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山道を行く

カラダとアタマと心。 すべて働かせるのが山の魅力でしょうかね。

【遭難カルテ162】 ニセコで雪崩、ツアー客巻き込まれ重傷

【概要】
8日午前9時55分ごろ、北海道蘭越町のニセコ山系ニトヌプリ(1080メートル)で、山スキーのため入山していたツアー客8人と倶知安町のアウトドア会社のガイド2人の計10人が雪崩に遭遇。客2人(3人の報も)とガイド1人が雪崩に巻き込まれ、約100メートル下に流された。約10分後に3人は一緒に登っていた他のツアー客やガイドに救出されたが、ツアー客の東京都新宿区の会社員男性(32)が右足骨折の重傷、同区の会社員男性(31)が左肩捻挫の軽傷。一緒に流された男性ガイド(32)は雪に埋もれたが無事だった。ツアー客8人はいずれも男性で大学時代の友人。7日に東京などから道内入りし、倶知安町のアウトドア会社ノーアスク企画・主催の「バックカントリーツアー」に参加した。8日午前9時半ごろ、ガイド2人の案内でニトヌプリに入山したという。10人が標高約700メートル付近を縦一列で登っていたとき、一行の上方約100メートルで雪崩が発生。当時、現場は吹雪で、先頭の3人が巻き込まれた。雪崩の規模は長さ約500メートル、幅15~30メートル、深さ40~50センチ。現場付近は7日から吹雪で、新雪が積もっていたという。札幌管区気象台によると、現場周辺では、7日夜から大雪、雪崩注意報が発令されていた。
(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信よりデータ引用・抜粋)



【考察】
命を落とすことなく戻ってこれたのは何よりでした。

バックカントリー。
ここ何年かの冬の事故について言えば、ひとつのキーワードではないかと思います。
昔ながらの?「山スキー」と言わないのはなんでだろう????
たまに山スキーに行っていたのですが、個人的には「バックカントリー」と言われることには抵抗があります。
ま、どっちでもいいことですけどね。。。。

確かにブームになっていると思いますが、いつ頃からだろうか。。。。
例えば積雪期の山岳事故統計で、スキー・ボードに関する事故の件数・割合の推移などを分析すると、ひとつの傾向が見えるかもしれません。
いつごろからか増えているんじゃないか、と思ってはいるのですが、そういった統計を目にしたことがないので。。。。。


雪山登山をするにも山スキーをするにも、身につけておかなければならないことには共通する部分が大きいと考えています。
むしろ、山スキーも雪山登山の範疇に含まれているとすら思います。
雪山をやるにあたっては、訓練・知識・技術・・・・いろいろと身につける必要があります。

滑降技術が重要なポイントの一つであることは間違いありません。
ただ、そちらの方に偏りすぎてはいないだろうか。。。。。

もちろん、皆が皆というわけでないことは、百も承知です。
気象や雪崩について、並みの山ヤよりずっと知識もあり、雪山の行動技術を磨いている人もいます。
ただ、ブームに乗っかって、そうではない人が増えてはいないか・・・と危惧するわけです。

山ヤのほうでも、怪しい技術や半端な知識が蔓延している面もあります。
「バックカントリーのブーム」と「中高年登山のブーム」。
う~ん、と思ってしまう部分、根っこは同質のものだと思います。
流行の影に、何か抜け落ちているものがあるんじゃないだろうか。。。。。。




さて、脱線したのをいったん戻します。

今回のポイントはツアー・ガイド。
以下は、主に報道について。

4社の記事を見つけたのですが、ツアー会社の名前が出ていたのは1社のみ(共同)。
雪崩に巻き込まれたガイドの性別・年齢を報じたのは、別の1社のみ(毎日)。
怪我をした客2人は住所氏名年齢職業が、各社とも報じられていました。
さてさて。。。。。

今回の事故が、人知を超えた不可抗力のものだったのか、未然に防ぎうるものだったのか。
いまのところ不明です。

同様の事故があった場合、非営利の山岳会名が報じられることもあるのに、営利企業の名前が報じられないのはどうしてだろう?
ただ死者が出ていないという一点だけだろうか?

営利である以上、非営利と比較して、その責任が重大なのは明らかです。
むしろ、山岳会名よりも企業名のほうが報じられてしかるべき、と思います。


ちなみにこのノーアスクのHPのバックカントリーツアーのページによると
「スキー場だけじゃ満足できないスキーヤー・スノーボーダーにおすすめです。
お客様のレベルや天候に合わせて豊富なコースから、最高の1本をご案内致します。スノーシューを履いてニセコ連峰を登り雄大な山を滑りませんか?
装備・経験・知識を持ったエキスパートガイドと一緒ですので安心です。」
「ニセコを熟知したガイドが、豊富なコースの中から最高の一本をご案内します。」

とあります。

安心をうたっていたのですが、事故が起きてしまいました。
ちなみに、この記事をアップした時点で、同社HPに、事故に関する記述はありません。




====================追記(2008.2.11)====================

2月11日付で、ノーアスクのトップページとブログに、今回の事故に関する記述がアップされました。
以下、その全文を引用します。

2月8日の雪崩について
2009/02/11 Wednesday 15:29:19 EST
 平成21年2月8日に弊社で主催したバックカントリーツアー中、雪崩に遭遇し参加者2名の方が負傷されました。
 負傷されました方や関係者の皆さまにご迷惑をおかけいたしましたことを深くお詫び申し上げます。また、この事故に際し、消防、警察、現地に居合わせた方々など多くの方々にご協力を頂き、負傷された方を迅速に病院へ搬送することが出来ましたことに心から御礼申し上げます。
 現在、事故の原因究明の調査や再発防止の対策に取り組んでおります。
 改めて、今回の事故に関しましてお客様、関係者の皆さまには大変なご迷惑をおかけいたしましたことを心からお詫び申し上げます。
                                       株式会社NOASC
                                       代表 ロス・カーティー

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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

  1. 2009/02/09(月) 13:25:21|
  2. 遭難カルテ
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:6
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コメント

ニセコは・・・

営利企業の名が報じられない、というのは
いろいろなパターンがありますね。
今回の場合は、死亡ではないからでは?

何年か前の五竜小遠見山の事故は、
当事者グループに、白馬山案内人組合の
公認ガイドがいましたが、
それは一切、報道されていませんね。

長野県警と遭難対策協議会との関係で
警察が報道にしゃべらなかったので、
マスコミは記事にしなかっただけでしょう。

山案内人組合内部では、お金をもらっていなかった
ということで、不問にしたようですし。
それでいいんか、と。。。。

共同がツアー会社名を出しているので、
たぶん、警察発表では会社名はでているでしょう。
共同が配信して、それに簡単に手を入れて
記事を流すマスコミも多いですから、
死亡でもないし、、、、という判断が働いたのでしょう。


ニセコは滑走系のガイドもどきが沢山いて、
とっても問題があるエリアじゃないですかね。

ニセコでは、いくつか事故が起こっていますが、
一番、稚拙な事故は、雪崩走路の真ん中で
お茶を飲んでいたという春の滝事故。

事故自体も驚愕(だから刑事有罪になった)ですけど、
その過失を認めていないグループが、
パタゴニアから支援を受けて、
ニセコで活動を続けていることが驚き。

まあ、シーシェパードのようなテロカルトを支援するのが
パタゴニアですから、むべなるかなではありますが。


市井の山スキー愛好家にとって、
ニセコは今、一番、足が向かないエリアに
なっているのではないでしょうかね。

まるで恫喝するかのような口調のへんてこりんな
雪崩情報がだされて、それが出ている時に
我々一般ユーザーが事故を起こしたら
一体、何を言われるかわからん雰囲気ありますので。

ニセコは変な人しかいない印象ありますね。
  1. 2009/02/11(水) 15:47:17 |
  2. URL |
  3. jon #HMSZgfsk
  4. [ 編集]

jonさまへ。

企業名が報じられなかったこと、おそらくおっしゃる通りでしょう。
ですが、やっぱりオープンにすべきだったんじゃないかと思います。
この件については、マスコミに対して「それでいいんか」と思いますね。。。。

ニセコには行ったことがないので、どんなところなのか、私には分かりません。
あまりよくない印象をお持ちのようだということは、理解しました。
ただ、「ニセコは滑走系のガイドもどきが沢山いて…」という下りから、昨年2月の八甲田の事故を思い出しました。
(http://yamayakenta.blog51.fc2.com/blog-entry-315.html
http://yamayakenta.blog51.fc2.com/blog-entry-391.html
http://yamayakenta.blog51.fc2.com/blog-entry-394.html
http://yamayakenta.blog51.fc2.com/blog-entry-416.htmlなど)

「バックカントリー」のブームで板を持って山にはいる人が増え、それに合わせて「滑走系のガイド(もどき)」も増えてきたのではないかと思います。
どうも「滑降」部分が先行しすぎているんではないかと。。。。。

パタゴニアとシーシェパードの話。
そのうち触れてみようと思います。
  1. 2009/02/11(水) 19:46:10 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

かぐらも凄い

>「滑走系のガイド(もどき)」も増えてきたのではないかと
かぐらも凄いことになってます。
最近、スプレーというトンデモ雑誌が作られ
それと組んでツアーしているガイド(もどき)会社がありますが、
顧客30人以上一斉行動のツアーをやってました。
ガイド2名で、、、、orz。

ハッキリいって狂っていますね。
商売商売商売で。

  1. 2009/02/16(月) 01:10:42 |
  2. URL |
  3. yuji #L9FLFt/w
  4. [ 編集]

Re:かぐらも凄い

yujiさまへ。

スプレー、恥ずかしながら見た事がありません。
今度、本屋に行ったときにでも探してみます。

かぐらも・・・・とのことですね。

スキー場のリフトやロープウェーが利用できる、首都圏からの集客が見込める、などなど、いくつかの条件が満たされた場所であれば、同種のものはあるんじゃないかと思います。

数年前に山岳ガイドの会議があって、
「レシオ厳守なんていっていたら、商売にならない」
なんて公言するガイドの方もいたぐらいです。
滑降系について言えば、全体的にさらにその意識は低いんではないかと思いますが、実際のところどうなんでしょうね。。。。。
  1. 2009/02/16(月) 14:53:24 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

トンデモ雑誌はこちら
http://www.jiyujin.co.jp/jiyujin0811spray.html

かぐら完全ガイドという記事が
ある意味スゴイ(棒読み)です。
周囲の人間(ガイドも含め)ブーイングの嵐。
何もわからないシロウトさんはだませるでしょうけど。

  1. 2009/02/20(金) 10:31:25 |
  2. URL |
  3. yuji #L9FLFt/w
  4. [ 編集]

yujiさまへ。


写真がきれいな誌面ですね。。。。
引き込まれてしまう読者も結構いるでしょうね。

個人的にはかぐらの山スキーには1度だけ行きました。
ガスガスで何も見えず、おっかなびっくりのルートファインディングで下りました。
ちょこっと滑っては、止まって地図とコンパスで。。。。
正直、カッ飛んでいく楽しさとは全く無縁。
それでも仲間と「あっちやろう」「いや、こっちちゃうか?」とやってたのが楽しい思い出です。

ガイド本がでると、それのみにすがって行動する人も結構います。
それはそれで問題があるのですが。。。。。

メディアもユーザーも、何が重要か、行動する前にじっくり考える必要があるんじゃないかと思います。
  1. 2009/02/21(土) 21:28:28 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

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