15日に発売された「山と渓谷」「岳人」10月号。
どちらもトムラウシの特集、10ページを超える力の入れようでした。
普段はどちらも立ち読みか図書館なのですが、今回は両方買ってしまいました。
計1680円の出費は、結構イタかったのですけれど。。。。。
以下、思いつくままに読んでみた感想を。
まず、山と渓谷(以下、山渓とする)。
巻頭に特集を持ってきたのには驚いた。
変わりつつある「山渓」を象徴するトピックの一つかもしれません。
さて、その内容について。
パート1は、参加者の1人からの聞き取りをもとに、「遭難までの経過と問題点」としています。
読んでみて、問題点はどこに?
経過は生々しく伝わってくるのですが、問題点の指摘が・・・・・・・ない。
やられた。。。。。
ひたすら吐く女性(68)の話が出てきます。
吐くと、ものすごく消耗するのですが、何度も吐いた彼女が最初に動けなくなったようです。
このような状態の人、どこかの段階で下ろした方がよかったんではなかろうか?
体調不良なのか癖なのか、その辺は不明ですが、いずれにしても同じだと思います。
パート2検証1気象は「風の恐怖」。
書き出しでまた???
「トムラウシ山の遭難は悪天候が原因でおこった、いわゆる気象遭難である」
天変地異レベルで、人間の判断力を持って避けえないものであれば「気象遭難」であってもいいと思います。
人間のレベルで判断できるものであれば「悪天候が原因」ではなく「悪天候にうまく対処する判断ができなかった」ことが原因であろうかと。。。。
あんまり軽々に「気象遭難」という言葉を使わない方がいいのでは?
原因の究明等の際に「天気が悪かったから」の一言で片づけてしまうような動きにつながりかねないので、そう思うのです。
と、思ったら、末尾に「ガイドの判断が問われなくてはならない」。
判断ミスの可能性を、ちゃっかりと示唆している。。。。
気象の専門家の話などから、当時の風の強さについて説明。
濡れた状態で強風下の行動について書かれています。
で、そんなとき、どうしたらいいか・・・・・・というのは、なにもありません。
登山者としてほしい情報というのは、そういうことだと思いますが。。。。
毎度ながら、食い足りなさが残ります。。。。
パート2検証2ガイドは「悪天候の中を強行」。
副題に「低体温症の兆候を見抜けなかったのか?」。
「遭難の原因はガイドの判断ミスだった。」山渓にしては珍しく、冒頭ではっきりとガイドのミスを断定しています。
あの白馬の事故のときに、こんなことはなかったような気がしますが。。。。
2ページにわたって文章が展開されていますが、一番役に立ちそうなものは低体温症の症状と対処法の一覧表。
正直なところ、私自身もあまりよくわかっていなかったのですが、少し理解が進んだように思います。
気になったのは、「ツアー登山の特殊性」という小見出しから始まる最後の項。
正直に言って、よく理解できないのです。。。。。
ツアー登山とガイド登山は違う、とでも言いたいのでしょうか。。。。
にしては、違いの説明が不十分で、とても「別物」とまでは思えませんでした。
特に最後の段落、全文を引用します。
「登山は、困難な対象へ挑戦し、それを克服して登頂したり、コースを踏破したりという達成感がある。ガイド登山なら、まだそういう喜びを追及する余地があるが、ツアー登山に関しては、その種の冒険的要素を求めてはならない。その代わりに、限りなく100パーセントに近い安全を保証するべきである。」「登山は」で始まる1文目は、その通り。
「ガイド登山なら」で始まる2文目から????になってきます。
1文目にあるような達成感や喜び、ツアー登山でも十分得られる余地はあると思います。
いかなる形態であっても、登山の目的は、1文目の言わんとするところじゃないでしょうか。
よって「ガイド登山なら」と言われても、なんだかなぁ。。。。と。
「その代わりに」で始まる3文目。
文章の流れからいえば、ツアー登山はガイド登山と違って、冒険的要素を求めない代わりに高レベルの安全保証が必要、ということになります。
これをそのまま裏返すと、次のようになります。
ガイド登山はツアー登山と違って、冒険的要素を求めてもよいが、その代わりに高レベルの安全保証は・・・・・・・。
書いててコワくなってきました。
パート2検証3登山客は「生死を分けたもの」。
副題は「まず基礎体力。あきらめない意志を強く持つ。」
意志を強く持つ、なんて精神論のにおいがかなりきついですが、それはおいといて。
衣類などの装備と行動中のエネルギー摂取の重要性が書かれています。
これ、大事なポイントだと思います。
で、気になったところは、ツアー会社が用意した装備リストについて。
「ちなみに、ツアー会社が配布した装備リストには着替えは書かれていない。」最後の方からも引用。
「装備の不十分な人が死亡したという報道もあったが、ツアー会社の配布した装備リストはきちんとしており、登山客はこれを守っていたと思われる。」さて・・・・・・着替えの記載のないものをきちんとした装備リストといっていいんだろうか?
「守っていたと思われる」って、「守っていた」確証がないわけで、検証が不十分では?
新聞・テレビ・週刊誌などへの反論だろうけれど、すでに出てしまった報道を否定するのなら、もっときっちり詰めた方がいいように思います。
パート3特別インタビュー。
生還した参加者へのインタビューで構成されています。
「『ツアー=寄せ集めの集団』というわけではない。みんなが助け合って下山しようとしていた」の題。
パート1と同様に生々しい状況や、参加者が助け合う場面が浮かんできます。
で、気になったのは表題。
あえてもう一度書きます。
「『ツアー=寄せ集めの集団』というわけではない。みんなが助け合って下山しようとしていた」
おそらくインタビュー中の言葉を短くしたものだと思われます。
その該当部分と思われるのは以下の通り。
「マスコミには「ツアーだから寄り集まりの集団だった」と報じられていましたが、それでも皆さん一生懸命助け合って下山しようとしていました」なんかニュアンスが違っているような。。。。。
ご本人は「寄せ集めではない」と、明確に否定はしていないように読み取れました。
そもそも寄せ集めでなかった証明がまったくありません。
さらに言えば、パート1で出てきた吐く人のことを、参加者が体調不良か癖なのか、よくわかっていなかったこともあります。
「寄せ集めではあったけれど、お互いに助け合っていた」というところじゃないのかなぁ。。。。
これは、インタビューに応じた側の問題ではなく、インタビューをし、雑誌を作る側の問題だと思いますが。。。。
パート4対談。
JATA登山部会長・黒川氏と日本トレッキング協会理事・越谷氏、司会は編集部。
黒川氏は日本山岳ガイド協会の認定ガイドでもありますが、終始、JATA関係者の姿勢でした。
越谷氏の発言から
「ただ技術と経験があってガイド資格を持っていればいいかというと、それだけじゃないと思うんですね。このガイドと行けば安心だという信頼性ですよね。それをお客さんが判断するのは難しいんですけど。」事故についていえば、ガイド・業者名の公表というのが一つの方法だと思います。
事故の多い(そのいくらかは「不運」もふくまれるけれど)ガイド・業者であれば、ユーザーとしては安心できにくい。
一つの選択の目安となるのではないかと思います。
黒川氏の発言から。
「ツアー登山を行っている会社のトップのなかにはガイドラインを読んでいない人もいるようなので、まず読んでもらう必要があります。ツアー登山というのは旅行商品の特異な分野であることを旅行会社のトップに理解してもらい、同時に所管官庁である観光庁にもわかってもらうこと、そこが今後のわれわれの課題でしょう。」以前コメント欄などで触れた、JATAの
ガイドライン。
意外に浸透していないことに驚きました。
業界内の意識レベルの向上からやらなければならないとしたら、えらいことですね。。。
山渓を読み終えて思ったこと。
あきらかに「ツアー登山」と「ガイド登山」の間に線を引こうという意図が見えます。
対談の中などにガイドの資質についての記述があるように、両者は密接につながっているはず。
となると、看過していいはずはないと思いますが。。。。
また、提言や見解が薄いように思いました。
メディアである以上、それなりのオピニオンは必要だと思います。
とはいえ、例の白馬の事故、大日岳訴訟のときから比べると、少しずつそういうものが出始めているようにも思います。
長くなってきたので、岳人については後日。
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- 2009/09/22(火) 13:39:59|
- 日々是好日
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15日の朝、NHKの「生活ほっとモーニング」でトムラウシの事故について放映されていました。
「要注意!中高年登山 思わぬ落とし穴」というタイトルで、
番組HPに概要が出ています。
以下、記憶に基づいて書きますので、間違いがあるかもしれません。
修正等あれば、よろしくお願いします。
ゲストには女優の市毛良枝さんと関大の青山千彰教授。
道迷いや転倒して骨折した人の体験が紹介されていました。
全般的な傾向として、発生は午後2時ごろに多く、好天時、平坦or緩斜面での事故が多いこともグラフで説明。
お天気がいいときに平坦な場所で転倒するのはなぜ?
青山教授「おしゃべりしながら歩くとか」
市毛さん「それありますね」
学生のころ、山でしゃべりながら歩いていると、「黙って歩け!!」と上級生に怒鳴られたものです。
なるほど、そういう意味もあったか!
歩行中のおしゃべり、確かに女性に多い気がするなぁ。
ま、主観によるものではありますが。。。。。。
後半にツアー登山の話題。
トムラウシの遺族が取材に応じていた。
亡くなった女性は50代半ばから山をはじめ、約15年の経験。
遺品の中に、アミューズトラベルが発行した「登頂証明書」がどっさりと出てきた。
遺族によると40枚ぐらいあるとか。
アミューズトラベルのツアー登山のリピーターだったことが伺えます。
遺品の中に買ったばかりのツエルトがありました。
トムラウシには持っていかなかったものでした。
遺族は「これを頭からかぶっていれば、助かったかもしれない。」
せっかく買ったのに、置いていってしまったのは、なぜだろう。。。。
最後のほうに、どんなツアーを選べばいいか、という目安が示されました。
・過去にあった事故など、リスクの開示をきちんとしてくれるところ
・これまでの経験・体力などを細かく聞いてくるところ
・装備を細かくチェックしてくれるところ
大まかに言えばそんな感じでしょうか。
ユーザー(視聴者)向けの情報としては、こういうものが必要なんでしょうね。
この日は「岳人」と「山と渓谷」の10月号も発売されました。
事故のことを、それぞれ大きく扱っていました。
珍しく両方とも買ったので、読後の感想、近々書こうと思います。
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- 2009/09/18(金) 20:44:57|
- 日々是好日
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11日、穂高で遭難者救助中の岐阜県防災ヘリが墜落、乗員3人が死亡する事故がありました。
まずはご冥福を祈りたいと思います。
11日に登山中の10人パーティーから「男性1人が動けなくなった」と通報があり、ヘリコプターが出動しました。
そのヘリが救助活動中に墜落した、というのが大雑把な流れです。
心肺停止だった要救助者の男性(64)の死亡(病死)も確認されました。
こちらの
記事によると10人はガイドに率いられたパーティーだったようです。
前項のコメント欄で、地元の方からの声がありました。
登山者の大半は遠方からの客。
その客のために、負担や奉仕が行われている、ということでした。
今回はそれどころか、犠牲者が出るという、とてつもなく悲しい結果になってしまいました。
もし、自分が遭難してしまったら、救助に来てくれた人が命を落としてしまうかもしれないということを、忘れてはならない。。。。
改めて目の前に突きつけられた気がしました。
今回は救助する側もされる側も、共に亡くなってしまいました。
人の命の重さ、いずれも違いはありません。
が、遊びに山に行って亡くなった人と、仕事とはいえ助けに行って亡くなった人。
それぞれの死を、同じものとして考えることにためらいを感じます。
自分は前者にはなりえても、後者になりうる機会は極めて少ないと思います。
ですので、余計、そう思うのかもしれません。
どうやったところで、山岳遭難がゼロにはならないでしょう。
ただ、自分が遭難事故を起こしてしまうことで、周囲の人たちに迷惑をかけてしまう。。。
場合によっては、今回のように、取り返しのつかないことだって起きうる。
そう思うと、自らが事故を起こさないために何ができるか。。。
完璧は無理だとしても、それに近づく努力、忘れてはならないと思いました。
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- 2009/09/14(月) 13:23:09|
- 日々是好日
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前項の続き。
ガイド協会について書いたので、今度は違うほうから。
アミューズ社は観光庁長官第1種の旅行業者として登録されています。
一方の
オフィスコンパスの方は、旅行業者としての登録がなされていなかったことが報じられていました。
「旅行業者ではなくガイド会社だ」なんて弁解をしていましたが、ちょっと苦しいような。。。
さて、本題は旅行業者登録云々の話ではありません。
アミューズ社は
日本旅行業協会(JATA)の
会員リストにその名前があります。
全く詳しくないのですが、旅行業者の業界団体は、このJATAと
全国旅行業協会(ANTA)があるようです。
この日本旅行業協会の中に
ツアー登山部会があります。
以前に触れたのですが
ツアー登山運行ガイドラインを出したところです(
遭難カルテ74参照)。
このツアー登山部会のサイトに、事故を受けて北海道知事から寄せられた
ツアー登山における遭難事故の再発防止についてと、長野県知事から寄せられた
ツアー登山の安全確保について(依頼)が掲載されています。
事故を受けてのツアー登山部会の対応だと思います。
会員に対する注意喚起すらない
ガイド協会(JMGA)と比べると。。。。
そもそも役所から、この手の書類すら届いていないのかもしれません。
もしそうならば、団体の「格」のようなものを、役所からそう見られているということに。。。。
ともに業界団体でありながら、事故に対するとらえかたの差が表れているのかもしれません。
国・都道府県登録の旅行業者という資格と、ほぼ無法状態といっていい山岳ガイド資格の差といったら言いすぎでしょうか。。。。
ちなみに、旅行業ツアー登山協議会の黒川惠会長はJMGAの会員でもあります。
中国新聞の記事に、事故に遭い自力下山した人のインタビュー記事が出ていました。
末尾の部分のみ抜粋します。
登山歴16年で、月4回は広島県内外の山に登るが「初めての山のプラン作成や道案内は人に頼るしかなく、ツアーをよく利用している」と中高年登山愛好者の実情を代弁する。今回の事故ではガイドの状況判断に疑問が残る。一方で「主催者側だけの責任でもない。今後は、歩くのは自分という自覚をさらに強く持ちたい」と誓う。
さらに、避難小屋の狭さや登山道の標識の少なさも指摘。「小屋は疲れをとれる状況になく、道案内も少ない。二度と犠牲者を出さないよう整備してほしい」と訴えた。言いたいことは2つ。
まず、「『初めての山のプラン作成や道案内は人に頼るしかなく、ツアーをよく利用している』と中高年登山愛好者の実情を代弁する。」とあります
これって、裏返すと、行ったことのない山の計画は立てられず、読図もできないというのと同じではないかと。。。。。
16年の山の経験がありながら。。。。。
この人に限った話ではなく、実際はこれが「中高年登山愛好者の実情」なのかもしれません。
10年・20年の経験がありながら、技術や知識が伴わないケースは、ままあることだろうと思います。
では、そういった「中高年登山愛好者の実情」を生み出した原因はどこにあるのか?
簡単に答えの出る話ではないでしょうね。。。。。
でも、山登りってそんなもんじゃないと思います。
それじゃあダメだよって、だれかが大きな声で言わなければならないところまで来ているのかもしれません。
そういう人たちが「よく利用」する、まさにその場が一番手っ取り早い気がしますが。。。。。
いずれにしても、その山に行くのに大きく背伸びをしている「客」の現状が垣間見えます。
何年たってもただ歩くだけ、という人をいかに「自立した登山者」にするか、というのも課題かもしれません。。。
もう一点。
山小屋や登山道の整備を求める声。
事故直後にも地元関係者の中からあがっていました。
それは違うやろ!・・・・・と。。。。
よく整備された登山道、数時間歩くごとに小屋。。。。。
そういうところがあってもいいとは思います。
そうではないところには、そうではないがゆえにある魅力というものがあるんじゃないかと。。。。
日本の山がすべて北アルプスの一部のような状態になったとしたら。。。。。ゾっとしますね。
易しい山、厳しい山、いろいろあるべきだと思います。
そして厳しい山に向かうには、自らがそれなりに力をつけてからにすればいいだけのことです。
それをほったらかして、「二度と犠牲者を出さないよう」と言われても、違和感ばかりが残ってしまいます。
安全対策という意味からいうと、矛盾しているような気が、自分でもしないでもないですけど。。。。
ただ、行き過ぎた安全対策設備というのは、登山が登山でなくなるんじゃないかと危惧するのです。
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- 2009/08/18(火) 13:14:04|
- 日々是好日
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トムラウシの事故から1ヶ月。
思うことをまとめてみました。
少し前の記事のコメントで
「ガイドという仕事は、単純にパーティ組んで登るのと違う。」
という言葉をいただきました。
「ガイド=リーダー」ではないという点、まったくそのとおりです。
むしろ「ガイド>リーダー」というべきです。
リーダーであれば、パーティー全員に目を配り、もっとも弱いメンバーに合わせて一緒に行動するよう、パーティーを運営します。
実際にパーティーが四分五裂状態だったことを考えると、この点は不十分だったのではないかと思います。
また、メンバーの装備や体調もチェックし、弱ったメンバーの荷物を元気のあるメンバーで分担する差配などもします。
個人的には、新人を連れて行くとき、ザックの中身を全部ひっくり返してチェックしたものです。
事故後、アミューズトラベルの社長が記者会見で、装備については参加者個人の責任、というようなことを言っていました。
山に入る以上、参加者の責任に属する部分というのは当然存在しますが、これはちょっと違うんじゃないかと。。。
万が一の事態が発生してしまったら、リーダーよりもガイドのほうが批判にもさらされ、責任も大きいものです。
それを回避する上でも、この点についてはガイド側がチェックすべきでしょう。
まとめていうと「ガイド>リーダー」であるべきなのに、リーダーのなすべきことすら十分にできていなかった、ということになります。
ガイドについてもう一点。
アミューズトラベル社の社長・松下政市氏と事故にあったガイド吉川寛氏は、いずれも
日本山岳ガイド協会(JMGA)の
会員。
また、松下氏は
JMGA正会員団体「マウンテンツアーガイド協会」の代表者でもあります。
また、同日美瑛岳で事故にあったオフィスコンパスの代表・上鶴篤史氏と、参加していたガイド小市匠氏も、ともにJMGA会員です。
両社とも、代表者と事故の当事者が会員だったことを考えると、JMGAにとっては大きな話だと思います。
が、JMGAのHPはいつもどおりの微妙にそっけないままで、今回の事故についての記述はまったくありません。
そういえば
白馬の事故のときのガイド・田上和弘氏について。
田上氏にはJMGA会員であると同時に
日本アルパインガイド協会(AGS−J)の会員でもあります。
AGS−Jは田上氏に厳重注意処分を下した旨が
HP上に掲載されていました。
が、JMGAのほうは、何もなし。
当時はAGS−JがJMGA加盟だったのですが、現在は分裂。。。。
また、JMGA会員名簿自体も、当時から更新されていないのでなんとも言いがたい部分はありますが。。。。。
ガイド協会の対応が見えてこないあたりに、もどかしいものを感じます。
で、何が欲しいかといわれれば、報告書です。
遭難・事故の際の報告書、山岳会や個人のサイトでは時おり見ることができます。
事故に至った経緯、事故後の対応、問題点や教訓、今後の対策などが記されているものです。
それが、ガイドやツアー会社のものは、個人的には全く目にしたことがありません。
どうしてできないんだろう?
8月13日付の読売新聞に
大雪山系遭難、旅行会社が遺族らに説明文というのがありました。
一部の個人サイトで、その書類の存在は公表されていましたが、いちおう全文を引用します。
北海道の大雪山系トムラウシ山(2141メートル)で7月、東京の「アミューズトラベル」が企画した縦走ツアーの参加者ら8人が死亡した遭難事故を巡り、同社が関係者からの聞き取りで遭難に至る経過の概要をまとめて参加者や遺族に送付していたことが12日、分かった。
文書は同社の松下政市社長名で出され、松下社長は報告が遅れたことを謝罪するとともに、「事故原因の詳細を究明するための検討委員会を設置すべく準備を進めている」として、今後の調査への協力を求めた。
文書によると、ガイド3人と客15人の一行が7月16日、避難小屋を出発して北沼分岐手前にたどり着いた際、北沼の水が、幅2メートルほどの川のようになって流出。ガイド2人が客を対岸に渡していたが、うち1人が転倒して全身をぬらした。女性客1人が渡り終えた後で動けなくなったため、この女性客と付き添いのガイド1人を残して、ガイド2人と客14人が先に進んだ。
ガイド2人のうち1人は、北沼分岐とトムラウシ分岐の間の雪渓を、女性客2人を背負って登り、客4人とともにビバーク。さらに、救助要請のために、携帯の電波が届く場所を探しに南沼キャンプ地方面に歩いて行き、午後4時49分にメールで救助要請した。
もう1人のガイドは、客10人を連れて下山を続行。トムラウシ分岐に到着した際には、客は8人になっていたが、「転倒で極限状態にあり、2人を探しに行く精神力も体力も残されていなかった」としている。このガイドは、前トム平を過ぎた所で一緒にいた女性客に110番通報を頼んだ。
同社は、「説明文書は遺族や参加者に出したもので、マスコミに発表したものでない」としている。要するに、報告書自体をオープンにするつもりはない、ということでしょうか?
「マスコミに発表したものでない」とは、公表の意思がないないということではないかと。。。。。
注意点や問題点など、業界関係者のみならず、我々一般の登山者にとっても教訓の含まれたものになるはずですが、公開されないと知るすべはかなり限られてきます。
その後、ガイドたちはツエルト持っていたがテントは持っていなかったことや、ツエルトを持っていたガイドが先に下山してしまったため、残された人たちは吹きさらしの中にいたこと、テンとはたまたま登山道整備業者がデポしていたものを見つけたことなどが報じられています。
個人的には、マスコミの報道がすべて正しいものとは思っていません。
取材する側の事実誤認や、一方的な見方もあるだろうと思います。
今回のように報道がかなり進んだケースの場合、そういうものが一人歩きしてしまう可能性だってあるわけで。。。。。
だからこそ報告書を、とも思うのです。
ぜひとも両社それぞれに、しっかりとした報告書を公開してもらいたいものです。
ちなみに、ツエルト、全員を収容できるだけあったんだろうか?
残された人数などから考えると、足りていなかったように思います。
もし、そういうことであれば、ツアー会社・ガイド側の装備不十分といわれても仕方がないと思います。
それと、テント発見は幸運以外の何でもありません。
もしそれがなかったら、もっと大きな事故になっていたと思われます。
また、テントを持たない状態で「避難小屋はいっぱいです」となったら、客をツエルトで寝かせるのはさすがに気が引けます。
そういうことでの場所取りのために、ガイド1人を小屋に残していたんだろうか?
それはそれで問題があるように思いますが。。。。。
(この項、多分続く・・・・・・はず。。。。。)
テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ
- 2009/08/16(日) 13:11:42|
- 日々是好日
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