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山道を行く

カラダとアタマと心。 すべて働かせるのが山の魅力でしょうかね。

【日々是好日292】 なんで山登るん?

会社の連中と飯を食いに行った時のこと。

社内の付き合いって、面倒なのでほとんど出撃拒否。

いつもはそれで切り抜けているけれど、この日ばかりは捕まった。。。。
ま、サラリーマンですから、断りきれないときもあるわけで。。。。
そんなときは隅っこの方でおとなしくして。。。。と。



どういうわけか、山の話が降ってきた。
ヤバイヤバイ。。。。。


50代後半の上司♂(3児の父)。
山歩きでも始めてみようかと思っているとか。
「君、山登りするんだって?」
「はあ、まあちょこちょこと」
「何かポリシーとか信念みたいなものがあるのか?」
「いやぁ・・・・ないんですけどねぇ。。。」
「んじゃあ、達成感とかか?」
「そういうのんでもないんですけどねぇ。。。」
「そうか。。。。」
会話終了。


もうひとつ。
最近山歩きを始めたらしい30代の同僚♀(独身)。
「自然の中を歩いてると、癒される感じがしていいですよね」
「いやぁ・・・・どうやろ。。。。」
「。。。。。。」
会話終了。



家に帰ってから考えてみました。

会社の飲み会には向かないタイプだな、オレ!
って、そんなことはどうでもいい。。。。



上司との会話から。
バリバリ働いてきた人だけに、「信念」「ポリシー」「達成感」ってのが大好きな人です。
分担やノルマはこなしますけど、それ以上の仕事はちょっと・・・という私とは、ある意味で正反対。

登山に興味を持っている、とのこと。
たぶん、定年後の時間の過ごし方なんかを考えているんだろうなぁ。。。
で、60歳になって、「信念」やら「達成感」やらをキーワードに山へ・・・なんてことになるんだろうか?
それじゃあ、仕事と変わらないじゃん!なんてことは、言いませんでしたが。。。。

60代登山初心者誕生の前段階を見た!といったら言い過ぎかな。。。

体力維持・健康増進ということを考えているようでした。
我が身に置き換えて考えたら・・・・・・。
山に行く前に、その不健康で不摂生な生活の方を何とかしろ!ってな感じだ。。。。
そっちの方が、よっぽど効果がはっきり出る、と確信を持って言える!

なんだか、自分がダメ人間に思えてきた。。。。。






同僚との会話から。
キーワードは「癒し」らしい。
厳しい、つらい、苦しい・・・・・出てくるのはそんなことばっかりの自分からすると、夢のような世界の話。
まあ、癒されることが皆無なわけではないけれど、やっぱり違うなぁ。。。。

吹雪の中で胸までのラッセル、ビビリながら進む岩稜や岩登り。。。。
ずぶぬれの下山日、(学生時代の)信じられない重さのザック。。。。
落ちたり、こけたり、凍傷になったり。。。。

全っ然、癒されてません!

30代の女性登山者が増加中らしいけれど、その流行に乗っている状態なんだろうか?
ま、あんまり突っ込んで聞くと疲れそうなのでやめましたが。。。。





2人とも、キーワードがありました。
自分はどうだろう?と思ったのですが・・・・・しばらく考えても「ない」。
「信念」と「ポリシー」は、まったくなし。
それは「信念」を持って断言できる!(笑)

「達成感」と「癒し」は・・・・・下山後の風呂の中で、似たような状態かな?
お湯につかって「ああ、やっと終わった。やっぱり風呂はいいなぁ」みたいな。。。。
そのあと布団の中で「ああ、やっと終わった。やっぱり布団はいいなぁ」みたいな。。。。

ますます、自分がダメ人間みたいな気がしてきたゾ!





で、なんで山登るんだろう?
あんまり考えたことがなかったなぁ。。。。

マロリーの「そこに山があるから」は、いろいろと深い意味のある言葉です。
個人的には「そこに(未踏峰の世界最高峰のエベレストという)山があ(り、自分はその頂に真っ先に立ちたいと思ってい)るから」という意味だと理解しています。

で、自分はというと、ちょっと困ってしまいました。

これまでのことを考えると、いろいろと大変なことが多かった方が印象深く記憶されています。
楽勝でスルスルっと終わってしまった山への印象は、やっぱり薄い。。。。
マゾっぽいかもしれませんが、やっぱりなにがしかの負荷がかからないと、面白くないのですね。。。。



結局、「好きだから」以外の答えが出てきませんでした。。。
「何が好きなの?」って聞かれると、腕組みして「う~ん」と、唸るだけです。
が、たまには真剣に考えてみよう。。。。







山に行くと、普段の生活では感じられない「死」が、なんとなく近くに感じられるのです。
そんな状態だから、山にいる間は、言いようのない緊張感が体中にまとわりつきます。
もやっとした緊張感の中で「自分は次にどうするんだ?」という自問自答と行動を重ねていきます。
その繰り返しの中で、ちらちらと「死」が見え隠れします。
遭難しかかった時には、かなり現実に近いものとして感じました。
なるべくそれを感じることがないように・・・と思い、自分の持っている知識や経験や技術の引き出しを一つ一つ開けながら、打てる手を打ちます。
知らなかったことを知り、気づいていなかったことに気づかされることで、引き出しは増えていく。。。
ただ、「死」を感覚的に垣間見るような中で過ごしていることが、自分の「生」を感じている時でもあります。
「死」を意識することで、自分の「生」を感じる。。。。
下山して街に入ると、この緊張感から解き放たれます。
緊張でカタくなった精神と体を、風呂でほぐし、布団で休める。。。。。
そうすることで、自分の「生」を改めて実感するのでしょう。
いうなれば、自らの「生」の自己確認をしているのかもしれません。
その実感が薄まると、一種の中毒症状のようなものか、山へ行きたくなってしまいます。
山に行っているその瞬間よりもむしろ、下山した後に思い返すことが、自分は好きなのかもしれません。
そういう山だからこそ、一緒に行く相手は選びます。
むしろ、単独の方がどっぷりと浸れます。
普段は働いていて、休みも家やら子供のことやらで、あまり自由にはなりません。
数少ない機会だからこそ、濃い内容を求めてしまうところはあるかもしれません。
コースの難易度やハードさは、内容の濃淡に多少の差が出てくるでしょう。
ですが、低くても易しくても、内容をある程度濃くすることはできると思っています。
ただ国内においては、標高が高いとか、有名どころだとか、百名山だとかは、ほとんど意味を持ちません。
現在の自分のおかれている状況と、現在の自分のポテンシャルなどの制約から、行ける山は限られています。
多くの制約の中から、生きたいところを選ぶ自由ぐらいはあるべきだと思います。
その自由は他律的なものではなく、自立的なものであるべきだとも思います。
バイブルやガイドブックには縛られたくはない。。。。
地形図を見ながら、唸るのも醍醐味のひとつでしょう。





あぁ~、長々と観念的?になってしまった。。。。
自分でもなんだかうまく表現できないもどかしさが。。。。。
キーワードにすると「生の自己確認」・・・・・ちょっとムリがあるか?

一言でスパっっ!!と言い切れる人って、ある意味幸せで、ある意味すごいんでしょうね。。。


ま、人それぞれだから、自分はそれでいいんだろうけど。
山に行く理由なんて、100人いたら100通りなんだろうなぁ。。。。





山の魅力、一言で言い切ったり、人に伝えたりするのって、難しい。。。。。。
自分の語彙が少なかったり、構成力が貧弱なだけかもしれんけど。。。。。。









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テーマ:FIFAワールドカップ - ジャンル:スポーツ

  1. 2010/07/04(日) 12:05:51|
  2. 日々是好日
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<【日々是好日293】 山ガールって。。。。 | ホーム | 【日々是好日291】 エベレスト 中国側の年齢規制>>

コメント

何でしょうね。一言では言えません。
最終的には「楽しい」から・・・だけかな。
その裏には苦しかったり凍えたり、死にそうな場面もあり、しばらくいいやって時もありますけどね。
「信念」「ポリシー」「達成感」は無いですけど、「開放感」はありますね。それが目的ではありませんが、せせこましい世の中にいて、どんどん閉じ込められていく感じを持った時なんかは森林限界を超えたいですね。そこでしばらく横になりたかったり。
そういう意味では癒しはあるのでしょうけどね。
一番好きな白馬鑓沢が一番それを表しているかも知れません。
鑓の頂上より大出原。開放感のある温泉。自分の中ではパーフェクト。登り返し以外は・・・。
温泉だけだと不完全燃焼。滑りの楽しさは最低大出原からですね。
ちなみに、夏山は最近行っていません。雷で連続して死に損なったので、ビビリ入っています。人が多いのもあるかな。

私はアルピニストではないですが、単純に「あの頂に立ってみたいから」でもいいと思いますし、むしろ、そう答えられたらいいなぁと思います。
あの斜面を滑ってみたい・・・。まぁ、そんな感じですかね。楽しく滑れて、あまりビビる様な所で無ければ・・・。
  1. 2010/07/07(水) 00:59:30 |
  2. URL |
  3. HOKUTEN #99DFA69w
  4. [ 編集]

HOKUTENさまへ。

>森林限界を超えたいですね。

ああ、よくわかります。
一方で、樹林帯の中で、遠くに沢の音を聞きつつ過ごすテント泊ってのも、結構好きです。

HOKUTENさまと自分とは、当然ながら違う部分があると思います。
一方で、共通したり重なったりする部分も多いと思います。

>何でしょうね。一言では言えません。
>最終的には「楽しい」から・・・だけかな。

この辺なんかは、ほとんど一緒かな・・・と。
勝手に親近感を持っています(笑)。


山に向かう理由、人それぞれのカタチがあると思います。
「○○のため」って人もいるんでしょうけれど、ちょっと自分には馴染めないかな。。。。。

たまに振り返って「何で山に?」と、自分に問いかけるのもいいかなと思いました。
結構、忘れてたものがあったりしそうですから。。。。

  1. 2010/07/07(水) 12:46:33 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

あの時の答えは・・・

「そういう質問を考えないようにする為、登っているんだよ」

 ↑数十年前、火打山の登山道で、高校生ぐらいの男子からオズオズと問いかけられた時の私の答えでして・・・

 ・・・いじわるな答えだったかな~(笑)

  感度が合いそうな人には、「一度歩いてみれば?」とも。

 手間暇かかるし、腰に悪いし、変な人も居るし、楽して山を歩いている訳ではないので(テント泊ばっかりだし)、「好きだから」←近年はこの答えばかり。

 さすが管理人さんの分析、鋭いですね。



 
 
  1. 2010/07/12(月) 21:14:27 |
  2. URL |
  3. テントミータカ #SVWlgnzY
  4. [ 編集]

Re: あの時の答えは・・・

テントミータカさまへ。
お久しぶりです。

>「そういう質問を考えないようにする為、登っているんだよ」

確かにイジワルですね(笑)。

少しずつ時間と経験を積み重ねつつ考えて、やっぱり答えがいまいちハッキリしない。。。
それをハッキリさせるにはさらなる時間が。。。。。

そんなものかもしれませんね。

高校生にゃ分るわけねーだろ、自分だってまだ分かんないんだから!(笑)
学生の頃は、そんなことを考える暇すらなく山に向かっていました。



>感度が合いそうな人には、「一度歩いてみれば?」とも。

アントニオ猪木が好んで使う「道」の中に、こんなフレーズがありました。

「迷わず行けよ 行けばわかるさ」

それに近いものですかね。。。。。
(プロレス、大好きですから!)



誰しも「好きだから」というところに落ち着くんだと思います。
ただ「何で好きなの?」というところに踏み込んでしまうと・・・・今回のようになってしまいます。

それこそ十人十色でしょうね。

  1. 2010/07/14(水) 16:39:17 |
  2. URL |
  3. 管理人 #MAyMKToE
  4. [ 編集]

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