインガイド協会が離脱するような事件?も起きました。
進むべき道を示すうえで、触れておいてもよかったのではないかと。。。。。
その事実と、その意味、それを伝えるのも山岳雑誌には必要なように思います。
また長々と書いてしまいました。
もう少しだけ書きたいことがあるので、もう一回だけ、この項、続けます。。。。
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- 2009/09/24(木) 15:06:16|
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15日に発売された「山と渓谷」「岳人」10月号。
どちらもトムラウシの特集、10ページを超える力の入れようでした。
普段はどちらも立ち読みか図書館なのですが、今回は両方買ってしまいました。
計1680円の出費は、結構イタかったのですけれど。。。。。
以下、思いつくままに読んでみた感想を。
まず、山と渓谷(以下、山渓とする)。
巻頭に特集を持ってきたのには驚いた。
変わりつつある「山渓」を象徴するトピックの一つかもしれません。
さて、その内容について。
パート1は、参加者の1人からの聞き取りをもとに、「遭難までの経過と問題点」としています。
読んでみて、問題点はどこに?
経過は生々しく伝わってくるのですが、問題点の指摘が・・・・・・・ない。
やられた。。。。。
ひたすら吐く女性(68)の話が出てきます。
吐くと、ものすごく消耗するのですが、何度も吐いた彼女が最初に動けなくなったようです。
このような状態の人、どこかの段階で下ろした方がよかったんではなかろうか?
体調不良なのか癖なのか、その辺は不明ですが、いずれにしても同じだと思います。
パート2検証1気象は「風の恐怖」。
書き出しでまた???
「トムラウシ山の遭難は悪天候が原因でおこった、いわゆる気象遭難である」
天変地異レベルで、人間の判断力を持って避けえないものであれば「気象遭難」であってもいいと思います。
人間のレベルで判断できるものであれば「悪天候が原因」ではなく「悪天候にうまく対処する判断ができなかった」ことが原因であろうかと。。。。
あんまり軽々に「気象遭難」という言葉を使わない方がいいのでは?
原因の究明等の際に「天気が悪かったから」の一言で片づけてしまうような動きにつながりかねないので、そう思うのです。
と、思ったら、末尾に「ガイドの判断が問われなくてはならない」。
判断ミスの可能性を、ちゃっかりと示唆している。。。。
気象の専門家の話などから、当時の風の強さについて説明。
濡れた状態で強風下の行動について書かれています。
で、そんなとき、どうしたらいいか・・・・・・というのは、なにもありません。
登山者としてほしい情報というのは、そういうことだと思いますが。。。。
毎度ながら、食い足りなさが残ります。。。。
パート2検証2ガイドは「悪天候の中を強行」。
副題に「低体温症の兆候を見抜けなかったのか?」。
「遭難の原因はガイドの判断ミスだった。」山渓にしては珍しく、冒頭ではっきりとガイドのミスを断定しています。
あの白馬の事故のときに、こんなことはなかったような気がしますが。。。。
2ページにわたって文章が展開されていますが、一番役に立ちそうなものは低体温症の症状と対処法の一覧表。
正直なところ、私自身もあまりよくわかっていなかったのですが、少し理解が進んだように思います。
気になったのは、「ツアー登山の特殊性」という小見出しから始まる最後の項。
正直に言って、よく理解できないのです。。。。。
ツアー登山とガイド登山は違う、とでも言いたいのでしょうか。。。。
にしては、違いの説明が不十分で、とても「別物」とまでは思えませんでした。
特に最後の段落、全文を引用します。
「登山は、困難な対象へ挑戦し、それを克服して登頂したり、コースを踏破したりという達成感がある。ガイド登山なら、まだそういう喜びを追及する余地があるが、ツアー登山に関しては、その種の冒険的要素を求めてはならない。その代わりに、限りなく100パーセントに近い安全を保証するべきである。」「登山は」で始まる1文目は、その通り。
「ガイド登山なら」で始まる2文目から????になってきます。
1文目にあるような達成感や喜び、ツアー登山でも十分得られる余地はあると思います。
いかなる形態であっても、登山の目的は、1文目の言わんとするところじゃないでしょうか。
よって「ガイド登山なら」と言われても、なんだかなぁ。。。。と。
「その代わりに」で始まる3文目。
文章の流れからいえば、ツアー登山はガイド登山と違って、冒険的要素を求めない代わりに高レベルの安全保証が必要、ということになります。
これをそのまま裏返すと、次のようになります。
ガイド登山はツアー登山と違って、冒険的要素を求めてもよいが、その代わりに高レベルの安全保証は・・・・・・・。
書いててコワくなってきました。
パート2検証3登山客は「生死を分けたもの」。
副題は「まず基礎体力。あきらめない意志を強く持つ。」
意志を強く持つ、なんて精神論のにおいがかなりきついですが、それはおいといて。
衣類などの装備と行動中のエネルギー摂取の重要性が書かれています。
これ、大事なポイントだと思います。
で、気になったところは、ツアー会社が用意した装備リストについて。
「ちなみに、ツアー会社が配布した装備リストには着替えは書かれていない。」最後の方からも引用。
「装備の不十分な人が死亡したという報道もあったが、ツアー会社の配布した装備リストはきちんとしており、登山客はこれを守っていたと思われる。」さて・・・・・・着替えの記載のないものをきちんとした装備リストといっていいんだろうか?
「守っていたと思われる」って、「守っていた」確証がないわけで、検証が不十分では?
新聞・テレビ・週刊誌などへの反論だろうけれど、すでに出てしまった報道を否定するのなら、もっときっちり詰めた方がいいように思います。
パート3特別インタビュー。
生還した参加者へのインタビューで構成されています。
「『ツアー=寄せ集めの集団』というわけではない。みんなが助け合って下山しようとしていた」の題。
パート1と同様に生々しい状況や、参加者が助け合う場面が浮かんできます。
で、気になったのは表題。
あえてもう一度書きます。
「『ツアー=寄せ集めの集団』というわけではない。みんなが助け合って下山しようとしていた」
おそらくインタビュー中の言葉を短くしたものだと思われます。
その該当部分と思われるのは以下の通り。
「マスコミには「ツアーだから寄り集まりの集団だった」と報じられていましたが、それでも皆さん一生懸命助け合って下山しようとしていました」なんかニュアンスが違っているような。。。。。
ご本人は「寄せ集めではない」と、明確に否定はしていないように読み取れました。
そもそも寄せ集めでなかった証明がまったくありません。
さらに言えば、パート1で出てきた吐く人のことを、参加者が体調不良か癖なのか、よくわかっていなかったこともあります。
「寄せ集めではあったけれど、お互いに助け合っていた」というところじゃないのかなぁ。。。。
これは、インタビューに応じた側の問題ではなく、インタビューをし、雑誌を作る側の問題だと思いますが。。。。
パート4対談。
JATA登山部会長・黒川氏と日本トレッキング協会理事・越谷氏、司会は編集部。
黒川氏は日本山岳ガイド協会の認定ガイドでもありますが、終始、JATA関係者の姿勢でした。
越谷氏の発言から
「ただ技術と経験があってガイド資格を持っていればいいかというと、それだけじゃないと思うんですね。このガイドと行けば安心だという信頼性ですよね。それをお客さんが判断するのは難しいんですけど。」事故についていえば、ガイド・業者名の公表というのが一つの方法だと思います。
事故の多い(そのいくらかは「不運」もふくまれるけれど)ガイド・業者であれば、ユーザーとしては安心できにくい。
一つの選択の目安となるのではないかと思います。
黒川氏の発言から。
「ツアー登山を行っている会社のトップのなかにはガイドラインを読んでいない人もいるようなので、まず読んでもらう必要があります。ツアー登山というのは旅行商品の特異な分野であることを旅行会社のトップに理解してもらい、同時に所管官庁である観光庁にもわかってもらうこと、そこが今後のわれわれの課題でしょう。」以前コメント欄などで触れた、JATAの
ガイドライン。
意外に浸透していないことに驚きました。
業界内の意識レベルの向上からやらなければならないとしたら、えらいことですね。。。
山渓を読み終えて思ったこと。
あきらかに「ツアー登山」と「ガイド登山」の間に線を引こうという意図が見えます。
対談の中などにガイドの資質についての記述があるように、両者は密接につながっているはず。
となると、看過していいはずはないと思いますが。。。。
また、提言や見解が薄いように思いました。
メディアである以上、それなりのオピニオンは必要だと思います。
とはいえ、例の白馬の事故、大日岳訴訟のときから比べると、少しずつそういうものが出始めているようにも思います。
長くなってきたので、岳人については後日。
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- 2009/09/22(火) 13:39:59|
- 日々是好日
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15日の朝、NHKの「生活ほっとモーニング」でトムラウシの事故について放映されていました。
「要注意!中高年登山 思わぬ落とし穴」というタイトルで、
番組HPに概要が出ています。
以下、記憶に基づいて書きますので、間違いがあるかもしれません。
修正等あれば、よろしくお願いします。
ゲストには女優の市毛良枝さんと関大の青山千彰教授。
道迷いや転倒して骨折した人の体験が紹介されていました。
全般的な傾向として、発生は午後2時ごろに多く、好天時、平坦or緩斜面での事故が多いこともグラフで説明。
お天気がいいときに平坦な場所で転倒するのはなぜ?
青山教授「おしゃべりしながら歩くとか」
市毛さん「それありますね」
学生のころ、山でしゃべりながら歩いていると、「黙って歩け!!」と上級生に怒鳴られたものです。
なるほど、そういう意味もあったか!
歩行中のおしゃべり、確かに女性に多い気がするなぁ。
ま、主観によるものではありますが。。。。。。
後半にツアー登山の話題。
トムラウシの遺族が取材に応じていた。
亡くなった女性は50代半ばから山をはじめ、約15年の経験。
遺品の中に、アミューズトラベルが発行した「登頂証明書」がどっさりと出てきた。
遺族によると40枚ぐらいあるとか。
アミューズトラベルのツアー登山のリピーターだったことが伺えます。
遺品の中に買ったばかりのツエルトがありました。
トムラウシには持っていかなかったものでした。
遺族は「これを頭からかぶっていれば、助かったかもしれない。」
せっかく買ったのに、置いていってしまったのは、なぜだろう。。。。
最後のほうに、どんなツアーを選べばいいか、という目安が示されました。
・過去にあった事故など、リスクの開示をきちんとしてくれるところ
・これまでの経験・体力などを細かく聞いてくるところ
・装備を細かくチェックしてくれるところ
大まかに言えばそんな感じでしょうか。
ユーザー(視聴者)向けの情報としては、こういうものが必要なんでしょうね。
この日は「岳人」と「山と渓谷」の10月号も発売されました。
事故のことを、それぞれ大きく扱っていました。
珍しく両方とも買ったので、読後の感想、近々書こうと思います。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2009/09/18(金) 20:44:57|
- 日々是好日
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11日、穂高で遭難者救助中の岐阜県防災ヘリが墜落、乗員3人が死亡する事故がありました。
まずはご冥福を祈りたいと思います。
11日に登山中の10人パーティーから「男性1人が動けなくなった」と通報があり、ヘリコプターが出動しました。
そのヘリが救助活動中に墜落した、というのが大雑把な流れです。
心肺停止だった要救助者の男性(64)の死亡(病死)も確認されました。
こちらの
記事によると10人はガイドに率いられたパーティーだったようです。
前項のコメント欄で、地元の方からの声がありました。
登山者の大半は遠方からの客。
その客のために、負担や奉仕が行われている、ということでした。
今回はそれどころか、犠牲者が出るという、とてつもなく悲しい結果になってしまいました。
もし、自分が遭難してしまったら、救助に来てくれた人が命を落としてしまうかもしれないということを、忘れてはならない。。。。
改めて目の前に突きつけられた気がしました。
今回は救助する側もされる側も、共に亡くなってしまいました。
人の命の重さ、いずれも違いはありません。
が、遊びに山に行って亡くなった人と、仕事とはいえ助けに行って亡くなった人。
それぞれの死を、同じものとして考えることにためらいを感じます。
自分は前者にはなりえても、後者になりうる機会は極めて少ないと思います。
ですので、余計、そう思うのかもしれません。
どうやったところで、山岳遭難がゼロにはならないでしょう。
ただ、自分が遭難事故を起こしてしまうことで、周囲の人たちに迷惑をかけてしまう。。。
場合によっては、今回のように、取り返しのつかないことだって起きうる。
そう思うと、自らが事故を起こさないために何ができるか。。。
完璧は無理だとしても、それに近づく努力、忘れてはならないと思いました。
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2009/09/14(月) 13:23:09|
- 日々是好日
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