山道を行く

カラダとアタマと心。 すべて働かせるのが山の魅力でしょうかね。

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【遭難カルテ155】 白馬大雪渓で土砂崩落 2人死亡

【概要】
19日午後4時10分ごろ長野県警大町署に白馬岳(2932メートル)の大雪渓付近で、「幅約30メートル、長さ約70メートルにわたって土砂崩落があった」と白馬岳の長野県山岳遭難防止常駐隊から通報があった。山頂近くにある白馬山荘に宿泊予定の3パーティー8人のうち2人と連絡がとれていないという。その後2パーティー6人とは連絡が取れ、登山を中止していたことがわかった。行方不明になっている2人は、松本市の山岳ガイド野間洋志さん(35)と、神奈川県大和市の無職女性(65)。提出されていた計画書では、2人は18日に入山し白馬尻荘に宿泊、19日に大雪渓を通って頂上付近にある「白馬山荘」に宿泊。20日に杓子岳を経て21日に下山する予定だったという。大雪渓上部の葱平(2300~2400メートル)付近で捜索した常駐隊が、野間さんの名前が書かれたザックを発見。中に手つかずの昼食の弁当が残されていた。19日午前11時ごろに登山者が崩落跡を見ており、午前10時半から同11時10分の間に崩落があったとみられる。白馬村は村役場内に対策本部を設置、大雪渓ルートを登山禁止とした。当初は大雪渓南側の杓子側からの崩落と報じられていたが、実際は北側の白馬岳川からで、長さ約100メートル、幅約50メートルと当初の見立てより大規模だった。捜索隊は20日正午過ぎ、崩落現場で2人の遺体を発見・収容した。また、現場付近では新潟県長岡工業高等専門学校の教授で、山岳部顧問の男性(62)も行方不明になっており、崩落に巻き込まれた可能性もあるとして捜索が続けられている。
(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、共同通信、時事通信、中日新聞、信濃毎日新聞などからデータ引用・抜粋)


【考察】
雪渓上の落石には、大雑把に言うと2つのパターンがあります。
①岩肌がはがれることで発生―――これは音がするので、ある程度、身構えることができたりもします。
②雪渓上の石が動き始めて発生―――こちらは音もなく飛んでくるので、かなり怖いものです。
今回は①の規模の大きいもので、予測すること自体は難しかったのではないかと思います。


「雨が強いなら雪渓には踏み込むな」
ずいぶん昔にそう教わりましたが、どちらかというと、②への対応でした。
雪渓は、高温や日差しよりも、むしろ雨によって融解が進みます。
雨→融雪→雪渓上の石がバランスを失う→落石
それへの対策としての教えでした。



18日の天気図を見てみました。
朝鮮半島に前線を伴った低気圧があり、これが進んでくると天気が荒れる。。。。
入山の前日に、比較的簡単に読みとれるものだと思います。
実際、19日午前5時37分には長野県北部に大雨洪水注意報が出ていました。
19日の雨は、簡単に予想できる範囲のことだと思います。

報道された中から、雨に関する部分をピックアップしてみます。
・ 村役場は19日午前8時の降り始めから午後3時までの雨量は61ミリを観測
・ 白馬村では、午前11時までの1時間に17・5ミリ、正午までの1時間には14・5ミリ
・ 白馬岳の雨量計は19日午前10時に1時間あたりの降水量が24ミリ、夕方までに118ミリ
・ 白馬村では13日から17日朝までも雨
・ 猿倉では午前7時ごろから雨が降り始め、午前10時から午後2時にかけては1時間に最大22ミリの強い雨。午後3時までに計111ミリを観測
・ 猿倉では14日午後と、16日夕方から17日昼すぎにかけてもそれぞれ計50ミリを超えるまとまった雨
・ 白馬山荘周辺でも15日と17日はまとまった雨が降り、19日も午前9時から午後3時までの累積降水量が41ミリに
事故当時はかなり強い雨が現場で降っていたこと、事故発生の一週間以内にもまとまった降雨があったことが分かります。

降雨についての山小屋関係者のコメント。
「今思えば雨が続いていたので崩落の条件がそろっていたのかもしれない」(白馬山荘)
「山では2~3日雨が続くことはよくあり、今回が特に多いとも思わなかった」(猿倉荘)
危機感が薄かったのか、あの程度の雨脚は「ありふれたもの」だったのか。。。。
そのあたりの判断はつきかねます。



今回のガイド山行での事故です。
野間氏は日本山岳ガイド協会加盟の安曇野山岳ガイドクラブ所属で、ガイド協の会員名簿にもその名前があります。
地元拠点のガイドですので、白馬という山を良く知っていたのではないかと推測できます。
が、今回の雨の中で、何をもって登山続行の判断をしたのかは不明です。

一方、地元の山岳ガイド組織白馬山案内人組合の倉科光男氏は9日午前7時半に猿倉で自らガイドを務めるトレッキングツアーの中止を判断。
周囲の登山客らに引き返すよう助言したと報じられていました。
「気象情報をしっかりつかんでいれば、防げた事故ではなかったか」だそうです。

結果的に、2人のガイドが、その判断で、明暗を分けることになってしまいました。

捜索活動に携わった北ア北部地区遭対協関係者のコメント。
「相当の雨量があり、登山を控えてもらいたかったという思いはあるが、落ち度と言えるかどうかは何とも言えない」(白馬山案内人組合長・降籏義道氏)
「朝から雨で天候が荒れることは予測できた。常識的にみて引き返すべきだった」(同事務局長・石田弘行氏)
余談ですが、降旗氏はガイド協副会長、石田氏はガイド協会員です。



プロのガイドではない一般の登山客の中にも行動を中止した人も多くいたようです。
コメントにその判断のもとになったものが垣間見えます。
「大雪渓を通り、栂池に向かおうと思っていたが、雨がひどく引き返した。19日の午前10時半ごろはどしゃ降り状態だった。視界も悪く、10メートル先がやっと見えるほどだった」
「19日午前10時過ぎから風雨がすごくて、予定を変更して途中の小屋に避難した」
「トレーニングは積んだが、あの雨の中で進もうとは思わなかった」
「雨のひどさなどから、下山を決めた。登山道は川のような状態で10メートル先で小規模な土石流や落石も目撃した。地盤はかなり水を含み、危険だと感じた」



今回の現場付近では2005年8月に杓子側からの崩落で2人が死傷する事故がありました。
このときにもほぼ同様に、雨が降り続いた後に事故が発生したようです。
事故を受けて、地元はどうしていたか。。。。。
昨夏の様子をこちらのサイトが報じています。
残念ながら、リスクについて登山客に明示する方向へ転換して2年目の事故ということになります。




天候チェックと判断が重要なことは言うまでもありません。

ですが。。。

「雨が強いなら雪渓には踏み込むな」
それだけで防ぎえた事故だったのではないでしょうか。


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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

  1. 2008/08/22(金) 12:47:06|
  2. 遭難カルテ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10
<<【日々是好日211】 崩落事故から思ったこと | ホーム | 【日々是好日210】 お盆に思う>>

コメント

こんにちは。久しぶりに読ませていただきました。

今回の事故は、地元でもまた?・・・という思いと、ショックという思いと入り混じっているような気がします。
お盆前後に関わらず、この夏信州の東北中信地方は「こんな雨はあまり経験ない」というほどの夕立が結構頻繁にありました。
また、県内各地でこれまで普通に生活道路として使っていた道(峠)が崩れたり、のり面が崩壊して通行止めになっている箇所があちこちありますよ。
おそらくそういう状況は、山の上においても同様に見られることなのかもしれませんね。
どちらもしても、安全第一でお願いしたい・・・と、ニュースを見て思っているところです。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りします。
  1. 2008/08/22(金) 16:30:42 |
  2. URL |
  3. ピアーノ #-
  4. [ 編集]

ピアーノさまへ。
お久しぶりです。

そういえば地元にお住まいでしたね。
大阪でも今年の夕立はなんか違うなぁ・・・と思いました。
地元にいらっしゃるのなら、生活の中で、山のこともこちらよりもはっきりと感じられると思います。

>どちらもしても、安全第一でお願いしたい・・・と、ニュースを見て思っているところです。
>お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りします。

同感です。
もう一人の方の行方も、早くわかるように願っています。
  1. 2008/08/23(土) 18:59:39 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

速報だけに留め、まとめていませんが記事にはしました。
前後30分で通過、もしくは到達していなかったらとは思いますが、ガレの多い山域での行動判断としては甘さを感じます。
崩落型地滑りですから起きた場合避ける事は出来なかったでしょうけれど、降雨の沢ルート、降雨の雪渓、崩壊の激しい山域となれば、連続降雨での行動としては取るべきルートではなかったと考えます。
連続降雨で寸前には雨が強かったのに、何故に入ってしまったか。何故に行動を続行したか・・・。
今はもう知りようも無い状態ですが・・・。

ヘリでの専門家の分析では、「土石流ではなく地滑り崩壊。地滑りした土砂の規模は約1300立方メートルと推定。」と在りました。
信濃毎日ニュース
http://www.shinmai.co.jp/news/20080823/KT080822FTI090011000022.htm

登山道が一部崩落に巻き込まれているので、タイミングが悪かったとも写真では見えますが、残念ながら防ぎえた事故、とも言えそうです・・・。

しかし・・・、ただただ、御冥福をお祈りいたします。

一応、私の記事では取り上げていない、気になる部分を・・・。
http://www8.shinmai.co.jp/yama/2008/08/22_008167.html
  1. 2008/08/25(月) 02:40:02 |
  2. URL |
  3. HOKUTEN #99DFA69w
  4. [ 編集]

HOKUTENさまへ。

>連続降雨で寸前には雨が強かったのに、何故に入ってしまったか。何故に行動を続行したか・・・。
>今はもう知りようも無い状態ですが・・・。

そうなんですよね。。。
そこが大きなポイントのひとつだと思うのですが、当事者が亡くなられているので知る由もありません。
ただ、防ぎえた事故だったのではないかと、私も思います。

末尾でご紹介のHP、キャッチしておりました。
やれやれな話ではありますが。。。。

  1. 2008/08/25(月) 12:29:11 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

最後のHPもそうですが、登山禁止ルートとしなくても現状が入れる状態に無いのは判るはずですし、降雨が続いた場合の登山の禁止って、「他人にそこまで判断させて登るのが登山か?」って気がしています。
交通の便もよくなり、道具も良くなった。しかし、「山は身近になったが危険が合理化された訳では無いと言う事を忘れているんじゃないか。」
とさえ見て取れるハイカーが多い・・・。

大雪渓ルートに限らずですが、特にここは「登山ルート」ではなくて「観光ルート」なのだと、実感させられました。
  1. 2008/08/25(月) 15:43:33 |
  2. URL |
  3. HOKUTEN #99DFA69w
  4. [ 編集]

HOKUTENさまへ。

おっしゃること、同感です。
コメントのやり取りをしていて、思ったこと、次項にまとめました。
(あんまりまとまってはいないのですが。。。)

よろしければご一読ください。
  1. 2008/08/25(月) 17:51:09 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

現場の様子が分かる写真がありました。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news/20080820-OYT8T00845.htm
各社大雪渓と表現されていますが、大雪渓上部の夏道で地すべりに巻き込まれたと言う方が正しそうです。ガイドのザックがガレの向こう側で見つかったようですから、まず、小規模の地滑りが起きていて、そこを本人が崩れた部分を先に渡り、その後、身軽になって顧客を連れてこようとした時点で大きな地すべりに巻き込まれたように思います。
ここまで登っていると撤退を選びにくく、巻くか、そのまま渡るかで判断に困る部分でもありますが土砂が下方まで流れていることから巻いたとしてもだめだったわけで、この時点で撤退という判断をするのが正しかったのか?難しいところです。
このような箇所は白馬でも鑓温泉からの下りでもありますし、おそらく、全国どこの山にも該当箇所はあるでしょう。
大昔、大沢岳の真下で、豪雨の中の撤退戦をやったことがあります。幸運にも崩れた箇所は高巻きなどでクリアできましたが、地すべり後を高巻きしたところの地面にすでに亀裂が入っていたりして、今思うと冷や汗モノでした。
はてさて、どういう対策をとればいいのでしょう?

ちなみに、大昔の撤退戦では、崩れるかもしれないから短時間でクリアしてしまおう。。。です。
  1. 2008/08/26(火) 15:56:22 |
  2. URL |
  3. とおりすがり #rmbFb8ac
  4. [ 編集]

とおりすがりさまへ。

現場の全体像、こちらの方がわかりやすいかと。
http://www.shinmai.co.jp/news/20080823/KT080822FTI090011000022.htm

現場付近にいたら、なるべく早く駆け抜ける他はないのかな・・・。
客は高齢者の女性ですので、ペースがゆっくりであったとすれば、ガイドがすべての荷を担ぎ、女性は空荷にしてペースを上げる方法もあったかと思います。
ただ、歩行ペースや現場の雨が強かったなど、情報がないので、何ともいえません。

ただ、現場でどうするかよりも、今回はなぜあの状況で中止・延期にしなかったのかのほうが大きなポイントだと思います。
これは大雪渓にかかわらず、崩落地帯の下を通ったり横切ったりするルートすべてにいえると思いますが。。。
  1. 2008/08/26(火) 19:22:42 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

信大の北さんの記事は読みました。ただ、ノリ面の様子はこちらの写真の方がわかりやすいだろうと思った次第です。
北さんの授業は大昔に受けたような受けなかったようなあいまいな記憶しか残っていないですが、長野県出身の治山学の研究者です。信州の山は良く知っています。
こういったノリ面は素早く、軽くして、震動を与えずに、こっそりと抜けるくらいしか手はないでしょうね。私だったらお年寄りを連れて抜けようとは思わないけど、例えばいくつか同じようなノリ面を抜けてきたり、大水の沢を渡ってきたとかあるのであれば、戻らない(戻れない)ことも考えます。山頂から大池に抜けた方が安全そうですし。
事前の対策は昔から言われているように、大雨のときは登るな(入山するな)。登っていたら動くな。危険な場所からは離れろ。くらいでしょうか。

問題はなぜ守れないか、では?

  1. 2008/08/26(火) 20:57:33 |
  2. URL |
  3. とおりすがり #rmbFb8ac
  4. [ 編集]

とおりすがりさまへ。

>なぜあの状況で中止・延期にしなかったのか
>問題はなぜ守れないか、では?

この二つ、ほとんど同じものだと考えています。
今回の件については、その判断をしたガイド氏が亡くなっているので、これ以上のことはわかりません。
ですので、ここから先には進みようがありません。

ではどうすればいいか、というのが次項でのコメント欄のやりとりだと思います。
  1. 2008/08/27(水) 00:07:08 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

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