山道を行く

カラダとアタマと心。 すべて働かせるのが山の魅力でしょうかね。

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【遭難カルテ163】 唐松岳で女性2人滑落し1人死亡。救助の男性も死亡。

【概要】
1日午前11時半ごろ、富山、長野県境の北アルプス唐松岳(2696メートル)の山頂付近で、登山中の女性2人が富山県側に滑落したと同じパーティーの仲間が110番した。一行は登山仲間の男女各3人。28日に八方池山荘で宿泊し、1日に唐松岳に登頂して下山する予定だった。滑落したのは大阪市此花区、栄養士女性Aさん(51)と愛知県豊橋市、会社員女性Bさん(52)。Aさんは約200メートル滑落して右足を負傷し、動けない状態。Bさんは行方不明に。東京都葛飾区の会社員男性Cさん(44=リーダー)と、同豊島区の事務職員男性Dさん(45)が現場に残り、東京都練馬区の男性Eさん(73)と愛知県知多市の女性Fさん(63)は先に下山した。6人は1日午前7時頃、宿泊先の八方池山荘を出発し、午前11時頃に唐松岳山頂に到着。昼食を取り、午前11時25分頃、一列になって下山を始めたところ、前から2番目を歩いていたAさんと、3番目のBさんが、氷の上に積もった新雪に足をとられ、一瞬で滑り落ちたという。現場は頂上から約2~3メートル下の岩場で、積雪は約20~30センチだった。富山県警山岳警備隊員が捜索に出動したが、悪天候などで1日の捜索は断念。2日には富山県警山岳警備隊8人、長野県警山岳遭難救助隊2人、山小屋関係者1人の計11人が八方池山荘から入山。長野県警ヘリや富山県防災ヘリも出動した。富山県防災ヘリが2日午後4時20分頃、唐松岳の稜線下約500メートルにいたBさんと、一行とは別に単独で入山していた富山県魚津市の団体職員男性Gさん(31)を救助した。GさんはBさんより先に同じ場所で滑落し、2人で救助を待っていたという。2人は両手足に凍傷を負うなどしたが、命に別条はないという。2日はBさんら3人とは連絡が取れなかった。3日午前7時すぎ、Cさんから携帯電話で警察に「山荘付近にいる」と連絡があり、富山県警のヘリコプターが午前7時20分ごろ救助した。午前8時ごろ、山頂から約200メートル下の斜面で、Aさんが遺体で見つかった。また、午前9時50分ごろ、山頂から長野県側約200メートル下の「唐松沢」でDさんの遺体を収容した。死因はいずれも凍死だった。Dさんは当初、携帯電話で県警と連絡をとっていたが、2日朝から不通になっていた。富山県警が、救助されたCさんに話を聞いたところ、Aさんは1日午前11時半ごろに、山頂から約200メートル下に滑落。Cさんは現場に下り、2人はテントで同日夜を越した。2日朝に、CさんはAさんと別れ、救助を求めて山頂近くの山荘に行き、山荘の壁に寄りかかって過ごしていたという。
(朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信、東京新聞、NHK、KNBなどからデータ引用・抜粋)



【考察】
2人が滑落し、うち1人は救助され、1人は死亡。
救助のために現場に残った人も亡くなるという、痛ましい事故でした。

概要をさらに要約します。

1日  単独のGさん(富山♂31)が山頂直下で滑落
     同じ場所でAさん(大阪♀51)とBさん(愛知♀52)が滑落。
     リーダーのCさん(東京♂44)とDさん(東京♂45)が現場に残り、救助に向かう。
     Dさんは携帯電話で110番通報、Eさん(東京♂73)とFさん(愛知♀63)は下山→無事。
     Aさんは現場から下り、Cさんを見つけビバーク、Dさんは連絡係として稜線付近でビバーク。
     Bさんは滑落後、Gさんと出会い、一緒にビバーク。
2日  午前6時、Dさんと警察が最後の連絡。
     朝、CさんはAさんと別れ、唐松頂上山荘へ移動。
     BさんとGさん、救助される→凍傷、生命に別状なし。
3日  朝、Cさんの携帯がつながり、救助される→凍傷、生命に別状なし。
     AさんとDさん、相次ぎ遺体で発見→死因は凍死。

今時点で分かっている流れは、こんな感じです。


冬の唐松岳、結構事故が多いところかもしれません。
1月にも事故があり、2人が亡くなりました。
中央アルプス・千畳敷のように、八方スキー場のゴンドラが利用できることもあり、手軽な印象があるのかもしれません。

冬の唐松、3回ほど行ったことがあるのですが、ひたすら強風だった印象が強く残っています。
そのほか、頂上直下にちょっといやらしいところがあった、という程度です。
ただ、条件が毎回同じ訳ではないので、その印象がすべてということにはなり得ませんが。。。。

単独で入山していたGさん、Bさんと出会えたことは、ある意味で非常に幸運でした。
6人パーティーの通報がなければ、捜索の立ち上がりが遅れていたことは間違いないと思います。
同じところで滑落、2人とも大きなけががなく、ともにビバークできたことは大きかったのではないでしょうか。
この件については、いずれ別項で述べたいと思います。



AさんとBさんが滑落したときの状況。
2人が一瞬でという報と、約1分の間を開けて次々という報がありました。
また、AさんとBさんのどちらが2番目でどちらが3番目なのかも、両方の報道がありました。
報道による情報も、かなり錯綜しているようです。

一瞬で、と言うのであれば、足下の雪が一斉に流れたのだろうか?
アイスバーン上の新雪は、状態によっては一気に流れたりします。
そうであれば、一瞬で2人が・・・というのもうなずける話です。

1分の間をおいて、というなら。。。。目の前で仲間が滑落し、動揺したのだろうか?



長い長い前振りでしたが、やっとこさ本題です。
今回は(も?)パーティーについてです。

事故発生後、2人が下山している点。
「はぐれ」たりしたことが元で起きた事故ではありませんから、いわゆる「はぐれ・置き去り型」とはちょっと違います。
ですが、2人が滑落した後、救助と下山にパーティーを分けたのには何らかの意図があったと思います。

現場に残れば、その日のうちに救助隊が来る保証はないので、当然、ビバークを想定する必要があります。
また、現場での捜索・救助、けがの手当てなど、かなりのエネルギーを必要とします。

年齢と性別で整理すると、以下の通り。
  滑落したのは51歳と52歳の女性。
  現場に残ったのは44歳と45歳の男性。
  下山したのは73歳の男性と63歳の女性。
このあたりに、判断の理由があるのかもしれません。
報道にも「高齢の2人が下山」というのがありました。

ですが、基本的にパーティーを分けるのはどうかと思いますが。。。。。
ただ、その判断の根拠に何があったのかによっては、評価は変わってくると思います。
分けたほうが良いと判断した理由とか、分けざるを得なかった理由とか。。。。
この点についても別項で述べたいと思います。



事故発生後、救助に向かった2人は別行動を取ります。
これが明暗を分けることになりました。

稜線を外して高度を下げることで、雪崩の危険を除けば、ビバークの条件はおおむねよくなります。
吹きさらしの稜線でのビバークとなると、かなり厳しい。。。。
2日朝の最後の連絡の折、Dさんは元気な様子だったと報じられていました。
また、山荘の鍵の開け方を警察が伝え、小屋の中に避難するよう指示したようです。
にもかかわらず、長野側の谷から遺体で見つかりました。
風に飛ばされたか足を滑らせたかではないでしょうか。

連絡係。
事故の一報を入れることは重要ですし、その後も連絡が取れるにことに越したことはありません。
ただ、一報の後、2人が別行動を取ってまで・・・という気がします。
基本的には2人で救助に向かい、3人で捜索隊を待つべきだろうと思います。
2人の別行動の意図などが不明ですので、これ以上は言えません。
この件については、生還したCさんの証言を待つほかはありません。



Cさんの行動について、疑問が2つほど。
まず、報道に「Cさんは1日、滑落したAさんに付き添い、別々のテントで夜を過ごした。」とありました。
別々???一緒に過ごすものだとばかり思っていましたが。。。。
ただ、報道が事実と違う可能性は、毎度ながらあります。
ですので、別々だったか一緒だったか。。。。。
もし報道が正しいとするならば、やはり不可解な行動だと思います。

次に、2日朝、Cさんは現場にAさんを残して唐松頂上山荘へ移動します。
通常、けがをして動けない人を残して移動することは考えられません。
そもそも救助に向かい、付き添った事実からも、不可解さが残ります。
このあたりにも、Cさんの証言を待つほかはないようです。



今回の事故、結果的にパーティーが、文字通り四分五裂状態に陥っています。
  ①事故発生で、A+B+CDEFの3分割。
  ②2人下山で、A+B+CD+EFの4分割。
  ③現場に残った2人が別行動でA+B+C+D+EFの5分割。
  ④CさんがAさんを見つけ、AC+B+D+EFの4分割。
  ⑤CさんがAさんと別れ、再び、A+B+C+D+EFの5分割。
こうやって並べてみると、EさんとFさんがともに下山した以外は、2度にわたって1人ずつの状態。
ほとんどパーティーが崩壊していると言えそうです。

何かコトが起きたときの互助関係が、パーティーを組むことのメリットのひとつだと思います。
事故当時の現場の状況など細かい情報がないことを承知のうえで敢えて言えば、そのメリットが生かされることなく、事故が大きくなってしまったのではないでしょうか。

今回の件は、パーティーの構成・体制やトラブルがあったときの行動に、不可解な点と無理があったように思います。
詳細について、もっと情報があれば。。。。見方が変わる可能性はあるんだけれど。。。。



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テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

  1. 2009/03/06(金) 13:55:25|
  2. 遭難カルテ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

前項のコメントでも触れましたが、この方たちはガイド登山で知り合った仲間のようです。
私自身は聞いただけですが、かなり信頼できる筋から聞いたので間違いないと思います。
ガイド登山の前の経験などは良くわかりませんが、本格的な雪山についてはガイド登山がはじめてだったのではないかと思います。それで何回かガイドに連れられて行き、これなら私たちでも登れそうと思ったか、自力で山に登りたいと思ったかそこらの動機はよくわかりませんが、パーティーを組んで登ったのだと思われます。
一般的にリーダーとなる技術・経験のある人がおらず初心者同士でパーティーを組んでも全体の力はあまりあがるわけではありません。天気や状態が良ければ問題なく行けたかも知れません。事故が起きたら間違いなくパニックになります。(これはリーダー1人が経験者でその人が事故を起こしても同様パニックになります。)
今年のように暖かい日が続くと高い山では氷化が進みます。それが斜めの岩にツルツルの氷が発達し、うっすら雪が付いたところを雪面のつもりで乗ると間違いなくスリップします。雪が崩れたのではなくスリップではないかと思います。(もっとも今後新雪が降れば今年の春山は新雪雪崩に要注意となりますが)
ガイド登山そのものが悪いわけではありませんが、基本的にガイドさんが教えてくれるのは付いていくための技術です。自力で登るための技術や連れて行くための技術を教えてくれる訳ではないと思ったほうが無難です。ガイド登山からの自立の時は非常に慎重にやる必要があります。
氷は滑るという知識があっても、実際の山にどういう形であるのか、それを見ただけで判断する、これが経験です。ガイドは経験でそれを避けたり、ステップを切ったり、ロープを使用します。付いて行く人は難しいところはなく、ロープがなくても登れるようなところだったと思ってしまいます。そして装備は持った必要になれば使おうと思うのですが、必要の判断ができず装備を持ったまま役立てなかった遭難事故というのも非常に増えています。
このようなタイプの事故が増えているという予兆はあり、無雪期ですが剣の北方稜線であった事故もガイドと行ったコースをガイドレスで行っての事故でした。登山界が真剣に考えなければいけないテーマが増えてしまいましたが、もっと早く考えて手を打っていれば防げた事故かも知れないと思うと、非常に残念です。
  1. 2009/03/07(土) 11:02:34 |
  2. URL |
  3. よかっぺ #1JQD0tfs
  4. [ 編集]

よかっぺさまへ。



>前項のコメントでも触れましたが、この方たちはガイド登山で知り合った仲間のようです。

こちらではそのような情報は得られませんでした。
ですが、6人の居住地のばらつきから、山岳会ではないように感じていました。
ガイド登山で知り合った仲間というのであれば、居住地のばらつきも納得のいく話になりますね。

>ガイド登山そのものが悪いわけではありませんが、基本的にガイドさんが教えてくれるのは付いていくための技術です。
>自力で登るための技術や連れて行くための技術を教えてくれる訳ではないと思ったほうが無難です。
>ガイド登山からの自立の時は非常に慎重にやる必要があります。

ものすごく納得しました。
もし、今回の事故に「何回かガイドに連れられて行き、これなら私たちでも登れそうと思った」ということがあるなら、ガイド登山の功罪の「罪」の部分になりそうですね。

>登山界が真剣に考えなければいけないテーマが増えてしまいましたが、もっと早く考えて手を打っていれば防げた事故かも知れないと思うと、非常に残念です。

同感です。
ガイドさんたちも一緒になって取り組んでくれればいいのですが。。。。
ただ、「ガイド登山からの自立」が進み出すとお客さんが減っていくので、二の足を踏む、なんてことになるかもなぁ。。。。


ついていく技術と連れて行く技術について、ちょっと考えてみることにします。



  1. 2009/03/07(土) 16:55:26 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

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