山道を行く

カラダとアタマと心。 すべて働かせるのが山の魅力でしょうかね。

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【遭難カルテ148】 中ア・宝剣岳で滑落の男女不明

【概要】
20日午後3時20分ごろ、中央アルプス宝剣岳(2931メートル)に登山中の3人パーティーのうち2人が滑落したと、ホテル千畳敷を通じて長野県警に通報があった。滑落したのは松本市の無職男性(32)と上田市の会社員女性(29)。2人と男性の妻(29)は、日帰りの予定で午前9時に千畳敷から入山。極楽平をへて宝剣岳に登り、午後2時半ごろ下山を開始した直後に頂上の北側の稜線から西側の谷へ滑落した。会社員女性が初心者だったため、男性がザイルをつないでいた。女性が滑落しかかったときに男性も止められず、2人とも木曽側の谷へ落ちていった。もう1人の女性はザイルをつないでいなかったため巻き込まれず、単独で約1時間かけてホテル千畳敷へ下山し通報した。事故発生当時、現場は雪が降っており、視界も悪かった。稜線付近は20-30センチの積雪があり凍っているという。長野県警は天候の回復を待ち、21日に県防災ヘリなどで現場付近を捜索したが、2人を発見できなかった。滑落した2人は冬山装備で、1日分の予備食を持っているという。
(読売新聞、毎日新聞、時事通信、信濃毎日新聞よりデータ引用・抜粋)



【考察】
この文章を書いている時点で、2人の安否は不明です。
少しでも早く見つかればいいのですが。。。。

夫と同行者が目の前で落ちていく。。。
助けを求めて、一人で走る。。。
通報した女性の気持ち、察するにあまりあるものです。。。



さて、事故現場について。
難しいルートというわけではありませんが、バリエーションルートの雰囲気を味わえるルートだと思います。
おそらく、千畳敷から極楽平へ出て、宝剣岳を越えて、浄土乗越から千畳敷へ戻るルートだったのでしょう。
何度か行った事のあるルートなので、記憶を頼りに考えて見ます。

宝剣超えをする場合、南下するよりも北上する方が幾分易しいと思います。
難場は南側の方が多いので、そちらを上りに使うほうが、やや簡単だという印象です。
このあたりは、凍った雪と岩のミックスで、アイゼンワークに気を使うところです。
もし落ちたら・・・と考えると、結構ゾっとしましたが。。。。

今回は北上のルート取りで、登頂直後の発生。
頂上から岩の左側を巻いて、稜線の木曽側をトラバース気味に下るところに出ます。
雪のつき方にもよるのですが、ここが一番いやらしいところでした。
おそらく、ここで滑落したのではないかと思います。

概要に「初心者」と書きましたが、報じていたのは1社のみでした。
「初心者」の程度が不明なのですが、比較的しっかりとしたアイゼンの歩行技術が必要なルートだと思います。
ちょっとこのルートは、初心者にはキツイかな。。。というのが正直な印象です。

ザイルをつないでいたこと。
固定支点は取っていなかったんだろうか?

固定支点なしで落ちる人を止めるのは、状況にもよりますが、かなり難しいと思います。
しかも、相手が初心者であれば、余計に慎重にならざるを得ません。
確か、あのあたりには鎖があったと思うのですが。。。。

私が行ったときには、鎖を支点にしてショートフィックスを繰り返しました。
アンザイレンのみでは怖くて怖くて。。。

ガイドが2~3人の客を1人でアンザイレンしている光景、よく目にします。
1人落ちたら次々・・・それを止められるのか?という疑問、今回の事故でも同じことだと思いました。
遭難カルテ130もザイルをつないでいて、引きずられて落ちたケースとしては同様です。

確かにザイルをつないでいることによって「安心感」が生まれ、動きから硬さがとれるという効能はあると思います。
今回の事故でもそうだったのかもしれません。
ただ、それは、落ちないという保障にはならないし、落ちたとしても確実に止められるという前提がなければ、ただの「一蓮托生」にすぎません。

初心者を連れて行くのなら、何も宝剣でなく木曽駒でもよかったんじゃないか・・・なんて思ったりもします。



今回の3人は、県内の人。
そして、ロープウェーで一気に2600メートルまで上がれてしまう。。。。
地元の人にとっては、日帰りで3000メートル級の山が楽しめる場所だと思います。
そこに「お手軽」感による気の緩みはなかったのだろうか?
これは心理的なものなので、事故に会われた方がどうだったか、最後まで分からないことだと思います。
遠方の人間にとっては、猛烈に羨ましい「お手軽」感ではありますが。。。。



==========追記(2008.01.24)==========

22日、2人は現場から焼く500メートル下で遺体で発見された。
死因は脳挫傷。
警察などの調べによると、塩発生当時2人はヘルメットは装着しておらず、固定支点を取った確保もなされていなかった。
男性の妻と亡くなった女性は、ネットを通じて知り合った。
この夫婦と女性が一緒に山に行くのは今回が初めて。
夫婦には雪山の経験があったが、女性はほとんど経験がなかったらしい。
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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

  1. 2008/01/22(火) 02:10:00|
  2. 遭難カルテ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
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コメント

残念ながら

昨日遺体で発見・収容されました。

http://www.shinmai.co.jp/news/20080123/KT080122FTI090012000022.htm

第三者は色々言えますが、結果論ですね。
私も絶対とは言えませんが確保するならセルフビレーは必須かと思います。
でなければアンザイレンの意味が無いですから。。

ただ、管理人さん「地元だからお手軽」は、あくまでアプローチの便だけであり、入山すれば地元も余所もない事だけは知って欲しいです。
同じ信州人として言っておきたいです(苦笑)
  1. 2008/01/23(水) 15:30:57 |
  2. URL |
  3. こば #AN32Su.E
  4. [ 編集]

Re:残念ながら

こばさまへ。

ご紹介のサイト、拝見しました。
固定支点なしはそうだろうなぁと思っていましたが、ノーヘルだったとは。。。。
少々驚きました。

第三者の結果論。
確かにいろいろと言えると思います。
ただ、その中にも見るべきモノはあるのではないかと思います。
ですので、それをまとめて否定するつもりはありません。
よく中身を見た上で考えてみたいと思います。
(私の書いているものも、結果論にすぎませんから。。。)



>入山すれば地元も余所もない事だけは知って欲しいです。

おっしゃるとおりだと思います。
私の書いた文章で不愉快な思いをされたのでしたら、申し訳ありません。
以下、その真意と受け取っていただければ。。。と、思います。

以前に九州のパーティーが遭難したときのこと。
同じ地元の方に中に
「わざわざ遠方から行くわけだから、少々の無理をしてしまうのは仕方がない」
「近くに住んでいて、何度も行ける人たちとは訳が違う」
というようなことをおっしゃる方がいました。
九州ほどではありませんが、私も遠方に住む者です。
心情は理解できるけれど。。。。
でも、それが「仕方がない」にはならないのだ、と自らに言い聞かせました。
まさにに「入山すれば地元も余所もない」のだと思いました。

で、「近くに住む人」であれば、どうだろう・・・と考えました。
近所に住んでいれば、自分だって「お手軽」感から気が緩んだりしないだろうか。。。。。
自分はそういう心理、全く働かないと言えるだろうか。。。。。
これまでのことを振り返ると、あんまり自信がないなぁ。。。。と思い、半ば自戒を込めての言葉でした。

居住地からの遠近で、心理的に違ってくるかもしれない部分というのが、あるのかも知れない。。。。
ただ、それは何の保証にも言い訳にもならない。
まさに「入山すれば地元も余所もない」だと思います。
  1. 2008/01/23(水) 23:51:18 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

Re:真意

私はカミさんからよく、感受性の無いヒトだと言われます。
なもんで、管理人さんの記述を不愉快とは思っていません。

強いて言えば、何時も鋭い分析・洞察力に基いて論調される管理人さんらしからぬ言い回しと、たまたま私が長野県人だったから気になった迄です。

しかし、それも上のレスで氷解しました。

何れにせよ「山は楽しく安全に」が私のモットーですので、これからもこのサイトから色々得たいと思っています。
  1. 2008/01/24(木) 01:33:20 |
  2. URL |
  3. こば #y.yTi2ZA
  4. [ 編集]

感謝

こばさまへ。

真意のほど、ご理解いただけたようで、ほっとしています。

自分の書いた文章にどんな反応が返ってくるのか、正直なところ、結構ビクビクしています。
本当は気が小さいようです(笑)。

先のコメントに書いたとおり、九州の人の件が気になっていたもので。。。。
心理的な要因についても、考える必要があるのでは・・・と、思っていた結果、文章にしました。

毎度のことなのですが、文章が長いので、少しでも簡潔に、と思います。
その結果として、書き込んでおいた方がよかったところを、はしょったりしてしまうことがあり、今回も同様のケースだと思いました。
こばさまのご指摘以外にも、同様のケースがあったのですが、結局はコメント欄で補足することになりました。
まあ、それはそれでいいかとも思うのですが。。。

また気になったところがあれば、教えてください。

文字や文章だけで、全てを伝えることはなかなか難しい。。。
時々それを思い知らされています。


「山は楽しく安全に」
それが一番ですよね!


  1. 2008/01/24(木) 09:24:18 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

結果論も大事では

確かに遭難や事故が起こってから、あれこれいうのは結果論かも知れない。
その結果論すら明らかでない遭難や事故が多すぎると思う。
遭難や事故が起きたあとの報告は、1つは事実をたんたんと語って欲しいと思うが、いま1つはどうしてそうなったかという結果論が大事だと思います。
それを単なる結果論にするか、自分の登山に生かすかは、読み手の感性の問題だと思います。
槍平の雪崩事故について、何人かの人と意見交換しましたが、そのうちの何人かはあそこはこわいので幕営しないと言ってました。
それはある意味結果論(過去の事故)と現地の地形から本人が導き出したものだと思います。こうした情報を事故のあとの一過性にするのでなく、ハザードマップのようにみんなの財産として共有する仕掛けが絶対に必要であり、それこそが日本を代表する山岳団体の責任であると思います。
  1. 2008/01/25(金) 23:17:23 |
  2. URL |
  3. よかっぺ #1JQD0tfs
  4. [ 編集]

Re:結果論も大事では

よかっぺさまへ。

おそらくこばさまへの言葉だと思いますが、横入りします。

先ほどのコメントにも書いてありますが、私は結果論の存在を否定していません。
ただし、取捨選択は(結果論に限らずですが)必要だと思います。
ですが、その基準というのがはっきり示せません。。。。
よかっぺさまのいう「感性の問題」なのでしょう。
結果的に、大概の場合、結果論でも素直に受け取れますけどね。。。
どちらかといえば、時に受け入れられないものもあったりする・・・という感じです。

>こうした情報を事故のあとの一過性にするのでなく、ハザードマップのようにみんなの財産として共有する仕掛けが絶対に必要であり、それこそが日本を代表する山岳団体の責任であると思います。

同感です。
そのデータの取捨選択は個人の問題でしょうが、やはりきちんとまとめられたものがほしいと思います。

それをやるのは、日山協か、労山か、それとも・・・。
  1. 2008/01/25(金) 23:54:57 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

別々にやったら意味がない

それをやるのは、それらが協力して作るネットワークでなければ意味がないと思います。
個々の団体は、そうした情報による登山者への教育や情報提供、そして逆に登山者からの情報収集だと思います。
いろいろなところでバラバラに取組まれていることをネットワーク化し、登山者共有の財産にしていくべきだと思います。
こういうことを真剣に考えられるように、時代が変化してきたようです。今年の初夢に終わらないように具体化していきたいですね。
  1. 2008/01/26(土) 10:05:36 |
  2. URL |
  3. よかっぺ #1JQD0tfs
  4. [ 編集]

Re:別々にやったら・・・

よかっぺさまへ。

>それをやるのは、それらが協力して作るネットワークでなければ意味がないと思います。

同感です。
日山協と労山のタッグが中心になって・・・
と書いていると、レスキュー協のような組織が浮かびます。

>いろいろなところでバラバラに取組まれていることをネットワーク化し、登山者共有の財産に・・・

例年公表されている事故報告書も、その動きの一つだと思います。

団体間のミゾのようなものも、以前ほどではないと個人的には感じています。
私なんぞより、よかっぺさまのほうがずっと実感を持っておられるとは思いますが。。。。

従来からある組織。
その中で情報を集め、各団体がもちよって共有するところまでは、比較的スムーズに進むのではないかと思います。
ですが、山岳会離れというか、組織率の低下というか。。。。。
未組織分に関してどうするのか、難しい問題だと思います。
これまで以上の、警察などの協力も必要かも知れませんね。
  1. 2008/01/26(土) 20:40:30 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2008/01/30(水) 20:01:26 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2008/02/10(日) 08:37:59 |
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  3. #
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