【概要】
28日午後0時45分ごろ、長野県警駒ケ根署に、東京都内の三峰山岳会事務局から「中央アルプスを縦走中の男性が滑落したようだ」と通報があった。滑落したのは東京都狛江市、私立大助教の男性(34)。男性は三峰山岳会所属の千葉県内の会社員女性(51)と2人で27日午前10時頃、千畳敷から入山、31日に飯田市大平に下山予定だった。2人は27日午後5時ごろ、檜尾岳山頂から小屋に向かって尾根を歩いていて、下りの登山道が凍っていたため、男性を先頭に、手足をついて後ろ向きにはって進んでいたところ、「あっ」という声が聞こえたため女性が振り向くと、男性が滑落していたという。女性は小屋にたどり着いたが、扉が凍って入れず、小屋の外にあるトイレに通じる階段の下でビバーク。女性が28日正午頃、三峰山岳会事務局に携帯電話のメールで遭難を知らせ、同会が通報した。28日に開始された捜索は風速30メートルと悪天候のため、いったん打ち切られた。29日午前8時25分頃、登山道から駒ケ根市側に約300メートル下の斜面で森さんを発見、県警ヘリコプターで救出したが、脳挫傷で既に死亡していた。避難小屋付近にいた女性は、無事救助された。県警地域課によると、この遭難で、2008年に県内で発生した遭難は180件となり、統計開始の1954(昭和29)年以来最多だった03年の179件を超えた。
(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、中日新聞、信濃毎日新聞などからデータ引用・抜粋)
【考察】
個人的には馴染みのあるルートでの事故。
死者が出るのは、何とも残念なことです。
10時頃千畳敷からの入山となると、やはりロープウェー。
入山初日の27日午後5時頃に檜尾岳山頂という時間からすると、宝剣岳を越えるルートを取ったのではないでしょうか。
また、31日に飯田・太平への下山であれば、空木・南駒・摺古木山を経て・・・というルートになります。
とすると、ザイルなどと一緒に4泊5日の食料などを担いでいたと思われます。
けっこう、ザックは重いだろうとよそうできます。
が、1泊目檜尾避難小屋、2泊目駒峰ヒュッテ、3泊目越百小屋、4泊目安平路山避難小屋と、避難小屋・冬季開放小屋とつなげれば、テントはなくても計画は成り立ちます。
摺鉢窪避難小屋は微妙だけれど、木曽殿山荘も冬季一部開放だったはずです。
事故現場について。
檜尾岳から避難小屋に向かう途中で滑落したようです。
おそらく、下り初めてすぐのところではないかと思われます。
稜線から外れる最初のところ。
小さな雪庇があって、下降点がわかりにくいのです。
雪庇の切れ目があっても、そこは垂直に近い傾斜になります。
わずか数メートルのことではありますが、ザイルを持っていれば、確保する手もあったかと思います。
檜尾岳直下を危険だとする情報は、特に見た記憶がありません。
が、自分が行ったときのことから考えると、場合によっては危険な箇所と言えなくもないです。
ただ、自分が行ったときには、ちょっとだけ困った程度で、比較的すんなり抜けたとも言えました。
気になった点。
報道によると、女性がメールで通報したのは28日の正午頃。
その通りだとすると、事故発生が27日午後5時だったことを考えると、時間的にかなり間が開いていると思います。
そこに何があったのかは分かりませんが、もう少し早い時間帯での通報もあり得たのではないか。。。。
そんな気がします。
余談ですが
昨年末の雪崩事故の時にも三峰山岳会の名を目にしました。
2季続けてとなると、会の方も大変だなぁ。。。。。
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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2009/01/04(日) 19:46:00|
- 遭難カルテ
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| トラックバック:1
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| コメント:2
あけまして、おめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
さて、気になるのは時間ですね。午後5時。この時期にはやや遅いと感じます。宝剣に行った可能性はありますが、ロープウェー山頂で10時となると、積雪期に立ち寄るルートではなかったのではと。
この時は冬型で太平洋側はまずまずだったでしょうけど寒気と風がすごく、氷化する危険もありましたし。
連絡はもしかしたら危険箇所通過を優先して、鞍部に下りたら圏外だったか、自力生存にかけて午前中の捜索をしたのかもしれませんし、安易に救助ヘリを頼むことを躊躇したのかもしれませんが、この辺り、評価が分かれそうですね。
ただ、詳しい事が判らないので・・・。
荷物の多い時の一歩、渋いですよね・・・。
「もし」という可能性ですが、時間に追われて確保を端折ってしまったか・・・。
何事も、詰めを慎重にしないと・・・。今回みたいに中詰めでも同じで・・・。
- 2009/01/05(月) 17:30:55 |
- URL |
- HOKUTEN #99DFA69w
- [ 編集]
HOKUTENさまへ。
明けましておめでとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。
中アの事故で時間が問題になるときには、ロープウェーがポイントになりますね。
千畳敷のホテルに宿泊しない限り、出発が始発より早くはなり得ない。。。。。
アプローチは短縮できても、出発時間が遅くなるという制約が発生します。
現場に午後5時というのは遅い、同感です。
積雪期、何度か空木に向けて縦走したことがあるのですが、初日は宝剣山荘前で幕営。
翌日、宝剣を超えて檜尾というのが、毎回のパターンでした。
初日に宝剣を越えて檜尾というのは、私にはムリのある計画だと考えたからです。
宝剣~檜尾の稜線は、逃げ場のない吹きさらし。
冬型の気圧配置であれば、強風にさらされっぱなしです。
予想以上に時間を食って、檜尾の小屋に着いたときには夕暮れに至ったこともありました。
日没が近づくと、焦りますね。
しかも、山頂から小屋まではほんのわずかの距離ですから。。。。。
事故発生から通報までのタイムラグ。
方法としては上記の通り、もう少し早い時間帯での通報もあり得たと思います。
その間に何があったのか、詳細が不明なので何とも言えませんが。。。。
評価するとしたら、その内容次第と言うところかと思います。
ポイントポイントでの詰め。
おっしゃるとおり、慎重になることが重要ですね。
自らに言い聞かせておこうと思います。
- 2009/01/05(月) 18:14:58 |
- URL |
- 管理人 #MAyMKToE
- [ 編集]
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