山道を行く

カラダとアタマと心。 すべて働かせるのが山の魅力でしょうかね。

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【遭難カルテ128】 赤岳で滑落の65歳死亡

【概要】
4日午前9時50分ごろ、八ケ岳連峰・赤岳(2899メートル)に登山中だった岐阜市の無職男性(65)が、山頂直下の岩場から約500メートル滑落したと同行の男性から110番通報があった。男性は男女3人パーティーで3日に入山。山小屋に1泊し、4日朝から山頂を目指し登り始めたという。4日午前9時50分ごろ、赤岳山頂から100~150メートルの地点で、約500メートル下の立場川に滑落したという。長野県警がヘリコプターで上空から捜索、谷底で男性と思われる人が横たわっているのを発見したが、強風で現場に近づけなかった。5日午前7時半過ぎ、谷底から収容され、死亡が確認された。
(朝日新聞、毎日新聞、SBCよりデータ引用・抜粋)



【考察】
冬の八ヶ岳といえば、晴天&強風という印象があります。
3日に宿泊したのは、おそらく赤岳鉱泉か行者小屋かと思われます。
山頂から100~150メートルと言えば、阿弥陀岳との尾根上でしょうか。
バランスを崩しての滑落と見られています。

この方の経験値などの詳細が不明ですので、以下は今回の件から考える一般論として。

現場付近は強風地帯のため、冬季は凍結しています。
アイゼン歩行中の事故かと思われますが、原因はいくつかあります。
まず「引っかけ」。
アイゼンに慣れるにしたがって、引っかけることは減少します。
が、足場の状態などで、慣れていても引っ掛けてしまうことはありえます。
アイゼン歩行時の滑落原因、「引っかけ」がかなり多いのではないでしょうか。
やはり足元には十分に注意する必要があります。

赤岳直下には、少しうっとおしいトラバース気味の岩場があります。
すごく難しい、と言うわけではありませんが、やはり注意を要するところです。
登りであれば、それほどでは…というのが、個人的な印象です。
この事故が登りの途中なのか下りの途中なのかは分かりませんが…。

この現場付近で、足元のアヤシイ方と、何度か行き会ったことがあります。
ザイルを出して確保していたのですが、歩いている人もアヤシければ、確保している人もアヤシイ感じでした。
距離を置いて通過を待ち、ルートがあいたらさっさと通り抜ける…。
巻き込まれないように…との考えからのことです。
結局、そのパーティーのラストの人をこちらが確保して…。

八ヶ岳自体、強風の当たる山で、突風に飛ばされる可能性もあります。
耐風姿勢と言うものもありますが、とっさには…という場面もありえます。

年齢的なものを言うのは気が引けるのですが、あえて。。。(本件には直接関係ありません)
亡くなった方の65歳という年齢、高齢者のくくりに入ってしまいます。
(40歳以上が中高年、65歳以上が高齢者。このくくり方の是非はともかくとして…)
個人差があることや、トレーニングでカバーできる部分があることは否定しません。
が、体力(筋力、瞬発力、柔軟性など)の衰えは完全にはカバーしきれないのではないかと思います。

冬の赤岳に高齢者が入ってはいけない、と言うのではありません。
十分なトレーニングと経験を積んでいれば、それでいいと思います。
(いくら若くても、技術や知識、装備などがなければ、問題外ですから)
ただ、そうでない人も混じっているというのもひとつの現実ではないでしょうか。

自らに置き換えてみると。。。
すでに体力的な下降線にあることを、山に行くたびに感じます。
今や中高年目前、20代の頃のようには行かないものだ…と。
自分が25年後に冬の赤岳にいけるのか?と考えると、なんとも言えません。
と言うよりも、「行ける」と言い切れないのが正直なところ。
四半世紀後ともなれば、経験や知識は増え、装備も向上しているのでしょう。
ですが、それだけ(四半世紀分)の衰えも、当然あるはずですから。
その時点での自分の実力を冷静に判断すること、年配の方の遭難の報に触れるたび、毎回のように重要だと思います。


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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

  1. 2007/02/08(木) 15:55:57|
  2. 遭難カルテ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

過去最悪

同時に長野県警から2006年の山岳遭難者数の発表がありましたね。2006年は死者、遭難者共に過去最悪だそうです。
くしくも、その最大原因は滑落。遭難者層とともに、今回の赤岳の事故は2006年の事故と符合するように思います。
滑落ということで、個人で注意するしかないのですが、加齢を充分に考慮して、楽しい思い出の残る山行として欲しいと思うだけです。
  1. 2007/02/08(木) 17:20:59 |
  2. URL |
  3. おーの #rmbFb8ac
  4. [ 編集]

Re:過去最悪

おーのさまへ。

>長野県警から2006年の山岳遭難者数の発表がありましたね

いま、ちょうどそのデータに目を通しているところでした。
まとめられるようであれば、記事にしてみようと思います。
ただ、やはり昨年は事故が異様に多かった、ということのようですね。。。

  1. 2007/02/08(木) 17:28:45 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

65歳

私はまだ65歳になったことがないので、自分の経験は書けませんが、いまの65歳というのはかなり若いと思います。
私が入社した頃、60歳で定年になってやめられた方の平均的な印象より、いまの65歳の方の方が若く感じます。(私が歳をとったことを差し引いても)
しかし、バラツキのあることも事実です。少なくとも冬の八ヶ岳に行こうというのですから、足元がおぼつかない方ではないと思うのですが。
加齢とともにバランス感覚が悪くなるのは確かで、若い時に平気で登れたところも、かなり慎重に行かざるを得ない場合が多いです。
ただ、最近の傾向として夏の百名山を終わった方や夏山にあきたらない方が、沢登りや岩稜、残雪期の山などに向かわれる傾向があります。
比較的遅く登山を始めた方は、ピッケル、アイゼンを使った歩行技術や岩登り技術が付け焼刃の場合が多く、ちょっとした突風や、浮石を踏んだり、ひっかけによる滑落が多いです。
最近の冬山講習会を見ていても、きっちりアイゼン、ピッケルを使った歩行技術を教えているところは少ないです。ビーコンや滑落停止よりも初心者には歩行技術なのですが。(あれっ教えている先生の方向転換もいい加減ですね。)
冬山初心者が山道具屋に行き富士山に行きたいので道具をくれと言って買っていくそうです。昔の山道具屋ならその無謀さを説教してくれたと思いますが、高い12本爪、プラブーツ、短いピッケルを売りつける店もあるようです。
  1. 2007/02/09(金) 00:56:26 |
  2. URL |
  3. よかっぺ #1JQD0tfs
  4. [ 編集]

Re:65歳

よかっぺさまへ。

>加齢とともにバランス感覚が悪くなるのは確かで、若い時に平気で登れたところも、かなり慎重に行かざるを得ない場合が多いです。

10年ほど前になんともなかった場所で、ものすごく怖いと感じたことがあります。
恐らく10年分の衰えなんだろうと、自分では思っています。
ただ、10年前の経験があってこそ、「怖い」と思えたのかもしれません。
同時期に同ルートへ、何年かの間隔をあけて入ることで、自分の力量を比較できるものなのかもしれませんね。

>最近の冬山講習会を見ていても、きっちりアイゼン、ピッケルを使った歩行技術を教えているところは少ないです。ビーコンや滑落停止よりも初心者には歩行技術なのですが。

同感です。
学生の頃は毎年、雪訓合宿がありました。
1日丸々、キックステップとアイゼン歩行に費やしていました。
それこそ「足が上がらなくなるまで」とか「体が覚えるまで」みたいな感じでした。
当時はイヤでイヤで仕方がなかったのですが、今になってみると、その意味が分かるようになって来ました。
当然、滑落停止やザイルワークの訓練もあったのですが。。。。

もし講習会で、「延々と歩行訓練をやります」なんてやったら、あんまり人が集まらないような気がします。
技術を叩き込むことは重要ですが、人が集まらないでは講習会自体が成り立たない・・・。
そんなジレンマがあるのかもしれませんね。

講習会に参加する側にも、即効性を求めている部分があるかと思います。
「講習に出たことがあるから」というのは、出ないよりは随分とマシですが、それだけで大丈夫にはならないと思います。

滑落停止は「滑落したときにどうするか」。
ビーコンは「雪崩に埋まったときにどうするか」。
意味のないものではありませんし、身に着けておくべきものでしょう。
ですが、それよりもまず「滑落しないように」「雪崩を避けられるように」という方が先だろうと思います。

おっしゃるとおり、65歳と言っても、いろいろな方がいらっしゃいます。
それこそ「トンデモ」な方から、「スゴイ」方まで。。。
それについては十分承知しています。

>比較的遅く登山を始めた方は、ピッケル、アイゼンを使った歩行技術や岩登り技術が付け焼刃の場合が多く・・・

夏の経験値はそのまま冬には持ち込めません。
「付け焼刃」の技術で、一足飛びにとかいきなりというのは、やはり無理があると思います。
夏の経験が多いほど、「冬はゼロから・・・」とは、思いにくいものなのかもしれませんね。
「夏山はベテランだけど、冬山は初心者」ということは、当たり前にあり得るのだと思います。

  1. 2007/02/09(金) 15:25:12 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

登山学校

私が登山を学んだクラブでは、シグモンディの「山の危険」をベースにしていろいろと考えていました。
山の危険には、主観的危険と客観的危険がある。客観的危険は一定であるが、主観的危険は学ぶことにより減少していく。
従って登山と言うのは、永遠に続く学校であることから「登山学校」と称していました。
ただ、客観的危険は、対象が難しくなるにつれ高まるという性質があり、しかも対象が難しくなるにつれ面白くなるというやっかいな性質を持っています。
若くして本格的登はんに目覚め、すばらしい業績を残しながら死んでいったアルピニストも、遅くに登山をはじめ徐々にレベルの高い登山に面白さを感じている中高年もレベルの差こそあれこの構図はかわらないように思います。
アイガー北壁は八ヶ岳の一般コースより客観的危険は高いのですが、主観的危険すなわちリスクは、アイガー北壁にむかう優れたアルピニストも、八ヶ岳にむかう中高年も変わらないということです。
ところが、八ヶ岳の方がアイガーより簡単なのでリスクが少ないと思ってしまうのです。ガイドブックも初級コースで危険が少ないと書いてしまうのです。
八ヶ岳は簡単、初級者向け、装備を揃えれば、技術が無くても行けると思い込まされるのです。
私がリスクにこだわるのはおもに上記の理由からです。
  1. 2007/02/09(金) 21:38:03 |
  2. URL |
  3. よかっぺ #1JQD0tfs
  4. [ 編集]

Re:登山学校

よかっぺさまへ。

>山の危険には、主観的危険と客観的危険がある。

この二つ、なるほど・・・。
私自身もよく混同しがちで、モヤモヤとした中にいました。
上手く説明できずに、うなっていたこともあるのですが、すっきりとしたような気がします。

ガイドブックやハウツー本なんかも、結構、混同しているのでしょうね。。。

参考になりました。
  1. 2007/02/14(水) 18:49:45 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

シルバー登山家

私の手元に「シルバー登山家体験記」というにしやままさたけさんが書いた本があります。それまで仕事一筋だった人が、いきなりすべてなげうって山登りをはじめ5年で250回登山に行った記録と感想なのです。内容的にはかなり独断と偏見もありますが、なるほどこういう見方もあるのかと妙に関心する部分もあります。
たとえば、アイゼンの出歯は、ひっかけるだけで役に立たない。これをなくすよう改良しないのはメーカーの怠慢である、と言われる訳です。
われわれは出歯のない時代から登山をはじめ改良されて今の形になった過程を知っているし、その恩恵もこうむっているのでメリット、デメリットを知った上で使っているので出歯が当たり前と感じていますがそういう見方もあるのですね。
事故の隠蔽体質なんかも問題にされていたりもします。
この本にはこれがいい、あれはだめというのが一杯書いてあるのですが、著者の登山スタイルから見た良し悪しですし、その良いという理由もガイドの何々先生が良いと言ったというものも多く、「なぜ、良いか?」というところまでいっていないものも多いのですが・・・
因みに著者は20近い登山クラブ(有料のものも含む)に参加しており、その指導の良し悪しにも言及されております。その割には単独で行った山行では事故を起こしたり、敗退したりということで単独行はだめだと決めておられますが、妙にバランスの悪さを感じてしまいます。それも中高年の登山の特徴かも知れません。
中高年の登山者を連れていくことの多い人は、連れて行く相手がひょっとするとこんなことを考えているかも知れないと参考になるかも知れません。

  1. 2007/02/14(水) 22:06:30 |
  2. URL |
  3. よかっぺ #1JQD0tfs
  4. [ 編集]

Re:シルバー登山家

よかっぺさまへ。

いやはや、すごい本ですね。。。

アイゼンの出歯がなければ、私はやはりコワイ気がします。
確かに引っ掛けやすくはなるのですけどね・・・。
親父が昔使っていたタニアイゼン、たしか、出歯がなかったように思います。
あの前爪、進化の証だと思っていたのですが、そう思わぬ人もいるということですね。。。。

個人的な好みによる良し悪しは、一概に否定するつもりはありません。
ただ、「なぜかというと・・・」という部分があるとないでは、大きく違ってくると思います。

おっしゃるようなバランスの悪さというか違和感というか、分かる気がします。

この本のような情報、すべて間違っているわけではないと思うのですが、それを鵜呑みにする人もいるのでしょうね。。。。
私にはそちらもちょっと怖い気がします。

こんなことを考えている中高年の登山者を連れて行く・・・
私は当分遠慮したいですね。。。
  1. 2007/02/16(金) 20:26:12 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

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